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かつて大人気だった日本のミニバンはもはや中国市場では魅力を失う?完全に中国独自の規格にて進化した吉利汽車 LCEV L380がスゴかった

かつて大人気だった日本のミニバンはもはや中国市場では魅力を失う?完全に中国独自の規格にて進化した吉利汽車 LCEV L380がスゴかった

| LCEV L380のデザインを担当したのは元ベントレーのブレット・ボイデル |

もはや中国だと日本のミニバンは「模倣の対象にもなっていない」

さて、現在中国の自動車は「模倣」から「中国独自」の仕様・デザインへと発展していますが、それは「日米欧の自動車メーカーのクルマの模倣ではもう売れず、中国の消費者が求めるものを別途提供しなければならなくなったから」だと思われます。

そして現在はいちはやく「中国市場の嗜好にマッチした仕様を取り入れた中国車」を他の中国の自動車メーカーが模倣しているといったカオス状況だと認識しています。

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ミニバンもやはり中国市場で独自の進化を遂げる

そして中国におけるミニバン市場も同様で、中国では(日本同様に)ミニバンが大変な人気を誇っており、そして中国の自動車メーカーがミニバンを作り始めた当初はトヨタ・アルファード / ヴェルファイア、レクサスLMの模倣とも言えるデザイン(とくに押し出しの強いグリルがよく真似されていた)が人気であったものの・・・。

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直近で発表された吉利汽車(Geely)のミニバン、LEVC L380だとこんな感じのデザインを持っており、これもまた日本車のコピーから脱して中国独自のデザインへと進化した一例かもしれません。

Geely-L380

ちなみにこの「ツルっとした表面、LEDライトバー、フラッシュマウントドアハンドル」はミニバンに限らず現在の中国車のトレンドではありますが、おそらくはヒョンデ・スターリア(これは韓国車ですが)や・・・。

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Geely LEVC L380はこんなクルマ

そこで今回発表されたLEVC L380を見てみると、やはり中国独自のデザインや機能・装備を持っていて、その価格は379,900~479,900元(現在の為替レートだと約829万円〜1025万円)。

ちなみにこのLEVCというのは116年の歴史を持つロンドンの電気自動車会社で、現在は(ロータスやボルボと同じく)Geely傘下にあるのですが、このL380もやはりピュアエレクトリックパワートレーンを採用しています。

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そしてこのLEVC L380について特筆すべきは、ベントレーから引き抜いたデザイナー(吉利汽車はベントレーから複数のデザイナーを獲得している)、ブレット・ボイデル氏がデザインを担当したということ。

ちなみにデザインモチーフはエアバス社のA380(航空機)だそうで、L380という名称も「そこから」来ているのだとアナウンスされています。

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ボディサイズは全長5,316ミリ、全幅1,998ミリ、全高1,940ミリ、ホイールベースは3,185ミリというかなり大きなクルマであり、見ての通り乗員以上のスーツケースを余裕で収めるほど。

駆動方式は2WDあるいは4WDで、2輪駆動モデルには、200kW(268馬力)と343Nmを出力するフロント電気モーターと、100kWhと116kWhの容量で利用できるGeelyの三元リチウムバッテリーパックが装備されており、CLTCの航続距離はそれぞれ570kmと675km、0~100km/hの加速時間は8.9秒。

4輪駆動モデルは、最大出力400kW(536馬力)、トルク686Nmのデュアルモーターを搭載とCATL製の140kWh三元リチウム電池パックが組み合わされ、CLTCの航続距離は785kmと805km、0~100km/hの加速時間は5.5秒。

すべてのグレードは急速充電をサポートしており、30分でバッテリーを10%から80%まで充電でき、10分で航続距離を200km延長できる、とアナウンスされています。

LCEV L380のインテリアはこうなっている

インテリアもまた「日本車のコピーから離れて」中国の嗜好を反映した仕様を持っており、つまりは「クリーンでシンプル、先進的(日本的な重厚さ、スイッチがたくさんある操作系は最近の中国では好まれないようだ)」。

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ブラックとブラウンをベースとしており、ダッシュボードには10.25インチのフルLCDメーターパネル、15.4インチのインフォテイメントスクリーン、19.8インチのAR-HUD、D字型の3本スポークステアリングホイール、マルチメディアシステム制御用のセンターコンソールのクリスタルロータリーノブが装備されています。

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シートレイアウトは2+2+2の6人乗りと2+2+2+2の8人乗り、シート素材はセミアニリンレザー、車内には11個のエアバッグのほか、各座席のサイドエアバッグ、前部座席の後ろに12.8インチのデュアルスクリーン、後部アームレストに5.98インチのデュアルスクリーン、デジタル外部ミラー用の9.2インチスクリーンも。

そして中国では「必須」のパノラマサンルーフ、そして高レベルの自動運転(これを実現するために28個のセンサーが内蔵されている)も備え、中国のバイヤーに対して強い訴求を行っているようですね。

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参照:CarNewsChina, IT Home, Dongchedi

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