| よくよく考えると「あり得る」話でもある |
まさかのまさか、ブガッティがリマックに売却される、との報道(現時点では確報ではない)。
現在ブガッティはフォルクスワーゲングループに属していて、そしてリマックについては(やはりVW傘下の)ポルシェが出資しているために「ブガッティとリマック」とは全くの無関係ではないものの、これはかなりな衝撃です。
なお、リマックはクロアチア出身のメイト・リマック氏によって2009年に創業された新興EVメーカーで、これまでに「コンセプト・ワン」1車種のみを発売しおり、しかもトータルでの販売台数は10台のみと報じられています。
その後リマックは「C_Two」を発表していますが、こちらはまだ1台も顧客のもとにはデリバリーされておらず、つまり110年あまりの歴史を持つブガッティが、トータルでの販売台数10台のリマックに買われるということになりますね。
11年しか歴史のないリマックが110年の歴史を持つブガッティを買う
ただ、これには様々な思惑があるのだと思われ、まずフォルクスワーゲングループは総出で「エレクトリック」という方向へ向かっているものの、ブガッティは「行けるところまでガソリンで行く」という方針。
つまりブガッティは親会社の方向性とは合致しておらず、かつリッター2キロちょっとという燃費の悪さに起因してCO2排出量が極端に高くなっており、フォルクスワーゲングループにとっての「足かせ」となっているのも事実だと思われます。
そして一方のリマックですが、こちらはエレクトリックカーのみを生産しており、よってクルマ自体のCO2排出量はゼロ。
そのためブガッティを購入し、ブガッティをガソリンエンジンのまま存続させたとしても会社全体のCO2排出量を低く抑えることが可能だと思われます(そのためにはC_Twoをたくさん売らねばなりませんが。そして来たるべきときには、ブガッティをハイパーEVとして市場に送り出せる)。
フォルクスワーゲングループはブガッティを可能な限り存続させたかった
ここで思い至るのは、フォルクスワーゲングループが(CAFE規制超過による)罰金をより小さくし、しかしブガッティをコントロールできる範囲内にある相手としてリマックを選んだんじゃないか、ということ。※つまりブガッティを存続させるために最適な方法を模索した
上述のようにリマックとポルシェとは関係性が深く、そしてポルシェはフォルクスワーゲングループ傘下であり、ちょっと前には「ブガッティもリマックの技術を使用する」というウワサも出たほどであり、要は今回のブガッティ売却について「出来レース」なんじゃないかということですが、これはぼくの妄想にしか過ぎません。
しかしこれが事実もしくは可能な限り事実に近いとなると、ポルシェはリマックに対してさらに投資を行って現在の15.5%より高い出資比率を獲得するものと思われ、しかし過半数を超えると事実上の子会社になってしまい、となればリマックも間接的にフォルクスワーゲンのグループ企業となってしまうのでブガッティ売却が無意味となり、一定のところ(最大49%)で出資比率を抑えるのかもしれません。
なお、報道では先週にフォルクスワーゲンの役員会にて承認がおり、しかしまだ契約書には判を押していない状態だとされ、続報に期待したいところです。
参照: Car Magazine