| とにかく韓国の自動車メーカーはデザイナー獲得に熱心 |
先日インフィニティのデザインチーフを辞し、「新たな可能性を追求する」としていたカリム・ハビブ氏が韓国キアへ移籍し、来月より韓国で勤務するとの報道。
勤務先は「キア・デザインセンター」で、そこではプレミアムカーを手掛けることになる、と公表されています。
なお、この発表を行ったのは他ならぬルク・ドンカーヴォルケ氏。
同氏はランボルギーニ・ムルシエラゴやガヤルドのデザイナーとして知られ、ベントレーでも辣腕を振るった人物。
その後ヒュンダイへと移籍し、現在は昇格してヒュンダイグループ(キアもヒュンダイに属する)の上級副社長そしてデザイン部門責任者へと就任しています。
韓国自動車メーカーの引き抜き合戦は尋常ではない
こんな感じで韓国の自動車メーカー、特にヒュンダイは欧州の著名デザイナーを引き抜く傾向があり、その前にはブガッティ・シロン、ランボルギーニ・ウラカンをデザインしたサシャ・セリパノフ氏も獲得。
なお、同氏は先日ケーニグセグへと移籍していて、何らかの理由でヒュンダイが手放したということになりそうですね。
さらにヒュンダイはベントレーの内装デザインチームからも数名引き抜いていて、エンジニアリングの面だとBMW M部門の前責任者含むBMWのエンジニアを獲得しています。
さらにその前にも、キアはアウディTTのデザインに関わったペーター・シュライヤー氏を獲得し、現在同氏はキア社長を務めていますね。
ヒュンダイ/キアに移籍すると、その空気に染まってしまうようだ
そして恐ろしいのは、ヒュンダイもしくはキアに移籍した元欧州自動車メーカーの人物は、しばらく時間が経つと揃って欧州の自動車メーカーや自分の古巣を批判するようになること。
ルク・ドンカーヴォルケ氏は「欧州自動車メーカーの金太郎飴デザインは面白くないが、我々(ヒュンダイ)は違う路線を歩む」と述べ、前BMW M部門責任者であったアルバート・ビアーマン氏は「BMWはMモデルを乱発しすぎだ。我々ヒュンダイの”N”はそうはならない」と主張し、それぞれしっかり自社(ヒュンダイ)をアピールすることも忘れてはいないようです。
今回、カリム・ハビブ氏は「キアは成長している会社だ。この中で新しい役割を果たせることに興奮を隠せない」と語っています。
同氏氏は2017年にインフニティのデザイン部門責任者に着任していますが、BMW→メルセデス・ベンツ→BMWという経歴を持ち、2012年にはBMWのチーフデザイナーへ。
BMWではエイドリアン(アドリアン)ホーイドンク氏の部下として手腕を発揮し、代表作はBMW 7シリーズ(F01)、BMWコンセプトCS、BMW X2コンセプト、BMW 3.0CSLオマージュ・コンセプト、メルセデス・ベンツではCクラス(W205) 等にデザインに関わったことで知られますが、もう少しすると「古巣をこきおろし、キア(ヒュンダイ)を持ち上げる」コメントを発するようになるのかも。
もしかすると、ケーニグセグに移ったサシャ・セリパノフ氏は「そういった雰囲気」に馴染めなかったのかもしれませんね。