
| 一連のBMWによるコンセプトカー「ナスカ」にも通じるデザインを持っている |
BMWはすでにこの頃から「水素」に取り組んでいた
さて、先日株式の売却がアナウンスされたイタルデザインですが、公式インスタグラムに過去のコンセプトカーをチョコチョコと公開し、その歴史を振り返っています。
そんな中で登場したのは「「VAD.HO(ヴァド・オー)」で、これは2007年のジュネーブモーターショーで発表された、BMWとの協力による2シーターのスーパースポーツ・コンセプトカー。
ぼくの大好きな「ウエッジシェイプ」を持っており、主な特徴を見てみましょう。
1. 革新的なパワートレインと名前の由来
- 水素エンジン: BMW製の水素駆動V12エンジンを搭載し、高い走行性能と環境性能の両立を目指した「実験車両」としての側面を持っている
- 名前の由来: イタリア語で「私は行く」を意味する "Vado" と、水素(Hydrogen)の "H"、そして酸素(Oxygen)の "O" を組み合わせて「水素で行く(Vado on H)」という意味が込められている
- 地名の由来: イタルデザインの本社があるイタリア・モンカリエリの「VADO工業地域」にも掛けられている
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2. 戦闘機のようなパッケージング
- タンデム配置: 座席は一般的な横並びではなく、戦闘機のように運転席と助手席が前後に並ぶ「タンデム配置」を採用。これにより、ボディの前面投影面積を抑えたスリムなデザインを実現している
- キャノピー: 乗降はドアではなく、コックピット全体を覆うポリカーボネート製のキャノピーが開閉する仕組みになっている
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3. バイワイヤ技術とジョイスティック
- ステアリングホイールがない: 人間工学に基づいた設計により、従来のステアリングホイール(ハンドル)は存在しない
- ジョイスティック操作: 「バイワイヤ(by-wire)技術」を駆使し、左右のアームレストに配置された2本のジョイスティックで操作を行う
補足: この車両は当時、日本の音響メーカーであるクラリオンのプロモーション(フルデジタルスピーカーシステムなど)にも活用されたことがある
ちなみにですが、このVAD.HOのスタイリングは(やはりBMWとイタルデザインとの共作である)ナスカ(NAZCA)シリーズを連想させ、VAD.HOはこれらナスカシリーズの「後」に発表されています。

Image:BMW / Italdesign
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イタルデザインとは?
そこで改めて「イタルデザイン」について振り返ってみると、正式な社名は「Italdesign Giugiaro S.p.A.」、1968年にイタリアで設立された世界的に有名なデザイン・エンジニアリング会社です。
単なるデザインスタジオにとどまらず、設計やプロトタイプの製作、テストまでを一貫して行う能力を持ち、これまでに6,000万台以上の市販車に関わっていることでも知られ、様々な日本車のデザインにも関わってきたほか、最近だと「GT-R 50 by Italdesign」の製造を行ったこと(デザインは日産)、そしてNSXのレストモッドを手掛けていることでも話題となっていますね。
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1. 創業者:ジョルジェット・ジウジアーロ
- 伝説のデザイナー: 創設者の一人であるジョルジェット・ジウジアーロは、1999年に「カー・デザイナー・オブ・ザ・センチュリー」に選ばれた”自動車史において最も影響力のある人物”の一人※すでに保有していた株式を売却しており、現在はイタルデザインとの関わりを持たない
- 哲学: デザインの美しさだけでなく、生産性や機能性を極めて重視する「実用的な美」が特徴」」
2. 代表的な作品(自動車)
世界中のメーカーにデザインを提供しており、誰もが一度は目にしたことがある名車が並びます。
- フォルクスワーゲン: 初代ゴルフ、初代パサート、初代シロッコ
- フィアット: 初代パンダ、ウーノ、プント
- 日本車: 初代マーチ、いすゞ・117クーペ、スバル・アルシオーネSVX、トヨタ・アリスト
- その他: デロリアン(DMC-12)、ロータス・エスプリ、BMW M1
3. 現在の体制
- VWグループ傘下からIT企業傘下へ: 2010年にフォルクスワーゲングループ(アウディやランボルギーニなど)の傘下に入り、グループ全体の戦略的なデザイン・技術拠点へ。2025年12月には支配株式を米IT企業「UST」へと売却し、「デジタルトランスフォーメーション」を行うことがアナウンス(VWグループはすべての株式を手放したわけではなく、今後も関係性を保つ予定)、「ソフトウェア・デファインド・ビークル(SDV)」の開発能力を強化することが期待されている
- 幅広い事業領域: 自動車だけでなく、鉄道車両、航空機の内装、カメラ(ニコン)、家具、さらには時計やパスタなど、幅広い分野の工業デザイン(インダストリアルデザイン)を手掛けている
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