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トヨタはbZ4Xの「ハブボルト問題」を解決できず、米では車両の買い取りという顧客対応も。日本ではクラウン発売延期の理由にもなったハブボルトとはなんぞや

2022/08/05

| トヨタとしては「良かれ」と考えて採用したハブボルトではあるが |

結果的には予期したメリットが何一つ得られず、大きなトラブルの種となることに

さて、日本では「リースのみ」となっているトヨタbZ4Xですが、アメリカでは一般消費者に「販売」されており、しかし先日のリコールに関してちょっと大きな問題へと発展しつつあるもよう。

トヨタbZ4Xはトヨタ渾身のEVとして華々しくデビューしているものの、その直後に「急旋回や急制動の繰返し等で、当該ボルトが緩む可能性があり、そのままの状態で走行を続けると最悪の場合、タイヤが脱落するおそれがある」としてリコールを(世界中で)届け出ており、日本だと予定されていた試乗イベントも急遽キャンセルされるといった事態に陥っています。

そしてもっと「最悪」なのは、このトラブルについてトヨタが解決策を持っていないことで、「製造の問題なのか、設計の問題なのか、組み立ての問題なのか」原因を掴めず、よって対策ができないという事実です。※bZ4Xのサイトには「現在、原因究明中のため、契約のお申込みを停止させていただいております」という記載がある

トヨタbZ4Xの試乗イベントが初日中止となった原因は「タイヤ脱落の恐れ」。国土交通省にリコールが届けられ、「納車前から異例のトラブル」が生じることに
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アメリカではトヨタbZ4Xのリコールにつき「車両の買い戻し」も

そして今回、トヨタが先の見えないトラブルに対応するため「顧客からbZ4Xの買い戻しを行う」と発表して話題となっているわけですが、これは画像掲示板Redditへと投稿されたことから明らかになったもので、この「買い戻し」のほかにもトヨタは様々な選択肢を示しており、「(対応策がないので)購入したbZ4Xに顧客が乗れず、生活に支障を来している状況」をなんとか改善せねばと考えたようですね。

その内容を見てみると「補償」内容はかなり充実していて、ざっと下記に集約されます。

  • 問題が解決するまで無償にて代車を提供し続ける
  • 代車の燃料代もトヨタが負担
  • 車両代金の支払いから5,000ドルの値引き
  • 2020年12月31日まで、EVgo(充電サービス提供会社)が展開する公共充電ステーションでの充電が無料
  • リコール対応のために車両を乗らなかった期間のぶんだけ車両保証期間を延長
  • もしくはトヨタによる車両の買い戻し(居住地域や状況によって異なる)

なお、今回のリコールには「運転しないように」という指示が入っていることからもこういった対応になっているのだと思われますが、それにしても「異例中の異例」な状況だと言ってよく、影響するのは258台のみといえど、トヨタにとっては相当な負担となるうえ、この問題を解決しないと納車待ちの顧客にも納車もできず、新規に受注を受け付けることもできないものと思われます。

ちなみにスバル・ソルテラも同じ構造を持っているので403台がリコール対象となっていますが、こちらについてはまだトヨタのような対応が発表されていないようですね。

「ハブボルト」とはなんぞや

そこで今回の問題となっている「ハブボルト」ですが、これはトヨタが2020年辺りから導入した新しい構造。

同社が最初に採用したのは2020年6月にマイナーチェンジが実施されたレクサスISだと記憶しており、その後フルモデルチェンジ版として発表されたレクサスNXにも採用されています。

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その後トヨタブランドではbZ4X、そして新型クラウンにも採用されることとなっていて、この際のトヨタの主張としては「(ホイールとハブとの)締結力の強化、軽量化、高剛性化による、気持ちの良いハンドリングと質の高い乗り心地を実現する」。

ただし結果的には問題山積であり、トヨタの目指したところはなにひとつ実現されていないわけですが、一般にこの構造はフェラーリやランボルギーニといったイタリア車、ポルシェやBMWなどのドイツ車に多く見られる構造です。

L1280615

これは「ハブ側」にボルトの穴と溝があって・・・。

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こういったボルトをねじ込むことでホイールをハブに固定するわけですね。

一方、アメリカ車、日本車、英国車の多くは「ハブナット固定」を採用していて、これはどういうものかというと、ハブ側からボルトが突き出ており、それにホイールをはめ込んでからナットで締め込む、というものです。

正直なところどちらがどうという明確なメリットは無い(トヨタが主張するような効果は体感できるものではないと思う)と認識していますが、ハブナット形式のほうがタイヤ交換を行う際に「ホイールをボルトが保持してくれるので」行いやすく、しかしハブボルト形式だとホイールをハブにあてがいつつ、ジグを差し込んだりボルトを取り付ける必要があるので、一人での交換はちょっと難儀です。※ハブボルト方式のほうが構造が簡素で製造上の狂いが出にくく、軽量なのは間違いない

ちなみにですが、ハブボルトに慣れていない人がホイールを外そうとした場合、「最後の一本の」ボルトを不用意に抜き取ってしまうとタイヤ/ホイールがそのままズコンと下に落ちてしまい、ブレーキディスクやブレーキキャリパーをヒットしたり、跳ね返って自分のほうにタイヤ/ホイールが倒れかかってくるので要注意(これをやった人を見たことがある。そうならないよう、ハブボルト式タイヤ/ホイールの脱着の際には、脱落防止用のジグ(棒状のもの)を挿しておく

トヨタの場合、何らかの事情でハブとホイールとを密着させることができずに隙間が生じ、その隙間がボルトの緩みを生み、結果的にボルトが脱落するのかもしれず、もちろんトヨタもその推測には至っているものの、解決ができない状態なのでしょうね。

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参照:Reddit

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