| トヨタbZ3には「積極的にそれを選びたい」と思わせる理由が乏しく、ガソリン車や他社EVの代替でしかない |
そしてそれが「トヨタ車」でもある
さて、先日トヨタが中国にて発売するエレクトリックセダン「bZ3」の姿が報じられていますが、この価格がどうやら「400万円くらい(20万元)」となるもよう。
この価格は中国においてかなり競争力があるとされ、というのも中国にて絶大な人気を誇るモデル3のボトム価格が27万9000元からという設定となっているためで、実際にこの価格にて発売されれば大きな話題となるのは間違いなさそうです。
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ただ、EVが「価格だけ」で選ばれるかというとそうではなく、現在北米では(すでに発売済みの)トヨタbZ4Xについてはサッパリ売れていないといい、やっぱり「何か」が違うのかもしれません。
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EVの販売時には「エコ」を押し出しすぎても良くない?
こういった現象について、ぼくが思うのは、EVを購入する人は必ずしも地球の環境保全に協力しようと考えているわけではないのでは、ということ。
現在アメリカで売れている(注文が入っている)EVというとテスラ各モデル、フォード・マスタング・マッハE/F-150ライトニング、ハマーEVといったところですが、こういった顔ぶれを見るに、ガソリン車ではできないことや、そのクルマだけの特徴がある車種だという印象があり、つまり「ガソリン車の代替」としてEVを選んでいるわけではない、という印象。
その印象はフォルクスワーゲン「ID」シリーズの販売が奮わないことからも担保されていると思いますが、テスラの場合は圧倒的なパフォーマンス、そしてFSD(フルセルフドライビング)はじめとする先進的な機能、他のクルマが持たないクリーンでシンプルな内外装デザインといった特徴を持っています(そしてその特徴がいかに優位性を持つかについては、他社がこぞって真似をしていることからも理解できる)。
よって、このトヨタbZ3がテスラよりも安価な価格で発売されたとしても「テスラより売れる」ことはないのかもしれず、さらにはほかの中国メーカーのEVに対して競争力を発揮できる場面もないかもしれません。
「売れるかどうか」の目安の一つとしては、他の自動車メーカーがそのクルマを真似したり、ベンチマークにしようとするかどうかでも測れると考えていて、しかしトヨタbZ3はそういった存在にならないだろう、とも考えています。
加えて、ミニEVであればまだしも、この価格帯のEVを購入する人々であれば、もうちょっと価格が高くとも、もっと特徴的なEVを購入するのかもしれません。
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トヨタbZ3はこんなクルマ
そこでこのbZ3についてですが、これはカローラサイズのエレクトリックセダンであり、同時に「トヨタ初」のエレクトリックセダンでもあります。
これについても「今ごろ”初”のエレクトリックセダンと言っているようでは全然ダメだな・・・」という意見が市場では強く、さらにいいえばこのbZ3はトヨタの(中国)における提携先であるBYDの技術を借りて作ったクルマ。
名前こそbZ(beyond-zero)つまりトヨタのEVプログラムを表現しているものの、搭載されるバッテリーパックはBYDの製の「Blade(ブレード)」だとされ、これは従来のバッテリーパックに比較して10cm薄く、(SUVに比較して車高が低い)セダンにも無理なく搭載でき、車両そのものはトヨタと第一汽車との合弁工場(天津)にて製造されると報じられています。
つまりは登場が遅くとも「待った甲斐がある」ほどのクルマではなく、独自の先進技術が盛り込まれるわけでもなく、いうなれば「何の変哲もないクルマ」である可能性が高くなりそう(むしろ、それがトヨタのEVに対する姿勢、トヨタ車のキャラクターをよく表しているのかもしれない)。
なお、車体サイズはカローラと同等と言われ、しかしEVならではの特徴として「室内空間は広く取られている」そうですが、それもこのbZ3のみが持ちうる特徴ではなく、ぼくとしては「おそらく販売面で苦戦し、さらにトヨタをEV開発から遠ざけてしまうんじゃないか」という懸念も持っています。
このbZ3につき、本来であれば4月に発表を予定していたと言われ、しかし中国国内でのコロナウイルス感染状況等鑑みて発表が秋以降に後ろ倒しになったと報じられており、もうじき正式発表がなされると考えて良さそうですね。
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参照:Reuters