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【試乗:スズキ・ジムニー】乗り心地、快適性は飛躍的に向上。「普通に乗れる」本格オフローダー

2018/07/16

| 意外と普通に乗れるクルマになっていたスズキ・ジムニー |

新型スズキ・ジムニーに試乗。
試乗車のグレードは最上位のXC、ボディカラーはキネティックイエローとブラックとのツートンですが、「XC」のみに設定されている「ボンネットまでブラックになる」カラーリング。
トランスミッションは5速マニュアルとなっています。

新型スズキ・ジムニーの価格/スペックは?

新型スズキ・ジムニーのグレードは三種類。
価格を抑えた実用的なXG、実質的に量販グレードになりそうなXL、そして豪華装備のXC。
ジムニーの場合は「実用」としての購入も多いと思われ、意外やXGも多くの販売比率を獲得するかもしれませんね。

ジムニーXC・・・17,444,200円(5MT)/1,841,400円(4AT)
(XLにプラスして)
・デュアルセンサーブレーキサポート
・LEDヘッドランプ
・へッドランプウォッシャー
・クルーズコントロールシステム
・LEDサイドターンランプ付きドアミラー
・16インチアルミホイールなど
ジムニーXL・・・1,582,200円(5MT)/1,679,000円(4AT)
(XGに加えて)
・フロントマルチリフレクターフロントフォグランプ
・フルオートエアコン
・キーレスプッシュスタートシステム
・電動格納式リモコンドアミラー
・スモークガラスなど
ジムニーXG・・・1,458,000円(5MT)/1,555,200円(4AT)
・運転席/助手席SRSエアバッグ
・SRAカーテンエアバッグ
・フロントシートSRSサイドエアバッグ
・マルチリフレクターハロゲンヘッドランプ
・エアコン
・フロント2スピーカー
16インチスチールホイールなど

さらに新型ジムニー・シエラのスペックはこんな感じ。

ボディサイズ・・・全長3395ミリ、全幅1475ミリ、全高1725ミリ
エンジン・・・658cc/3気筒ターボ
出力・・・64馬力
駆動方式・・・4WD
トランスミッション・・・5MT/4AT
重量・・・1030-1040kg
タイヤサイズ・・・175/80R16

新型スズキ・ジムニーの外観を見てみよう

ジムニーのルックスは「二代目ジムニーを意識した」先祖返り。
ただ、実際に新型ジムニーと二代目ジムニーとを見比べてみるとシルエットにはかなり差があり、とくにフロントのボリュームが新型ではかなり大きい模様。
これは画像だけだと判断しにくい部分ですが、実際に見ると「新型ジムニーは新型ジムニーであって、二代目ジムニーのリバイバルではない」と感じさせるところ。

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オーバーフェンダーがないぶん(ジムニー・シエラよりも)スマートに見え、より「ハコ」感が強く、そして(黒いオーバーフェンダーが無いので)塗装された部分の面積が大きく見えることも特徴ですね。
↓新型スズキ・ジムニーの外装インプレッション詳細は下記リンクにて

新型スズキ・ジムニーの内装を見てみよう

インテリアはシンプルの一言。
ただし傷つきにくい素材や、反射しにくい素材を使用するなど実用性を考慮。
加えてドア内張りやダッシュボードに「水平」なデザインを取り入れることで、斜面や傾斜において「どれくらい傾いているのか」を把握しやすくするなど、オフロード走行に特化したつくりとなっています。

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メインのメーターもハードなイメージを持っており(航空機のメーター風)、そのクラスターの加工も「ヘアライン仕上げ」。
ここは常に目に入る部分でもあり、「かなり高く評価できる」部分ですね。

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その他のスイッチ類も「最小限」。これは扱いやすさを意識したものだと思われます。

シートは簡素なインテリアに反し、比較的「豪華」。
かなり分厚く大きいということですが、スズキによると「悪路での乗り心地」「長時間運転でも疲れないよう」配慮した結果だとのことで、新型ジムニーに対する考え方が如実に現れている部分かもしれません。

なお、インテリアはジムニー/ジムニー・シエラとも共通となっています。

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↓新型スズキ・ジムニーの内装インプレッション詳細はこちら

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新型スズキ・ジムニーで走ってみよう

新型ジムニーはかなり「特殊」なクルマ。
ラダーフレームを採用しているというところもそうですが、タイヤが細く、そして直径が大きく、さらには最低地上高が高い(205ミリもある。参考までにトヨタ・ハリアーは175ミリ)という特徴があり、一般的な乗用車とは根本的につくりが異なる、と言えます。

なおぼくは2代目ジムニーに乗っていたことがありますが、今残っている記憶は「とにかく背が高くフラフラするクルマで、ステアリングがナーバス、ゴツゴツした乗り心地を持ち、かつうるさい」というもの。
よって今回ぼくが確認したかったのは「普通に乗れるのかどうか」。

