当時、自動車は邪魔者扱いでだれもその有用性を理解していなかった
メルセデス・ベンツがこれまでとは一風変わった動画を公開。
これはメルセデス・ベンツのルーツに触れるもので、まるで映画のような仕立てを持つものとなっています。
内容としては「自動車を発明した」メルセデス・ベンツ創業者(当時の社名は今とは異なる)であるカール・ベンツの妻、ベルタ・ベンツが「女性で、かつ世界で初めて」自動車によって旅行したときの様子を再現したもの。
当時は自動車自体の存在が知られておらず、知っている人にとっても「うるさく、馬よりも遅い」、つまり実用性に欠けるガラクタだと思われていたようですね。
彼女には「クルマが世界を変える」という確信があった
そして、それに納得できなかったのがカール・ベンツの妻であるベルタ・ベンツ。
カール・ベンツは1886年に自動車を発明して特許を取得していますが、自動車の運転免許を世界で最初に取得したのもカール・ベンツ。
カール・ベンツは自動車に生涯を捧げた人物と言ってもよく、しかしベルタ・ベンツは夫の発明品が世間から正しく評価されないことに不満を覚え、1886年8月5日、夫に黙って息子二人と106キロ離れた彼女の実家(プフォルツハイム)へと旅に出ることに。
そしてここからは動画の紹介ですが、当時モノを運ぶにはこれほどまでに苦労していたという様子が描かれています。
そこへさっそうと通りかかるベルタ・ベンツの運転するクルマ。
え?という驚きを隠せない少女。
ただし106キロというのは当時「とてつもなく長い」距離で、馬だと10回は乗り換える必要があったほど。
もちろんそんな距離を自動車は走ったことはなく、彼女にとってもそれは大きな(ある意味では命のリスクもあったかもしれない)チャレンジであったことは想像に難くありません。
そして当然ですが当時はガソリンスタンドなどなく、あえなくガス欠に。
そこでベルタ・ベンツは薬局へ行き、「リグロイン(軽質ガソリン。揮発性を利用してしみ抜きなどに使用されていた)10リッターあるかしら?」。
そして薬局の客は「馬に毒を飲ませようってのかい?」。
ベルタ・ベンツは動じずに「リグロイン10リッター、あるのかしら?それとも置いてないのかしら?」
そして周囲の人の好奇の視線にさらされながらリグロインをクルマにドボドボと注入。
息子による渾身のエンジンスタート!
そして「どう?見たこと?」という得意げな表情で走り去るベルタ・ベンツ。
そしてこの事実が人々を驚かせることになり、彼女の勇気ある行動、そして彼女が走破した「106キロと12時間」はその後の世界、そして我々の生活を大きく変えることに。
そして彼女がリグロインを購入した薬局は「世界ではじめてのガソリンスタンド」ということになります。
こちらはベルタ・ベンツの写真。
彼女は、夫の発明品を「クルマ以上のもの」であると信じて疑わず、なにより彼女は「自分自身の行動が世界を変えると信じていた」ようですね。
かつてアインシュタインは「偉大な精神を持つ人々は、平凡な人々から強い反発を受けるものだ」という言葉を残しましたが、そういった反対を物ともせず信念を貫いた偉大な女性のおかげで、ぼくらは今日もクルマに乗ることができているのかもしれません。
それでは動画を見てみよう
こちらがベルタ・ベンツが困難に負けず意思を貫く動画、「Bertha Benz: The Journey That Changed Everything」。
ぼくは、こういった「信念のために挑戦する人々」が大好きです。