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ランボルギーニの1モデルあたり販売台数は2,735台、フェラーリは2,532台。なぜランボルギーニはフェラーリを捉えることができたのか?

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| ただしコロナ後はどうなるのかわからない |

さて、東洋経済にて、「ランボルギーニがフェラーリに肉薄できた理由」という記事が掲載に。

様々な角度から、そしてランボルギーニの歴史にもスポットを当てており、なかなかに興味深い記事となっています。

内容としてはおおまかに、「ランボルギーニがフェラーリに肉薄できた理由」として下記を挙げているようですね。

これらについて、ぼくなりの見解も加えて紹介してみたいと思います。

・後発の利を活かし、効率的な生産体制を整えた
・先見性をもったマーケティングを行った
・アウディの技術などグループのリソースを活かせた

現在のランボルギーニはどういった状況なのか

まず、ランボルギーニの2019年通年における販売は8,205台。

対するフェラーリは10,131台なので、その差は1,926台となっています。

なんだまだまだ差はあるじゃないという感じですが、ランボルギーニの成長は下記のグラフの通りで、まさに「破竹の勢い」。

その原動力はウルスであることは間違いなく、しかし「ウルスを発売できたのもランボルギーニならでは(後述)」。

ちなみにランボルギーニは(カタログモデルだと)「アヴェンタドール、ウラカン、ウルス」の3モデル、フェラーリは「ポルトフィーノ、F8、812、GTC4ルッソ」の4モデル。※今後はポルトフィーノが後継車に置き換わり、ローマやSF90ストラダーレも加わる

1モデルあたりに換算すると、ランボルギーニは2,735台、フェラーリは2,532台となっていて、モデルあたりの販売台数だと「すでにランボルギーニはフェラーリを抜いた」と言えるかもしれません。

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ランボルギーニは後発の利を活かし、効率的な生産体制を整えた

そしてまず生産体制について。

フェラーリの創業は1947年、そしてランボルギーニの創業は1963年となりますが、記事では、当時「イタリアのスーパーカーメーカーは、ボディやシャシーを周辺のカロッツェリアに発注し、それらのコンポーネントを自社工場で組み立てるアッセンブラーだった」のに対し、ランボルギーニは「自動車は近代的な工業製品」であるべきだと捉え、内製率を高めたと述べています。

1930年代は「シャシーやエンジンを自動車メーカーから買って、その後にボディを自分の好みに合わせてコーチビルダーに作らせる」という手法が一般的で、それがしばらく続いたわけですが、これは自動車が高嶺の花であり量産する必要がなかったから(しかも買うのはお金持ちだけだったので、そういった人々の要望に応えることのほうが重要だった)。

ただ、その後モータリゼーションの波がやってきて自動車が一気に普及することになり、ランボルギーニはそういった流れの中で設立されただけあって、より効率的にクルマを生産するということを考えたわけですね。

なお、ランボルギーニ創業者であるフェルッチョ・ランボルギーニは技術者でもあり、すでにエアコンや冷蔵庫製造・販売において財を成していたため、「生産効率」の重要性を誰よりも理解していたのかもしれません。

現代においては「マクラーレン」がこれに相当し、デジタル化やカーボンファイバー加工技術が進んだ時代において、過去の遺物を切り捨てた設計を持たせ、それに特化した設計や生産を行うことで極度に効率を向上させ、コストパフォーマンスの高いクルマを作っていると考えています。

ランボルギーニは先見性をもったマーケティングを行った

フェラーリ創業者であるエンツォ・フェラーリはもともとレーシングドライバーであり、レース以外には興味がなく、市販車ビジネスをはじめたのも「レースのための活動資金を獲得するため」。

一方のランボルギーニはビジネスマンであり、常に「どうすれば自分に利益が入ってくるか」を考えたようですね。

大矢アキオ訳「ザ・スピリット・オブ・ランボルギーニ」にはこのあたりに様々な記載があり、従軍していた際にも、自分のポジションを高めるために行った様々な戦略、戦乱に紛れてお金を稼いだこと、そしてそのお金を隠匿し、戦争が終わってから回収して起業資金にしたこと(貨幣は価値が下がるので金で保管)などが記載されていて、先天的に「商才あふれる」人であったこともわかります。

「トラクターで財を成した」と紹介されることも多く、しかしこれも「戦後、物資が不足してトラクターも足りず、しかし今後需要が伸びるであろうこと」「軍隊で使用していた(トラックに積まれる)ディーゼルエンジンが余っていたこと」から、その両者を結びつけ、需要を見出してお金に換えたというほうが正しいかもしれません。

若い頃からバイクで暴走したり、クルマ弄りに興味を示すなど「乗り物好き」であったことも伺えるエピソードもあるものの、エンツォほどの「スポーツカーに対する情熱」はなかったようで、スーパーカービジネスに参入したのはよくある「お金持ちの道楽」ではなく、「お金儲けができるから」だったというのが通説。

よく言われるのは「自分が乗っているフェラーリが壊れ、フェラーリに文句を言いに行ったら軽く扱われた」ことでフェラーリに対抗心を燃やし、自分でクルマを作ることにしたというものですが、これは様々な話を総合するに、商才に長けたフェルッチョ・ランボルギーニがブランドの宣伝のために作り上げた「フェイク」。

実際にフェルッチョ・ランボルギーニとエンツォ・フェラーリは何度か(記録では4度と言われる)会合を持っており、ランボルギーニ婦人も「抗議に行ってない」と語っています。

