| さらにボクにとって悲しいことは、もうジェフ・ベックについて語り合える人が周りにいないことだ |
ジェフ・ベックは「ギターそのもの」が大好きな人だった
さて、ぼくの敬愛するミュージシャンの一人、ジェフ・ベックが死亡。
公式ツイッターの発表によると死因は細菌性髄膜炎、享年78歳です。
ジェフ・ベックはエリック・クラプトン、ジミー・ペイジと並んで「世界3大ギタリスト」に数えられますが、ぼくの中での3大ギタリストは「ジェフ・ベック、ジョー・サトリアーニ、スティーヴ・ヴァイ」。
ちなみにギタリストと言っても色々なタイプがいて、技術に優れる人もいればギターそのものが好きな人もいたりして、それはオーディオマニアに「音を追求する人」と「機械的性能を追求する人」がいるようなものかもしれません(クルマだと、運転そのものが好きな人や、機械としてのクルマが好きな人など)。
ジェフ・ベックは本当にギターが好きな人だった
そしてジェフ・ベックは技術が優れていたりメロディメーカーとして優れていたりというよりも(もちろんこれらも素晴らしいけれど)楽器としてのギターが大好きな人で、工業製品もしくは芸術品としてのギターを愛していたんじゃないかと捉えています。
実際のところ、子供の頃からギターを自作していたりしていて、ギターの構造や素材に強い関心を持っていたものと思われ、こういったところはブライアン・メイ(クイーン)やトム・ショルツ(ボストン)に近いかもしれません。
一方、ギターという楽器で何ができるのか(という可能性)を追求した人としては、エイドリアン・ブリューやジミ・ヘンドリックス、スティーブ・ヴァイ、ジョー・サトリアーニ、メロディメーカーとしてはやはりエリック・クラプトン(技術だとイングヴェイ・マルムスティーンかもしれない)といった感じで、ひとえにギタリストといっても「各人各様」だと捉えています。
なお、ジェフ・ベックはホットロッド好きとしても知られ、「Guitar Shop」のアルバムではギターをクルマに見立てて(ガレージの)リフトに載せている様子や・・・。
「You Had It Coming」ではクルマいじりでオイルまみれになった手をジャケットの写真に使用したことも(これはぼくの中で5指に入るカッコいいジャケットのひとつである)。
私生活では極めて平穏な人だったらしい
こういった例を見ても、何かを作ったり改造したりという創造性に溢れた人であったようですが、機械モノだけではなく家庭菜園で野菜を作ったりという一面もあったもよう。
ちなみに日本はヴィンテージギターの在庫が世界的に見て多いといい、ジェフ・ベックは日本に来ると中古ギターショップを徘徊し気に入った中古ギターを購入していたそうですが、(まだヴィンテージギターブームが来る前は、中古ギターの価値が認められていなかったので)ミュージシャン仲間からは「ジェフは貧乏でケチだから中古ギターしか買わない」といってバカにされたというエピソードもあるようですね。
そんな感じで、とにかくギターが大好きであったジェフ・ベックですが、上述の「ギターショップ」の1曲め、「Guitar Shop」はギターに対するラブソングとも言える歌詞となっていて、いかにギターを愛していたのかがわかる一曲となっています(これを聴くと、いつもニヤリとしてしまう。こんな曲はジェフ・ベック以外に作れない)。
参考までにですが、同アルバムに収録される「Stand on It」はホンダ・アコードのTVCMソングとして使用されたことがあるので、聞いたことがある人も多いかもしれません。
ジェフ・ベックが死去したことは残念でなりませんが、ぼくにとってもうひとつ残念なのは、もうぼくにはこの悲しみを分かち合える友人が存在しないということで(友人が死んだということではなく、皆年を取ると音楽への興味を失い、子供と家の芝生の話しかしなくなるので)、今宵は一人でジェフ・ベック祭りということになりそうです。