
| 中国は「政府として」非常に厳格な管理を行っているようだ |
この記事のポイント
- 4月1日施行: 新エネルギー車(NEV)の廃電池管理に関する暫定措置が開始
- デジタル身分証明: すべてのバッテリーに「デジタルID」を付与し、生産から解体までを追跡
- 分離禁止: 車両の廃棄時、バッテリーを載せたままにすることが法律で義務付け
世界最大のEV市場である中国がついに「使い終わった後のバッテリー」の完全支配に乗り出したとの報道。
2026年4月より施行される新規則は、これまで不透明だった中古バッテリーの流通を根絶し、貴重な資源を1%でも多く回収するための「国家プロジェクト」だと見られています。
中国政府は「企業」ではなく「産業」を育てる
中国は非常に独特な経済・政治システムを持っており、中国政府は特定の分野を発展させるために多額の補助金を出したり保護したりしますが、その対象は「特定企業」ではなく「産業全体」。
そしてその産業の中で企業が潰れようがどうなろうが知ったことではなく、政府としては「その産業そのものが成長すればいい」と考えているわけですね。
さらにはその過程にて生じた様々な問題(安全性や環境対策、国際批判など)に対しても適宜対処しており、今回の「バッテリーのリサイクル」にのようになんの前触れなしに導入することが少なくはなく、これに対応できない企業は「舞台から去るのみ」。
そうやって最終的に「高い競争力を持つ企業だけが生き残ればいい」というのが中国政府のスタンス、そして厳しい競争を勝ち残らねばならないというのが中国企業の宿命です。※最初は間口を広く取って参加者を多く募り、徐々にハードルを上げてより強く成長した企業を選別する
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中国が導入する「デジタルID」と追跡プラットフォームの全貌
中国工業情報化部(MIIT)が主導する今回の新規則では、すべてのNEV(新エネルギー車)バッテリーに対して「デジタル身分証明(デジタルID)」の発行が義務化され・・・。
- 国家追跡プラットフォーム: 生産、販売、修理、交換、解体、リサイクル、そして再利用まで、全プロセスがプラットフォーム上で紐付けられる
- 20日以内の報告義務: メーカーは車両販売後20日以内にバッテリーコードや販売情報を報告しなければならない
- 「車両と電池はセット」: 廃棄時にはバッテリーが車両に残っていることが必須条件となり、勝手な抜き取りや不正転売が事実上不可能になる
これによって中古バッテリーの不正利用や不正廃棄が管理され、かつ「安全性」についても一定の効果を発揮するものと見られています(この規制の目的のひとつは、「バッテリー製造のために鉱物資源を食い荒らし、CO2を排出している」という諸外国から批判へのカウンターだと思われる)。
EVバッテリーリサイクルの現状
中国はすでにリサイクル技術において世界トップクラスの状況にあるといい、2025年10月のデータでは主要金属の回収率は驚異的な水準に達しています。
中国のリサイクル技術・市場スペック
| 項目 | 詳細・目標数値 |
| リチウム回収率 | 96.5% |
| ニッケル・コバルト・マンガン回収率 | 99.6% |
| 2030年の廃電池予想量 | 約100万トン |
| 市場規模(昨年度実績) | 約5,580億元(約13兆円) |
| 業界リーダー | Brunp Recycling(CATL傘下、シェア約50%) |
自動車メーカー・バッテリー製造業者に課される「重い義務」
今回の新規則は、車体メーカーだけでなく、サプライヤーとなるバッテリーメーカー側にも強力な責任を求めており・・・。
- リサイクル拠点の設置: バッテリーを販売する全地域にリサイクルサービスステーションを設置し、連絡先を公開すること
- 設計段階からの配慮: 低毒性かつリサイクルが容易な材料の使用を義務付ける(GB/T 34014規格)
- 技術情報の開示: 解体方法や放電手順などの技術資料を製品認証後6ヶ月以内に提出すること
なぜ中国はここまで「リサイクル」を急ぐのか?
なお、今回の「EV用バッテリーに付与するデジタルID」の導入は単なる(外部からの指摘による)環境保護対策のためだけではなく、そこには「資源の安全保障」という(中国国内産業を保護するための)戦略的な意図がある、とも報じられています。
- 鉱物資源の自給自足: リチウムやコバルトの多くを輸入に頼る中、国内の廃電池を「都市鉱山」として活用することで輸入依存度を下げることができる
- コスト競争力の維持: 回収率99%超という圧倒的な技術は、再生材料を使った安価な新型電池の製造を可能にし、テスラや欧米メーカーに対する価格優位性をさらに盤石にする
日本の自動車メーカーも「中国ルール」への対応が不可欠に
この新規則は、中国国内で車両を販売するすべてのメーカーに適用され、つまり日系メーカーもこの厳格な追跡システムとリサイクル義務に対応しなければ「世界最大の市場から締め出される」リスクがあり、もしかすると中国政府としてはこの「締め出し」を目的の一つとしている可能性も。
いずれにせよ「売って終わり」の時代は完全に幕を閉じ、これからのEVビジネスは、池の「最後の一滴」までをどう管理するかが勝敗を分ける鍵となりそうですね。
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参照:CarNewsChina















