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マセラティ・レヴァンテに試乗。「レヴァンテにしかないもの」が多数ある魅力的なSUV

2016/12/21

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マセラティ・レヴァンテに試乗。
レヴァンテはマセラティ初のSUVとなりますが、ジャガーFペース同様、オフロード性能を追求したものではなく「シティ派SUV」と捉えた方が良いモデル。
ただし「フルサイズSUV」となり、全長5メートルを超える大柄なボディとなっています。

グレードは「レヴァンテ」「レヴァンテS」「レヴァンテ ディーゼル(来春導入)」の三種となっており、今回試乗したグレードはスポーティーな「レヴァンテS」。
ここでスペックを見てみましょう。

サイズ 全長5003/全幅1968/全高1679mm
ホイールベース 3004mm
駆動方式 4WD
車両重量 2109kg
エンジン 3リットルV6 ターボ
最高出力 430馬力
0-100km/h加速 5.2秒
車両価格 1279万円〜

相次ぐ生産一時休止などあまり販売が芳しくないマセラティが放つ起死回生のニューモデルということもあり、装備が充実していることも特徴(と言ってもライバルはおおよそこれらの機能を備えてはいるのですが)。

内装だと8.4インチのタッチスクリーン、アンドロイドオート、アップル・CarPlayといった装備を始め、安全面だとパーキングセンサー+カメラはもちろん前方衝突予測アラート(カメラで検知)、ブラインドスポットモニター、リア・クロス・パス、車線逸脱防止システム、アダプティブ・クルーズ・コントロールなど(一部パッケージオプション)。

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トランスミッションは普遍的な8ATで、4WDシステムは前後トルク配分型(Q4システム)となるものの左右独立でのトルク配分はできず、ここはアウディやレンジローバー、メルセデス・ベンツにはやや劣る内容とも言えます。

ただしレヴァンテ最大の特徴は走りや機能、先進性といったところではなく、なんといっても「マセラティ」であること。
たぶん誰もマセラティにアウディと同等のテクノロジーを期待しているとは思えず、やはり期待するのはその独特の世界観だと思われます。

その意味では期待を裏切らないどころか期待のずっと上をゆく雰囲気を持っており、外観だと巨大なフロントグリル、マッシブなリアフェンダー、そして内装だと優雅さと豪華さとがバランスしたセクシーな雰囲気。
豪華なだけの内装を持つ車は数多くありますが、マセラティほどのセクシーな内装を持つ車は他にないと断言して良いでしょう。
なお、純正の内装やオプションに満足できなければマセラティ得意の「ゼニア」内装も選ぶことができます。

ボディカラーはグレー系を中心に13色(うち3色はレヴァンテ専用)、ホイールは18〜21インチまで4種類。
インテリアは8色ですがゼニアを入れると11種類となり、非常に豊富なバリエーションを誇ります。

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とりあえず実車を見ると、やはりその大きさに圧倒されますが、その大きさを生かしたデザインがなされていところは秀逸。
具体的に言うとこの「厚み」を持つフロントグリルはレヴァンテのサイズがあってこそ成り立つもので、セダンでは実現できないサイズ。
それに対してヘッドライトが薄く、この「落差」がレヴァンテの雰囲気を独特のものとしています。

なお乗車/降車時に「コンフォートアクセス」を使用すれば車高が6センチほど下がって乗り降りしやすくなりますが、そこまでしなくても成人男性であれば(ヨイショ、と運転席に上がらなくても)すんなり乗車することができ、ここは生粋のオフローダーであるレンジローバーやメルセデス・ベンツGクラスとは異なるところ(乗用車ベースのプラットフォームの利点でもある)。

加えて、その乗用車ベースのプラットフォームでは不足しがちな最低地上高を稼ぐためにレヴァンテは車高を上下で16センチも上げ下げできるという機構を持っており、さすがに後発だけあってよく考えられている、と感じます。

ぼくがちょっと驚いたのは、レヴァンテのドアが「サッシュレス」であること。
SUVでサッシュレスというのは相当に珍しく、かつこれだけの重量を持つ車でサッシュレスというのは、かなり高い捻れ剛性を持っていないと採用できないと思うのですね。
なおサッシュレスなのでドアガラスの「厚さ」が目に入ることになりますが、これが異常に分厚く、通常の車の2倍ほどあります(ベントレーには及びませんが)。
これはつまり静粛性に相当な注意を払っている、ということですね。

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内装はさすが「マセラティ」で、この内装だけでもレヴァンテを選ぶ価値があるのではと思えるほど。
マセラティ特有のアナログ時計はダッシュボード上に(ポルシェのスポーツクロノのように)位置しており、より目立つようになっていますね。
内装についてはフルレザーを選ぶと35万円ほどの追加が必要になりますが、それでもフルレザーは絶対に選ぶべきだと考えています(ダッシュボードのレザーの質感やステッチが白眉)。
さらに上の内装オプションだと「ゼニア」があり、これはフルレザー+40万円ほどの出費が必要ですが、ぼく的には通常のフルレザーで十分といったところ。

