| ワイルド・スピードは自動車業界を変えてしまった |
映画「ワイルド・スピード」シリーズが自動車業界を大きく変え、とりわけチューニングの活性化と日本車の相場上昇をもたらした、と米メディアが報道。
ワイルド・スピード(原題: Fast and The Furious)はおよそ17年前に公開された映画ですが(まだヴィン・ディーゼルも今ほどマッチョじゃなかった!)、当時リアルタイムでワイルド・スピードを見たキッズが今は大人になり、金銭的余裕ができて「映画に登場したクルマを集めるようになっている」とのこと。
一部のモデルは中古相場が大きく上昇
もちろんその対象は日産”スカイライン”GT-Rだったり、マツダRX-7だったりトヨタ・スープラだったりすることになりますが、たとえばアメリカではRX-7の新車価格が33,000ドルであったのに対し、今では中古相場が57,360ドルへ。
この「中古相場」というのは非常に重要で、新車価格を高く設定できるかどうかは「中古相場次第」と言えるほど。
たとえばアウディがプレミアムブランドを目指そうとしたとき、まっさきにテコ入れしたのは「中古相場」。
フェラーリも新車およびブランドの価値を維持するために中古相場をコントロールしていると述べており、ブランド価値は中古相場によって作られると言っても過言ではない、と言えます。
つまり「中古が高い=安心して売れる」から高いお金を払って新車を購入するのであり、「中古価格は年々上がってゆく」という認識があれば人々はそのブランドのクルマを売らずに持っておくようになる、ということですね。※業界は違えどロレックスがまさに端的
ただ、中古相場を高値維持させるのは並大抵の苦労ではなく、ほとんどのメーカーが「やらなければならないとはわかっているが、なかなかできない」こと。
腕時計だとパテック・フィリップが自社で「昔のモデルを高値で買い戻すことで」相場を上げていますが、とにかくこれには資金が必要だということもわかります。
ただしすべてのクルマの相場が上がっているわけではない
しかしながら上記RX-7、スープラ、GT-Rの場合はメーカーのかわりに映画(ワイルド・スピード)がその価値を上げてくれたことになり(”バック・トゥ・ザ・フューチャー”のデロリアンも同じ)、そのために新型スープラは(ウワサでの)700万円という強気の設定が可能となったのかもしれません。
メーカーがやろうとしてもできなかったことを映画がやってしまうのはまさに「驚き」ですが、同じくワイルド・スピードで露出の高かった「スパルコ(Sparco)」の販売は1500%(つまり15倍!)になり、Greddyも給排気システムの販売が飛躍的に向上しているようですね。
こういった現象もありマツダRX-7、日産スカイラインGT-R、トヨタ(80)スープラの価格はまだまだ上がると言われていますが、反面劇中に登場しても値が上がっていないのがホンダ・インテグラや日産240SX(日本だと180SX)、三菱エクリプス、マツダRX-8。※ランエボ、S2000の価格がどうなのかは気になる
そして同じ日本車でも、アメリカへでもともと人気があり、販売台数が多かった三菱GTO、フェアレディZ(これらは劇中に登場していませんが)の価格も上がっていない模様。
要はポール・ウォーカー(ブライアン)かヴィン・ディーゼル(ドミニク)の乗っていたクルマで、かつ数量が(アメリカで)少ないクルマしか価格が上がっていないと考えることもできますが、自動車メーカー(とくにトヨタとマツダ、日産)にとっては”一つのモデルであっても”極端に価値が上がれば全体的な波及効果もありそうです。※RX-7はドミニク、ハンの両方が乗っている
VIA:ClassicCars.com