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加えて、息子であるトニーノ・ランボルギーニの著書によれば、「道行くフェラーリを見つけてはランボルギーニのクルマで勝負を挑み、打ち負かしてはランボルギーニ社の宣伝をしていた」という記載もあり、よって「フェルッチョ・ランボルギーニは、新規参入のビハインドをはねのけるため、フェラーリをダシにした」と考えるのが妥当かもしれませんね。

さらに、「スーパーカーを作れば、本業である冷蔵庫やエアコンの宣伝になる」とも語り、実際にミウラを(自社の製造する)冷蔵庫やエアコンの広告に、美女とともに登場させたこともあるようです。

もちろん、この背景には「フェラーリを分解したら、トラクターと同じパーツが使用されていて、これなら自分でも作ることができ、かつフェラーリ並の値段で売れるのであれば、いいビジネスになると判断した」という通説も関係していると考えられます。

そのほか、フェラーリの「馬」に対抗した「牛」エンブレム、フェラーリのバックボーンであるモータースポーツには参戦しないという方針、フェラーリの乗り心地の悪さ、快適性の低さを引き合いに出した「快適で、隣にの乗せたご婦人のメイクが落ちないGTカー」という主張などを見るに、やはりフェルッチョ・ランボルギーニはフェラーリに直接自社の製品をぶつけることで、その知名度を上げることを考えたと言えそう。

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加えて、自ら「巨人(フェラーリ)に挑む挑戦者である」というイメージを作り上げることで、同じように挑戦し、成功した人々の共感を得ることを目指したのでしょうね。

こうやって見ると、フェラーリの場合は「モータースポーツで勝利を収める」という唯一無二の姿勢が後追い的にブランドを形成したのに対し、ランボルギーニでは当初から「こうあるべき」というイメージをもってビジネスを開始し、そのための広告活動を行ってきたところが大きな相違だと捉えています(フェラーリは広告活動を行わない。モータースポーツで勝つことのみでブランド価値を向上させることができるから)。

ただ、1960年代後半に入ってイタリアでは労働争議が活発化することになり、フェルッチョ・ランボルギーニはこれに嫌気がさすことに。

さらにはトラクター事業の不振もあって創業からわずか8年後の1971年に会社を売却し、その後はワインづくりとバラ栽培に人生の価値を見出すことになりますが、このあたりも「最後まで自社が保有するサーキットの横に住んでいた」エンツォ・フェラーリとは対極をなすところですね。

ちなみにエンツォ・フェラーリの徹底した排他性(売る人を選ぶ)、常に”顧客が求めるよりも1台少なく作る”という希少性重視戦略についてはマーケティングを意識したゆえの行動ではないと考えていて(当時はそういった言葉もなかったと思う)、しかし結果的に世界最強のブランドを作り上げる基礎となったのもまた、エンツォ・フェラーリが常人にはない先見性を持っていたという証なのかもしれません。

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ランボルギーニはアウディの技術などグループのリソースを活かせた

そして最後の「グループ内リソースの活用」。

ランボルギーニが業績を伸ばしたのは1999年のフォルクスワーゲングループ傘下に入ってからで、さらに言えば2004年にガヤルドを発売してから。

このガヤルドはアウディR8と多くを共有していますが、前期型ではVWグループの資金的バックアップ、後期型ではアウディの技術注入によって成功したとも言えそう。

そして現在販売の半数を占めるウルスについても、ポルシェの基本設計によるV8ツインターボ、アウディの開発したインターフェース、ポルシェ・カイエンやアウディQ7/8、ベントレー・ベンテイガとも共通する車体や4WDシステムを活用することで「早く、安価に、信頼性の高い」新型車を開発することができたわけですね。

現代の自動車は「車体とエンジンさえ作れば」いいというわけではなく、「その他」のコストが膨大になっていて、よって新型車を開発する際のコスト的負担が膨大。

そのために共同開発やバッジエンジニアリングが一般的になっているわけですが、ランボルギーニは「業界最先端の技術」を容易に使用できる立場にあります。

現在の自動車におけるエレクトロニクス関連が占めるコストは「40%」。2000年代初めには20%程度だった電子制御装着率が現在では80%にも達したことがその理由

| おそらくこの傾向は想像するよりも速く進むことになりそうだ | 現代の自動車のコストにおけるエレクトロニクスの割合はなんと「車両の40%にものぼる」という報道。2004年にはスタビリティコントロール ...

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加えて、ランボルギーニはもともと「GTカーメーカー」であり、スーパーカーのみを生業としていなかったこと、モータースポーツに参戦していなかったこと、そして「LM002」というオフローダーをすでに販売していたということからも、ウルスを発売するにあたってさほど違和感はなく(そしてサルーンもブランド設立時の方向性にマッチしている)、しかしモータースポーツをそのブランドの根幹とし、かつ独立系であるフェラーリやマクラーレンがSUVを発売するのは(ブランドイメージ的、技術的に)難しいという現実があるわけですね。

フェラーリからはじき「プロサングエ」と仮称されているSUVが発売されることになりそうですが、やはり一部からの反発は免れることはできず、しかしそういった点においても、ランボルギーニはそもそも「商業的可能性を追求し、誕生した会社である」ために有利な状況にあるのかもしれません。

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なお、コロナ禍における販売状況を見るに、やはりフェラーリは盤石の強さを見せており、ランボルギーニに比較しても飛び抜けた強さを持っています。

そしてランボルギーニに迫ろうとしていたマクラーレン、アストンマーティンは一気に崩れることとなってしまい、フェラーリとの競争から一気に脱落してしまったという印象も。

残るランボルギーニが今後どれだけの強さを発揮できるのかはわかりませんが、歴史的背景、そして現在の環境に起因する強みを活かし、フェラーリを射程圏内に捉えてくれれば、とも思います。

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参照:東洋経済

 

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