新型ジムニーに乗り込んでシートポジション(マニュアル車なのでクラッチを基準にシートポジションを決める)、ミラー類を合わせますが、いずれも調節範囲は広く、自分に合ったドライビングポジションを出すのは比較的容易です。

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早速エンジンを始動させてみて感じるのは「かなり静か」。
トランスミッションは5速MTなので変速には当然マニュアル操作が必要。
手動式パーキングブレーキをリリースし、軽くアクセルペダルを踏んでクラッチをミートさせますが、クラッチが繋がるポイントは比較的わかりやすく、ナーバスさはないようです。

エンストを恐れて3000回転ほどでクラッチを繋いだものの、おそらくは2000回転、もしかするとアイドリングからのスタートも可能かも。

走り出したところでどんどんシフトアップしてゆきますが、気持ち良く走るには3000回転以上回すのが好ましく、しかし3000回転くらいだとそれほど室内もうるさくはならないので(アウディTTのほうがたぶんうるさい)、スズキは新型ジムニーにおいて相当に静粛性に注意を払ったようですね。

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実際のところ、スズキはシフトレバーがエンジン/トランスミッションの振動でブルブル震えないようにそのマウント方法を変更したり、シートを肉厚にしたり、ラダーフレームとキャビンとの間のブッシュを上下方向に柔らかくしたり、と様々な手法にて乗り心地を良くする方法を考えている模様。

シフトレバーについてはその長さに起因してか「テコの原理」で振動が大きく伝わり、これを完全に解消するのは難しかったと見え、しかし意外とこれは気になる部分でもあり、MT車を選ぶのであれば、重量があり振動を吸収できるシフトノブに交換した方が良さそう。

そしてスズキの努力の甲斐あって、新型ジムニーの乗り心地に関しては望外に良く、静粛性もまずまず。
振動も少なく、2代目ジムニーに乗っていた身としてはかなり驚かされるところでもあります。
足回りは良く動く印象で、凹凸がある路面でも尖った衝撃を伝えず、かつゆっさゆっさと揺すられる場面もなく、かなり優秀。

カーブを曲がる際もさほど不安を感じず(乗用車に比べるとさすがに車高の高さを感じる)、ブレーキング時の姿勢変化も少なく、かなり安心して普通に運転できるという印象が強いクルマです。
特にステアリングのロック・トゥ・ロックが(おそらく)小さいのは非常に気持ち良く、角度の強いカーブを曲がるときにもステアリングホイールを「ぐるぐる」回さなくていいのは高く評価したいところ(マニュアル・トランスミッションでロック・トゥ・ロックが大きいと扱いにくい)。

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スズキは軽自動車向けに5AT(オートギヤシフト)とCVT、普通車向けには6AT(エスクードに採用されている)とありますが、それでも用意されるトランスミッションが5MTもしくは4ATなのは「世界中で売ること(中には新興国もある)」を考え、少しでも価格を下げたかったり、補修を容易にしたいということがあったのかもしれませんね。

なお、「2WD(FR)」と4WDとではかなり走行フィーリングが異なり、4WDを選択するとかなり「重く」なります。
実際にスタート時には2WDと同じ感覚で(4WD時に)クラッチを繋ぐと「あれれ」というくらい発進にモタつくので(あわやエンストしそうに)、4WDは相当に負荷があること、つまり燃費が悪くなるであろうことも予想されます。
ただし通常は2WDでも全く問題はなく、よって4WDで走る必要性がなければずっと2WDで走るのが良さそうですが、コーナリング時には4WDのほうが接地感が強く、安心感が高いのも間違いのないところ。

結局どうなの新型スズキ・ジムニー?

スズキは比較的クルマづくりに長けていて、顧客の嗜好に応じたクルマを「つくり分ける」ことができるメーカー。
様々なラインアップを持ちながらもそれぞれのクルマの方向性が明確で、そのために消費者にもその特徴か「伝わりやすい」と思います。

ジムニーの場合は単純に「オフローダー」で、そのためにかなりのものを「切り捨て」、しかし一方ではその悪路走破性のために妥協をしなかったクルマでもありますね。

おそらくですが、ぼくが考えるに長期的に人気化するのは軽自動車規格の「ジムニー」。
実需が大きく、実需となると維持費含めて少しでもコストの低いクルマを選ぼうとする傾向が出てくるので、そのために普通車ではなく軽自動車のほうが好まれるだろう、と推測。※実際に生産量も軽のジムニーの方が多い

ジムニー・シエラのほうがパワーがあって安定感も感じられ「使いやすい」のは事実ですが、基本となる車体は同一で、インテリアの仕様も同一。
つまりジムニー・シエラだからといって(普通車となったぶん)乗り心地が良かったり静かだったり快適なわけではなく、(ワイルドな外観のクルマに)快適性を求めるのであれば「クロスビー」という選択も。

つまりジムニーシリーズはまず「軽規格のジムニーありき」で、こちらのほうが本来の姿なんじゃないか、と思った次第です。

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