| マクラーレンは何よりもパフォーマンスを重視するという「潔い」会社である |
そして今後は「マクラーレンの求めるパフォーマンスに見合った」価格設定がなされ、全体的に上級へと移行することになりそうだ
さて、マクラーレンは現在新しいCEOと出資者を迎えて変革を行っている最中ではありますが、「アルトゥーラ(3300万円)よりも安価な」スーパーカーの投入計画はなく、かつての540C、570S、570GTのような「スポーツシリーズ」の復活はないということが明らかに。
ちなみにマクラーレンは「スポーツシリーズ」をベースとし、その上に(当時の720Sを核とした)「スーパーシリーズ」、さらには限定ハイパーカーを総括した「アルティメット」シリーズという構成を持っていたものの、その後「GT」が登場するに際してはその分類にやや不整合が生じ、現在では自然消滅的にその分類方法が用いられなくなっているように思います。
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マクラーレンは「シェアード パフォーマンス」SUVに注力
なお、マクラーレンがスポーツシリーズ(すなわち安価なスーパーカーシリーズ)の復活に興味を示さないのは「シェアード パフォーマンス」SUVにまず注力する必要があるからだとされ、以前のように「同じようなスーパーカーを揃えることでシェアの奪い合いが生じる」ことを避けるという意味、そしてなによりもSUVの投入によって新しい客層を獲得することが急務だと捉えているのかもしれません。
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そしてこの「スポーツシリーズの復活がない」という事実については、マクラーレンの製品企画担当ディレクター、ジェイミー・コルストフィン氏が認めており、同氏は「アルトゥーラより下のエントリー レベルのスーパーカーの計画はなく、つまり、マクラーレンのバッジが付いたマクラーレンの唯一の手頃な2 人乗り車は、GTS(2970万円)」だとコメント。
なお、アルトゥーラはこのセグメントでは先陣を切って発売された「ハイブリッド」スーパースポーツで、「特定のフェラーリをベンチマークとして」開発されたことが(マクラーレンによって)認められており、しかしパフォーマンスが近い強豪よりも83kgほど軽い車体重量を誇ります。
加えてマクラーレンは570Sが同社の考える「スポーツカー」の定義にマッチしないことも認めており、よってアルトゥーラこそが「次のステップ」への足がかりとなるべきであり、パフォーマンス的に「その下」は作るべきではないとも考えているもよう。
つまり、多くのスーパーカーメーカーが「安価な」エントリーレベルのスーパーカーは”利益の観点から”作るべきではないとしているのとは異なり、マクラーレンでは”パフォーマンスの観点から”それを投入すべきではないと考えているのが「いかにもマクラーレン的」。
そしてジェイミー・コルストフィン氏は750S(3930万円〜)の後継モデルについては言葉を濁しつつも、さらなる上級意向を示唆しており、つまりその価格は大きく跳ね上がるものと考えて良く、つまりはランボルギーニ・レヴエルト(6543万円〜)、フェラーリ12チリンドリ(5674万円〜)あたりの価格帯に達するのは間違いなさそう。
加えてマクラーレンは(以前に)新型SUVの価格帯はランボルギーニ・ウルスSE(3150万円〜)を飛び越えてフェラーリ・プロサングエ(4766万円〜)やロールス・ロイス・カリナン(4258万円)あたりに設定されるとも語っており、新しいマクラーレンの方針は「妥協なし、そしてそれに見合った価格設定を行う」ということになりそうです。
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