| 実際に使ってみると、そもそもの設計思想が違うようだ |
さて、DJIのビデオカメラ、OSMO POCKETを購入。
DJIはドローンの製造販売にて急成長した中国の企業ですが、最近はドローンを飛ばせない場所がほとんどなのでドローン市場の成長が見込めず、そこでビデオカメラに活路求めたのか、最近になって積極的にビデオカメラシリーズを展開しています。
ちなみにOSMOには、このPOCKETのほかにGoProっぽい形と機能を持つ「ACTION」というアクションカメラがラインアップされていて、しかしぼくはすでにGoproシリーズを使用しているということもあり、今回はGoProと使い方が重複しないOSMO "POCKET"を購入することに。
GoProとOSMO POCKETはどう違うのか
そこでGoProとOSMO POCKETとの違いですが、もっとも大きな部分は「手離しで撮るか、手で持って撮るか」。
GoProは基本的にヘルメットなどに取り付けて「手放し」での撮影を前提としていて、OSMO POCKETはその形状からして「手で持って」撮影を行います。
もちろんGoproも手で持って撮影しても構いませんし、OSMO POCKETにも「手ぶら用」オプションが多数発売されていますが、その基本形態の差は大きく、両者ともそれにあわせて性格付けがなされ(というか使用目的がその形状を決定したと言える)、それに応じた機能が与えられているわけですね。
GoPro HERO8はこんなカメラ
現在ぼくが使用しているGoPro HERO8 Blackのほうから説明してゆくと、こちらは「アクションカム」なので、もともと防水(10M)・防塵機能を持っていて、作りもタフ。
つまりアウトドアアクティビティやスポーツにおいてガンガン使えるということですね。
サイズは幅6.63センチ、高さ4.86センチ、奥行き2.84センチ、重量は126g。
有効画素数は12M、動画は4K/60fpsに対応しています。
画角はスーパービュー、広角、リニア、狭角に設定でき、撮影モードはバースト、ナイトフォト、タイムラプス、スローモーション等多数。
モニターは2インチのタッチ式。
なお、GoPro HERO Black7に比較するとグラフィカルで見やすくなり、直感的に操作できるようになったと思います。
なお、こういったアクションカメラの常として、あまり詳細なスペックが公開されておらず、数字での比較は非常に困難。
これが例えば一眼レフデジタルカメラになると「スペックでの比較」が重要な意味を持つので、各社ともこれでもかというほど数値を並べるものの、こういったビデオカメラの場合は、数字よりも「何ができるのか」というほうが重要視されているようです。
OSMO POCKETはこんなカメラ
対するOSMO POCKETに防水性能は無く(オプションで防水ケースもある)、しかし最大の特徴は、映像を安定化させることができるジンバルを装備していること。
よってなめらかな映像を残せるということになり、こちらはモノのレビューや食レポといった使い方に向いているかもしれません。
さらに形状は「細長く」、置いたときの安定性に欠けるので、オプションの三脚などを使用しないのであれば「手で持つ」必要も。
なお、OSMO POCKETはその名の通りポケットに入る小さなサイズが特徴で、高さは約12センチ、幅3センチ、奥行き3.7センチほど。
重量は116グラムと軽量です。
そしてジンバルについてですが、これは3軸によって映像がブレないようにするための構造。
GoPro HERO8にも手ブレ補正機能が内蔵されているもmのの、こちらは撮影後にブレをデジタル処理で除去するものなので、実際の効果からすると、物理的に撮影段階からブレを排除するOSMO POCKETに軍配が上がるのは間違いなさそう。
ちなみにこのジンバルはカメラの自重でカメラの向きを安定化させるものではなく、動力によってカメラを強制的に「一つの方向に」保持します。
クルマでいう「アクティブサス」のよううなものですね。
カメラ性能について触れておくと、センサーは1/2.3インチ、F値は2.0、画角は80度、有効画素数は12M、動画は4K/60fpsに対応しています。
なお稼働時間は140分で(充電時間は73分)、電源はリチウムイオンバッテリー。
充電についてはUSB経由にて行うことができます(GoPro HERO8はPC経由か専用もしくは対応アダプターを使用しないとUSBを使用した充電ができない)。
記録媒体はマイクロSDです。
そのほか便利な機能だと、モニター状の被写体をタップすれば、撮影中はその被写体を追いかけるという機能も。
これはドローンにて培った技術なのでしょうね。
構造的な部分で述べておかねばならないのは「ユニバーサルポート(多機能性拡張インターフェース)」。
これは本体中央辺りに設けられたスロットで、ここに様々なパーツを差し替えることでスマートフォンを接続したり、様々なホルダーを接続したりといったことが可能となります。
こういった感じで本体表面のカバーを外して・・・。
iphone用接続コネクタを装着すれば・・・。
iphoneをモニターとしても使用可能。
購入時にはiphone用コネクタ、そしてUCB-C端子が付属していますが、オプションでは正規/社外品とも多数の製品が発売されており、様々なものをここへ接続することが可能です。
実際に使ってみるとどんな差が?
まず、両者について起動速度はドッコイ。
ただ、撮影開始な状態になるのはOSMO POCKETのほうが若干早く、モニターの起動はGoProのほうが早いようですね。
モニターの見やすさもよく似ていますが、Gopro HERO8 Blackのほうがサイズが大きいため、見やすさやタッチパネルでの操作性はずっと上。
ただ、カメラの停止についてはOSMO POCKETのほうがGoPro HERO8 Blackよりも「数倍」速いようです。
携帯性に関してはやはり軽量ということもあってOSMO POCKTEのほうが圧勝。
GoProは本体が重い上に、グリップなどのオプションを装着するとさらに重く、大きくなります。
実際に撮影した映像についてもほぼ変わらず、強いていえば、GoProのほうが鮮やかなようにも感じられ、ちょっと暗いところだとGoPro HERO8 BlackよりもOSMO POCKETのほうが鮮明に映るという印象もありますが、このあたりの比較は後日あらためようと思います。
ただ、画角は大きく異なり、GoProはその性格上「広角」に対応していますが、OSMO POCKETはGoProでいう「狭角」でしか動画を撮影できないので要注意。※サードパーティーからワイドコンバージョンレンズも発売されている
OSMOは後発だけあってGoProをよく研究しているという印象もあり、一部の「エクストリームな」アクティビティを行う人は”Action”のほうに任せ、こちらのPOCKETについては日常使いに特化した模様。
よって、GoProの一部機能を「不要」だと考えていた人にはうってつけの選択肢でもあり、使い方次第では非常に有用な製品だと言えそう。
つまり防水性や広角撮影に魅力を感じず、日常や街なかでの撮影だとOSMO POCKETのほうがいいかもしれません(サイズが小さく目立たないので、周囲を警戒させにくいのもメリット)。
撮影時間についても、ジンバルという特殊機能を持ちながらも、モニターが小さいせいか、体感上はOSMO POCKETのほうがずいぶん長いという印象。
実際のところ、どちらが良い悪いといった判断ができるものではなく、OSMO POCKETとGoProは、競合するという立場よりも、用途や環境において「使い分ける」関係にあると捉えたほうがいいのかもしれませんね。
実勢価格だと、OSMO POCKETは4万円弱、GoPro HERO8 Blackは5万円ちょっとというところです。