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ジムニーのカスタムカーが大人気なのに、実際にジムニーをカスタムする人が少なく「パーツが売れない」のはなぜ?

2020/01/21

| ジムニーは話題性が高いため、ほとんどの人が興味本位で反応しているだけで、実際の需要はほとんどない? |

くるまのニュースによると、「ジムニーが人気と言われるが、ジムニーを実際にカスタムする人は少ないようだ」という内容の記事が公開に。
これは東京オートサロン2020の展示においてジムニーはじめとするSUVのオフロード系カスタムが多く、会場では大きな反響を(展示するショップ側も)感じ取ったのに対し、実際には(カスタム用品の)売上に結びついていない、ということに着目したもの。

オフロードタイヤを発売しているTOYOタイヤ、そのほかオフロード系カスタムを行っているショップについても「来場者の、ジムニーはじめとするSUVカスタムに対する興味の強さには驚いている」とのことで、オートサロン開催側も「SUV系のカスタムのみを集めた専用会場の設置」を企画しているほどだとも報じています。
こういった状況にもかかわらず、「カスタム市場がさほど盛り上がっていないように見える」のが不思議だということですね。

SUV愛好者にとっては、もはや「クルマが主役」ではない

まず、記事ではいくつかの関係者による証言として、「SUVカスタムにおいて、ヘビーデューティーな香りを取り入れる方向に動いているのは間違いない」と述べており、しかしあくまでもユーザーは”本物”ではなく”香り”を求めているだけだ、とも。

そのほか、こういったSUV、とくにジムニーのカスタムに興味を示す人はおしゃれな人が多いということにも触れていて、現在のアウトドアブーム、アウトドアファッション人気とのつながりについても指摘しています。

これらを鑑みるに、ジムニーや、ジムニーのカスタムに興味を示す人々は、ジムニーが好きだったり、ジムニーをカスタムしたいわけではなく、自身が描いた「アウトドアライフ」という大きな絵の中にジムニーもしくはカスタムされたジムニーがあれば”よりいい絵になる”ということなのかもしれません。

つまりジムニーはクルマというよりは、キャンプに使用するオシャレな焚き火台やテーブルと同じく「ツール」であり、そのオシャレ感を演出するための小物である、とも考えられます。

要は「ジムニーをクルマとして捉えているわけではない」ということですね。

やはりクルマは「モノ」から「コト」へ

こういった傾向は、よく言われる「モノからコト」消費ということになり、ジムニーというハードウェアではなく、ジムニーの持つイメージや、それが自分に与えてくれる充足感というソフトウエアが重視されていると考えられ、もっと大きなところでは「オフロードを走らないのにSUVに乗る」ということ自体が、こういった傾向を示唆していたのだとも考えられます。

ただ、これはSUVのみに限らず、「目立つから」「ステータスが感じられるから(アピールできるから)」という理由で、スポーツ走行をせずともスーパーカーを購入する人が(現代では)ほとんどであったり、そもそもダイビングをしなくともダイバーズウォッチが大人気という現状も同じなのかも(そういったモノの所有を通じ、ぼくら自分の理想に近づけるような気がする。これは悪いことではないと思う)。

そしてこういった傾向がSNSの普及、そしてSNSによる自己アピール、いいね!獲得による承認欲求充足といったところと結びつき、さらに”モノからコト”が加速したとも考えられます。

もちろん、本当にジムニーが好きな人、ジムニーの性質をよく理解し、自身の使い方にあった現実的なカスタムを施す人も多いかとは思うものの、それを遥かに上回る数の人々が「ファッションアイテムとして、そして自己表現の手段のひとつとしてジムニーを捉えている」ということになりそうですね。

消費者の反響は鵜呑みにできない

そして、そこが「いかに反響があったとしても、それが売れるとは限らない」という現象であり、記事においても関係者の言として「普段あまり見たことがないクルマだから、新鮮味があってウケている感じです。実際、展示しても、ビジネスと反響の大きさとは比例していません」というものを紹介していますが、実際のところこれがすべてなのかも。※過去にダイハツは、ミゼット2のコンセプトモデルの反響が大きく、これに応える形で発売したものの、実際には売れなかった

珍らしいもの、見たことがないものだからいち早くSNSにアップすればいいね!がもらえるという心理がここに働き、拡散によって反響が雪だるま式に大きくなるのだと思われ、しかしそこに実際の実需はないのかもしれません。

ただし、そういった状況においても、一部の人々がジムニーのカスタムカーに現実的な興味を示しているのは紛れもない事実。
しかしこれまでの「ジムニーのカスタムを行ってきた人々」とはあまりに異なる現代のジムニー購入層/ジムニーカスタム予備軍にとって、チューニング/カスタムショップに足を踏み入れるのはあまりにハードルが高いのかもしれません。
加えて、クルマを「コト」ではなく「モノ」として捉えてきたチューニング/カスタムショップにとっても、こういった新しい客層については理解が及ばないところなのかも。

そこで、「現代のジムニー購入層/ジムニーカスタム予備軍」が、ジムニーをファッションとして、そしてアウトドアアイテムのひとつとして考えているのであれば、ファッション系ショップやアウトドアショップとのコラボレーションにてジムニーのカスタムを(カスタムショップが)PRしたほうがいいんじゃないかと思ったり。

実際のところ、アウトドアブランドとファッションブランドとのコラボは「日常茶飯」ですし、SUVとアウトドアブランドとのコラボレーションもいくつか見られるようになっていますが、今後はこういった客層の変化に対応したクルマの売り方、カスタムの提案が必要なのかもしれません(そして、これに対応したショップと、そうではないショップとでは大きく差が出るのかも)。

VIA:くるまのニュース

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