| 本音だと、現在もっとも惹かれるハーレーダビッドソンではあるが |
さて、ハーレーダビッドソンが初のエレクトリックバイク、ライブワイヤーを日本でも発売。
日本仕様はCHAdeMOに対応し、5年間の走行距離無制限バッテリー保証がついており、その価格は349万3600円(本国価格が320万円くらいなので、かなり頑張った価格だと思う)。
日本仕様の車体カラーにはハーレーダビッドソンらしい、「ビビッドブラック」と「オレンジヒューズ」の二色が用意されています。※上の画像の”グリーン”は海外仕様
ライブワイヤーの車両登録区分は「軽二輪登録」
なお、ライブワイヤーの車両登録区分は軽二輪扱いとなり(電動なので排気量に依存しない。出力1kW以上で126cc超250cc以下の軽二輪の扱い)車検が不要。
さらにいうと、ガソリンエンジンがないのでオイル交換や、それに付随するメンテナンス等もなく、維持費は「ハーレーなのにかなり安い」といえるかもしれません。
ただしライブワイヤーに乗るには大型2輪免許が必要
しかしながら、車両自体は250cc以下と同等の扱いといえど、実際に運転するには大型2輪免許が必要。
どういうことかというと、2019年12月1日に電動バイクの免許区分見直しが行われており、定格出力定格出力が20kWを超える車両については原則として大型2輪免許が必要となったわけですね。
ライブワイヤーの最高出力は102PSなので75kWに相当し、よって大型2輪免許が要求されることになります。
ハーレーダビッドソン・ライブワイヤーはこんな特徴を持っている
今回の発表に合わせて日本仕様の詳細も公開されていますが、やはり驚くべきはそのパフォーマンス。
0-100km/h加速なんと3秒(ランボルギーニ・ウラカンEVO RWDよりも速い!)で、これは瞬時にピークトルクの100%を発生するというエレクトリックモーターならではの特性に加え、クラッチレス(変速による加速ロスがない)ということも関係していそう。
走行性能については電子シャシー制御(ECC)システムが特徴として挙げられ、これはABSやトラクションコントロール(TCS)、ドラッグトルクスリップコントロールシステム(DTSC)等を集中制御するものだそう。
充電に関しては車体内蔵の充電器とコードを利用して家庭用コンセントから充電する方法(80%まで10時間かかる)、そして40分で80%までの充電ができる急速充電にも対応しています。※レベル3急速充電(DCFCにも対応)
ライブワイヤーの走行可能距離は複合142km
そして一回の満充電あたり走行可能距離ですが、シティモードだと235km、シティとハイウェイとの複合だと142km。
通常のガソリンエンジンだと高速走行のほうが燃費が良くなり、満タンあたりの走行距離が増えるものの、EVは高回転が苦手なので、高速道路を走ったほうが走行可能距離が短くなるということになりそうです(つまり長距離ツーリングに向いてない。途中で充電もできるが、団体だと充電設備の数も足りなくなる)。
先日カワサキが「ハイブリッドユニット」を発表しましたが、これは「高速道路はガソリンエンジンのみで走行し、街なかではモーターのみの走行を行う」という、双方いいとこ取りのシステムを持っているようですね。
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ライブワイヤーは「リモート」接続も可能
なお、ライブワイヤーには1年のみテレマティクスサービス「H-Dコネクト・サービス」が付帯され(2年目からは有料)、これを利用すると車両から離れていても充電状況などをリモートチェックしたり、車両が移動されたり衝撃を感知するとセキュリティ警報音を発報できる、とのこと。※これに加入しなくても車両には乗れるが、これらの機能が使用できなくなる
ハーレーダビッドソン・ライブワイヤーには興味があるが
なお、ぼくはテクノロジー好きなのでエレクトリックバイクには多大な興味を持っているものの、正直この349万円という価格には手が出ない、という印象。
現時点での車両用エレクトリック技術は発展途上だとも考えていて、あるていどの損失であれば許容は出来るものの、おそらくこのライブワイヤーは「売却時の価格は相当に低い(最初は珍しいために高値で取引されると思う)」と思われ、この金額を捨てる余裕ない、ということですね。※高額な買い物であっても、高く売れるのであれば、ぼくにとってそれは「高く」はない
なお、ライブワイヤーに搭載されるのは15.5kWhのリチウムイオンバッテリーですが、車体搭載済みのリチウムイオンバッテリーは年間で5%前後の性能劣化があり、かつ新規に製造されるものは5%程度の密度向上(技術の進歩)があると言われるため(バッテリーメーカーによって差はある)、放っておいても相対的に性能が年間で10%程度下がってゆくことになり、これが現在EVの売却価格を下げている要因のひとつ。
よってライブワイヤーにも同様の事例が当てはまると考えていて、さらにあと数年すればソリッドステートバッテリー(固形バッテリー)の登場も控えており、それが実用されれば一気にリチウムイオンバッテリーは(現在のニッカドバッテリーのように)過去の産物にもなってしまいます。
もう一つ、別の観点から見ると、どうやら2035年辺りにはガソリンエンジン搭載の新車(バイクは除外されるかもしれない)販売が禁止される可能性が高なってきており、しかし中古販売は規制されるわけではなく、そうなると(バイク含む)ガソリン車の中古価格が高止まりする可能性も。
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これはけして「ガソリンエンジン崇拝」というわけではなく、今回のライブワイヤーのように「家のコンセントからか、どこかの充電施設でしか充電できない」という条件を不便だと感じる人がガソリンエンジン車を好むため。
加えて、まだまだEV用の充電設備が少ないこと、さらに「バイク用の充電設備はさらに少ない」こともちょっとした懸念。
自動車用の充電設備を使用しても問題はないと思われるものの、そのスペースをバイクが専有していると、クルマ(EV)に乗っていて、充電したい人とモメるケースも出てくるかもしれません。※バイクを軽視する人がいる
そういったモロモロの事情を鑑みるに、「今は”まだ”電動バイクを買うタイミングではない」、そしてガソリン車を購入できるうちはあえて電動バイクを買う必要もない、と考えています。
ちなみにぼくは3年ほどEV(BMW i3)に乗っていて、家に充電器を取り付けるまでしばらく外部での充電に頼っていましたが、「ほぼ毎日」を外で、そしてわざわざ充電しにゆくのは非常に不便であり、このあたりバイクだと(暑かったり寒かったりしても充電中は外で待つ必要があったり。雨でも充電しにゆかなくてはならない場合も)さらに面倒なのかもしれません。
参照:Harley-Davidson