トヨタが「テクニカルセンター下山」の完成を発表。GR（Gazoo Racing）とレクサスとの共同プロジェクトの可能性を示唆し、今後レクサスにも「GR」バッジ？

｜　会長の座に退いたといえど、豊田章男氏の熱い想いが鎮まることはない　｜

おそらくはここから様々な展開が待っているものと思われる

さて、トヨタは2019年に、愛知県豊田市下山に開設する「トヨタ・テクニカルセンター下山」の一部完成をアナウンスしており、そこから施設の拡張を続けていますが、今回はついに施設全体が完成し運用を開始した、と発表。

トヨタ・テクニカルセンター下山はニュルブルクリンクの縮小版とも言えるサーキットを持ち、その周辺に研究開発施設を配置することで「クルマを走らせながら」改良や開発を進めることが可能となっており、まさに「フェラーリとフィオラノ・テストトラック」のような関係だと言えそうです。

さらには研究や開発段階においてビジネスパートナーやサプライヤーを招くこともあるといい、そのための受け入れを担当するビジターセンターも建設されているそうですが、とにかくこの場所全体の目的は”より良いクルマを作る”ことにあり、「企画、設計、開発、建設、試作と評価を含むあらゆる分野」を担当する人々が1つの場所で協力することになる、ともアナウンスされています。

今後「GR」と「レクサス」との関係が深まる？

そしてトヨタが発行したプレスリリースの中での興味深いパートは「レクサスとガズーレーシングが各ブランドの新モデルを共同開発するためにこの施設をどのように利用するか」。

現時点でGR（Gazoo Racing）とレクサスとの直接のつながりはなく、トヨタのハイパフォーマンスブランドが「GR」であるように、レクサスのハイパフォーマンスブランドは「F」として機能していて、そのためレクサスには「GR」モデルが設定されていないわけですね。

ただ、レクサスはオートサロン東京にて「LBX モリゾウRR」を発表しており、これに搭載されるのがGRヤリスに積まれる1.6リッター3気筒エンジン。

このモデルは実際に発売されると言及されており、これが実現すればレクサスとGRとの間に物理的なつながりが生じることになります。

そしてもうひとつこのつながりを予感させるのが「GR GT3 コンセプト」。

こちらは2026年からWEC（世界耐久選手権）に参戦すると言われるレーシングカーですが、コンセプト段階では「トヨタ」エンブレムを装着しておらず、GRバッジのみが付与されています。

そしてまずは「（レースに勝つために）レーシングカーとして」開発がなされ、そこから市販バージョンを「デチューン」して発売するというコメントが出されていますが、その市販バージョンは次期レクサスRCではないかと見られているわけですね。

よってこのGR GT3を通じても「GRとレクサス」とのつながりが生じるものと考えられ、場合によってはレクサスのモデルにGRバッジが装着されることがあるのかもしれません。

そしてこのToyota Technical Center Shimoyamaの完成に際し、豊田章男トヨタ自動車会長が語った内容は以下の通り。

レクサスやガズーレーシングのテストドライバー、開発チームのメンバーを含む約3,000人がここで新型車を運転し、修理し、継続的に改良を続けます。これらのクルマは乗れば乗るほど良くなります。マスタードライバーとして、個人的に、下山の路上で多くの時間を過ごすのをとても楽しみにしています。この場所は生産施設ではありませんが、下山で磨かれたクルマは世界中の道路で多くの人々の顔に笑顔をもたらすでしょう。

このプロジェクトを構想し始めてから約30年が経ちました。 新しい開発センターがこの地域の住民の皆様に喜んでいただけるよう、そしてトヨタが下山に来てよかったと思っていただけるよう、全力で取り組んでまいります。それは人だけでなく、ここに生きてきた動植物も含めてです。

合わせて読みたい、関連投稿

参照：TOYOTA