キーは「スマートキー」化されているのでブレーキを踏んでステアリングコラム左にあるスタートボタンを押してエンジン始動。
エンジン/排気音はかなり静かで、これまでのマセラティとはかなり異なる印象ですね。
振動も相当に低いレベルにまで抑えられており、レヴァンテでは今までとは異なる客層を獲得しようという意図が理解できます。

ギアをDレンジに入れてクリープに任せるまま車をスタートさせますが、かなり軽い滑り出し。
そこからアクセルを踏んでも「ぐっと」出る印象があり、モタつきがないのは良いですね。
路上に出るまでの歩道の段差越えも難なくこなし、サッシュレスドアにもかかわらずねじれる印象や軋み音は一切なし。

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そこから加速に移りますが、全くストレスのない加速で、この辺り先日試乗したジャガーF-PACEと同様の印象です。
考え方としてはやはりオフローダーというよりは「車高の高いサルーン、もしくはスポーツカー」と言って良いでしょうね。
なおドライビングモードはノーマルとスポーツ、オフロードの三種。
今回は悪路を走らないので試したのはノーマルとスポーツモードですが、スポーツモードだと一気に排気音が勇ましくなり、SUVとは思えないほどの重低音が響きます(スポーツボタン一回押しでは排気音が大きくなり、2回押しで足回りが硬くなる)。
AMGほどではありませんが、並のスポーツカーよりはよほど勇ましいサウンドと言って良いでしょう。
シフトダウン時にはブリッピングが入り「おう!」と驚くほどの迫力ある音を出しますが、これはギブリにもクワトロポルテにもない、レヴァンテから装備される仕様だそうです(SUVであるレヴァンテにこういった仕掛けを最初に導入することからも、マセラティがレヴァンテをスポーツモデルと認識していることがわかる)。

急加速に移ってもさすが430馬力だけあって2.2トン近いボディを難なくスピードに乗せ、そこからのブレーキングも不安はなく、ステアリングを切り込んでいってもロールはほとんどないままにコーナーをクリア。

特筆すべきは足回りで、全く固くないのにしなやかかつ粘りがあり、不快さを微塵も感じさせないもの。
マセラティにとってこの車がSUVとして第一弾(にもかかわらずこの完成度)であるというのは大きな驚きで、最近試乗したSUVの中では突出した出来を持つ足回りだと断言できます。

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現在はSUVブームのために多くのメーカーが乗用車のプラットフォームを活用してSUVに転用していますが、SUV化すると車高が高く、そして車重も重くなり、となると操縦安定性に破綻をきたす可能性があるわけで、実際に一部メーカーのSUVはかなり「不安定」であり、なおかつ重い車体を支えるだけの足回りのセッティングが完成していない、と感じることも。
ですがレヴァンテはそういった破綻を一切見せず、サルーンと同じ乗り心地、安定性にて走行することが可能なわけですね。
この辺り、もともと大きく重い車を作り慣れているマセラティならではなのかもしれません。

実際のところ「走っていて楽しい」と感じるSUVであり、この存在はなかなかレアかも、と思うほど。
加えて上述のように優雅かつセクシーで、レヴァンテにしかない(大柄なボディを活かした)大胆なデザインを持っており、かつスポーツカーのようにしなやかで強靭な足回りを持っていて、静粛性が高く、しかしひとたびスポーツモードに入れると快音を轟かせてドライバーを楽しませてくれるわけですね(繰り返しますがサッシュレスのドアはポイントが高い)。

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レヴァンテにおいては発売した国々で非常に高い人気を得ており、今から注文すると7か月ほど待つ模様。
実際にその人気も納得の出来映えですが、ぼくにとって購入候補としては相当に有力なポジションにあると言って良いでしょう。
現在ぼくはSUVにおいてポルシェ・マカン、テスラ・モデルS、レンジローバー・イヴォーク、ジャガーF-PACE、メルセデス・ベンツGLCクーペを検討していますが、来年初めには発表されるであろうレヴァンテのディーゼルモデルと合わせて判断を下すことになりそうです。

試乗したマセラティ・レヴァンテS、ディーラーさんの中に設置してある内装サンプルの画像はこちらにアップしています。
レヴァンテ発表会を訪問してきた時の様子はこちら

一般的なライバルとしてはポルシェ・カイエン、アウディQ7、BMW X5といったところ(レンジローバーは性格からして異なりジャンルといえる)。
スタイリッシュなSUVというところではメルセデス・ベンツGLEクーペ、BMW X6も視野に入ってくるかもしれませんね。



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