| ゴールドアクセントを加え、クーペ版シアンFKP37とは異なるゴージャスさを演出 |
さて、ランボルギーニが発表を予告していた「ニューモデル」、シアン・ロードスターが公開に。
これはすでに発表・発売されているシアンFKP37(クーペ)のオープン版ということになりますが、今回のロードスターには「FKP37」の文字がつかないようですね。
なお、この「FKP37」とは、ランボルギーニをアウディグループに組み入れ、復活のきっかけを作ったフェルディナント・K・ピエヒ氏の頭文字、そして誕生年(1937年)にちなんだもの。
同氏はポルシェ一族の一人で、ポルシェ、メルセデス・ベンツを渡り歩いた後にアウディに入り、そこで「クワトロ」等の画期的なシステムを採用した人物。
その功績が認められ、最終的にはフォルクスワーゲングループの会長職にまで上り詰めています。
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シアン・ロードスターの限定台数は19台
なお、今回のシアン・ロードスターについて、限定台数は「19台」。
シアンFKP37の限定台数が63台だったので、今回の限定台数はかなり少ないということになりますね。
なお、フェラーリだと基本的に「オープンモデルの生産量を抑えて希少価値を高める」戦略を取るものの、これまでのランボルギーニに限ってはそうではなく、レヴェントン/レヴェントン・ロードスター、アヴェンタドールSV/アヴェンタドールSVロードスター、チェンテナリオ/チェンテナリオ・ロードスター、ヴェネーノ/ヴェネーノ・ロードスターなど、クーペとオープンとで同じ台数、もしくはオープンのほうが多いケースも。
もちろん、この19台は全て完売している、と報道されています。
そのデザインは「カウンタック」へのオマージュ
まずはシアン・ロードスターの外観を見てゆきたいと思いますが、デザイン的にはカウンタックを強く意識しており、フロントフード上の台形型の段差、テールの6連ランプユニットはその最たる例。
シアンFKP37だと、ルーフ上にもカウンタック同様の意匠が見られますね。
オフィシャルフォトではシアンFKP37同様にゴールドのアクセントを持ちますが、これもかつてのランボルギーニ製スーパーカーへのオマージュなのかもしれません。
近年だと、ウラカン・ペルフォルマンテにて「ゴールドのエンジンカバー」、そしてゴールド(ブロンズ)ホイールが復活していますが、このエンジンカバーは「ディアブロSE30」からインスパイアされたものだとされています。
なお、ゴールドのアクセントはフロントスプリッター、サイドステップ、リアディフューザー、ドアミラーにも用いられ、これらはシアンFKP37には見られなかったデザインでもありますね。
こちらはリアウイングを「閉じた」状態。
このシアン・ロードスターには「アクティブ・クーリングベント」なるデバイスが追加され、エンジンが高温になると冷却のためにオープンするそうですが(おそらくリアフード上)、これはランボルギーニのコンセプトカー、「アステリオン」に採用された技術で、今回市販車に初採用された、ということになりそう。
もともとシアンFKP37の時点において、ランボルギーニの重要なデザインエレメント「六角形(ヘキサゴン)」を強く押し出していたものの、シアン・ロードスターではさらにその傾向が強まり、「オープン化によって」新しくデザインしなおされた部分にも六角形が用いられているようですね(加えて、オフィシャル画像の背景、たとえば壁や床、天井も六角形)。
そして「ゴールド」アクセントは、インテリアにおいても積極的に採用されています。
シアン・ロードスターはランボルギーニ「2台目の」ハイブリッド、オープンモデルでは「初の」ハイブリッド
シアン・ロードスターに搭載されるエンジンはアヴェンタドールSVJと同じ6.5リッターV12。
これにスーパーキャパシタとエレクトリックモーターによるハイブリッドシステムを組み合わせることで総合819PSを発生します。
0-100km/h加速は2.9秒(クーペ比で+0.1秒)、最高速度は350km/h。
エレクトリックモーターのみの出力は33馬力で、これはトランスミッション内に組み込まれており、駐車時など、ごく低速の状態に限っては「EV走行」が可能となります。
ちなみにシートとシートとの間、後方にあるのがシアン・ロードスターに搭載されるエレクトリックシステムの核、「スーパーキャパシタ」。
いわば超高性能なコンデンサですが、現時点では他メーカーが使用していない技術でもあります。
軽量コンパクトという利点があるものの(同容量のリチウムイオンバッテリーに比較すると重量は1/3)、容量が小さく、EV走行距離が短いという特徴もあり、現時点では「マイルドハイブリッド的」デバイスと捉えるのが妥当かも。
このスーパーキャパシタのカバーについても、「六角形」同様にランボルギーニにとって重要な「Y」が強調されたデザインに改められていますね。
参考までに、このスーパーキャパシタのおかげで、ハイブリッドシステムの総重量は34kgに収まっている、とのこと。
加えてスーパーキャパシタのもうひとつのメリットは「充電と放電パワーがイコール」であることで、たとえば(レベルによると思いますが)ブレーキングだけでもスーパーキャパシタをフル充電することができる、と紹介されています。
そして貯めたパワーは時速130キロまでの加速において放出され、加速についてはこのシステムを積まない場合に比較し、「10%」速くなるのだそう。
さらにはシフトチェンジの際の「トルクの谷間」を埋める機能も持ち、変速ショックを抑え、よりスムーズなドライブに貢献する、としています(シアンFKP37/シアン・ロードスターに搭載されるトランスミッションはデュアルクラッチではなく、シングルクラッチのISRなので、シフトチェンジの際にはわずかだが”ラグ”がある)。
スーパーキャパシタはランボルギーニのスーパーカーにおける未来?
なお、このスーパーキャパシタについて、ランボルギーニはシアンFKP37に採用した当初、「シアンのみに採用されるものであって、ほかのスーパーカー、つまりアヴェンタドール後継、ウラカン後継には使用しない」とコメント。
その理由は不明ですが、おそらくは「価格」面での問題があったのだと考えています。
ただ、最近では「アヴェンタドール後継、ウラカン後継にもスーパーキャパシタを採用する」可能性をほのめかしており、今回のシアン・ロードスターの発表にあたって、ステファノ・ドメニカリCEOは「シアンに搭載される、スーパーキャパシタを使用したハイブリッドパワートレーンは、ランボルギーニのスーパースポーツの今後の方向性を示す先駆的存在であり、時代の要望に対する新しい解決策」だと述べているため、アヴェンタドール後継、ウラカン後継モデルは「シアン同様のハイブリッドパワートレーンを積む」と考えて良さそうですね。
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すでに完売済みとなった19台のシアン・ロードスターはすべて顧客の要望に従ってカスタムされることになりますが、これはランボルギーニのパーソナリゼーションプログラム、「アドペルソナム」を通じて行われる、とのこと。
ボディカラーはもちろん、内装のカラー/素材にも無限の選択肢があり、エアベントには3Dプリンタにて、オーナーのイニシャルを入れてくれる」サービスもある模様。
現時点でシアン・ロードスターの価格は公開されていないものの、シアンFKP37の「2億7000万円」よりも遥かに高価であることは間違いなさそうですね。
参照:Lamborghini