| 韓国企業はいつもアグレッシブだ |
米ロイターによると、「アメリカの港で、入港したヒュンダイの車の在庫が積み上がっている」とのこと。
要はヒュンダイが「アメリカでの需要を考えずにクルマを作りまくってアメリカに送り続けていて」、アメリカのヒュンダイディーラーは(状況が状況なので)クルマが売れず、しかも自社の倉庫もいっぱいいっぱいなので、入港したクルマを受け取ることができないという事情だそう。
現在ヒュンダイは自動車業界だと、フォルクスワーゲン、トヨタ、ルノー=日産=三菱、FCA-PSA、GMに次ぐ6位。
そしておそらくは、コロナショックにて販売を落とす各社を尻目に販売を伸ばし、あわよくばこのポジションを上げようということなのかもしれません。
ヒュンダイはいち早く工場稼働と生産を回復させた
実際のところ、GMやFCAといったアメリカの自動車メーカー、多くの欧州の自動車メーカーは5月まで生産を見合わせており、しかしヒュンダイは韓国工場での生産を(3月比で)98%にまで回復させており、しかも米に対する輸出台数は前年同期比の4%増しとなる33,990台。
アメリカ国内での自動車販売が50%も減少しているという状況においてこの数字は異常としかいいようがなく、これを見ても「とにかくこの状況でもクルマを売りたい」というヒュンダイの姿勢を見て取ることができます。
なお、ヒュンダイはコロナショック発生初期から積極的なプロモーションを行っていて、日米欧どのメーカーよりも(報じられる範囲においては)早い段階から支払猶予などのキャンペーンを打ち出しています。
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実際のところ、ヒュンダイがこのキャンペーンを打ち出した3月上旬は、欧米ではそこまでコロナに対して深刻な影響が出ておらず、よって「そこまでやるか・・・」という印象であったものの、その後一週間で状況が激変し、アストンマーティンやランドローバー等各社が一気に値引きやリース金利引下げなどを行い、ヒュンダイに追随することに。
こういった状況を見ると、ヒュンダイのアクションは非常に早かったといえ、つまり「混乱に乗じた(混乱を制したと言うべきか)」という印象も感じられます。
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そんなわけでとにかく積極的に動いたヒュンダイではあるものの、ここまで環境が悪化してしまうとさすがに様々なキャンペーンも成功せず、ヒュンダイディーラーでも思うように販売活動を行えなかったためにセールスが激減。
ヒュンダイディーラーは「5月半ば以降は平常に戻る」という見解を述べており、積み上がった在庫も徐々にさばける可能性もありそうですが、もしこの状況が続くのであれば「従業員を解雇しなくてはならないだろう」とも。
実際のところこの先どうなるのかはまったく読めず、各自動車メーカーは「思ったより悪くなる」ということも予想しておかなければならないのかもしれません。
韓国企業はいつでもアグレッシブ
なお、私見ではありますが、韓国企業は非常にアグレッシブで、その理由の一つには「成果を出さないとすぐにクビになる」という文化が根底にあるように思います。
それはヒュンダイのような大企業であればあるほど強く感じられ、一時、一緒に仕事をしていた韓国人によれば「飛行機に乗っているときにまで必死で仕事をしているのはだいたいヒュンダイかサムスンの社員だ」。
そして、台風などで欠航となる中、一番最後まで飛んでいるのは大韓航空だという話も聞いたことがあり、こういった生存競争の厳しさがもはや染み付いているのかもしれません。
VIA:Reuters