| このままゆけばトヨタが自動車業界では「空飛ぶクルマ」実用化第一号に |
ただし運用に向けてのハードルはまだまだ残されている
さて、トヨタ等が出資する電動垂直離着陸機(eVTOL)開発会社、ジョビー・アビエーション(Joby Aviation)が米国に続き、日本でも形式証明の申請を(国土交通省に対して)行った、との報道。
この形式証明は日本での運行に必要なもので、海外のメーカーが国内にてこれを申請するのは「初」だそうですが、この取得を行うことができれば日本での運行の可能性が拓ける、とされています。※国内メーカーだと、他にも申請を出しているところがあるようだ
ジョビー・アビエーションとは?
ジョビー・アビエーションは2009年に設立されており、その際には納屋に集まった7人のエンジニアがエレクトリックモーター、リチウムイオンバテリー、フライト用ソフトウエアの研究を行うだけであったものの、2012年にはNASAとのパートナーシップ契約を結んで「エレクトリック・フライト」プロジェクトを現実に移すための行動を開始しています。
その後2015年にはデモ機を作成し、2017年にはフルスケールのデモ機の飛行に成功することになりますが、2019年には初のプリプロダクションモデルの製造を行うことに。
この直後にトヨタが同社へと出資し、機体の大量生産を行う手法についての手助けを行うとともに、2020年にはトヨタ主導による5億9000万ドルの資金ラウンドを開始しています。
なお、トヨタはジョビー・アビエーションに3億9000万ドルの出資を行っていて、最大の出資者となっているほか、トヨタの友山茂樹副社長がJoby Aviation社の取締役にも就任している、と伝えられていますね。
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その後2020年には米空軍より最初のeVTOL(電動垂直離着陸機)メーカーとしての認可を受け、同年にはUberとの提携、さらには米連邦航空局(FAA)から商用飛行のための「ステージ4 G-1」認証を受けるなど大きく飛躍。
2021年にはNY証券取引所にも上場し、トータルで5,300マイルもの飛行を重ね、一度の充電によって154.6マイル(約249キロ)を飛ぶことができるようになったほか、2つ目のプリプロダクションモデルを製作し、こちらもFAAの承認を得ることに成功しています。
そして2022年には、ついにeVTOLによる商用飛行を行う認可を取得しており、そこで今回の日米での形式証明取得となったわけですが、これが取得できれば実際に商用飛行を行うための法的条件が揃うことになるのだそう。
ただ、商用飛行までには「機体の生産」「サービスのオペレーション」についても整えておく必要があり、ここからが正念場だと言えるのかもしれません。
なお、ジョビー・アビエーションの開発する機体は5人乗り、そして最高速度は320km/hだといい、今回の報道によれば、「国交省と米連邦航空局(FAA)が空飛ぶクルマの商用運航に向けた制度整備で合意」「25年大阪・関西万博での商用運航開始を目指し、関連の法整備などを急いでいる」とされ、早ければ数年内にeVTOLの商用飛行を見ることができそうですね。
eVTOLの商用飛行には各メーカーとも熱視線
なお、将来的に「カーシェアリング」の時代になるとクルマが売れなくなるだろうと予想され、そのため多くの自動車メーカーが現在「空飛ぶクルマ」へと熱い視線を注いでいます。
今回のトヨタはもちろんですが、メルセデス・ベンツも別のeVTOL製造メーカーへと投資を行っており、韓国ヒョンデも明確に「実用化を目指す」とも。
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なお、トヨタは電気自動車においては「及び腰」「完全に遅れを取っている」という評価ですが、このまま進むとeVTOLでは自動車業界で初めて商用飛行を実現させる会社となる可能性が高く、思わぬ大逆転があるかもしれませんね(それでも、eVTOLの市場規模は電気自動車には及ばない)。
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