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| ブガッティは「ヴェイロン」にて誰もが想像すらしなかった領域に到達した |
そのスタートは「一人の男の夢」である
さて、ブガッティはここ数回にわたり「ヴェイロン誕生秘話」を公開していますが、今回はその「試作車(プロトタイプ)」に関わるコンテンツがリリースされることに。
ブガッティ・ヴェイロンは単なるスーパーカーではなく、それは「技術の限界を超える」ことを目指した、ひとりの天才エンジニア――フェルディナント・ピエヒ博士(ポルシェ一族)の夢を具現化した存在でもあります。
ピエヒ博士が描いたのは「昼はサーキットで圧倒的なパフォーマンスを発揮し、夜はオペラハウスへと静かに乗りつけられるクルマ」。
その理想は、やがて「ヴェイロン」として結実し、「ハイパーカー」という新たなカテゴリを生み出すことになるわけですね。
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“不可能を可能にした”試作車「シャシー5.0」
その夢を現実可能にしたのが最終試作シリーズに属する「シャシー5.0」。
2005年初頭、ブガッティのテストチームがこのクルマを初めて路上に送り出した瞬間、世界は“次元の違うクルマの誕生”を目撃することになるのですが、この個体はヴェイロンの量産化を決定づけたテストベッド(実験台)として、膨大な走行試験と改良を繰り返すことになる存在として知られています。
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10基のラジエーターによる冷却システム、7速DSGデュアルクラッチトランスミッション、そして1,001PSを発生するW16 8.0リッタークアッドターボエンジン。
これらすべてが「シャシー5.0」で最終調整され、ヴェイロンの完成形へと繋がってゆくのですが、当時のブガッティ品質保証責任者、そして現在ブガッティ社長を務めるクリストフ・ピオション氏はこう語ります。
「初めてシャシー5.0を運転した瞬間、ピエヒ博士の夢が現実になったことを確信した。あのW16の咆哮は、まさに“人間が作り出した自然現象”のようだった。」
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技術者たちが挑んだ“完璧”への道
この試作車は、単なる走行試験だけでなく、生産工程の確立にも大きく貢献したといい、ブレーキディスク裏にチタンプレートを装着するなど温度管理と制動力を両立させる新技術が生まれたのも「このクルマの試験から」。
また、アルミパネルやカーボンパーツの塗装品質、組立精度の検証にも活用され、最終的にヴェイロンだけでなく後継モデル「シロン」にもその知見が継承されているのだそう。
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ブガッティの魂を形にした男──ピエール・ヴェイロン、その軌跡と名前に込められた意味とは
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世界へと羽ばたいた“伝説の試作車”
「シャシー5.0」はその後、ブガッティの象徴として世界各地のメディア試乗や展示会に登場しており、イタリア・シチリア島での初試乗会や、BBCの人気番組『トップギア』への出演を通じて世界中の人々に“ハイパーカー”という新しい概念を知らしめたほか、ル・マン24時間レースのベテラン、ピエール=アンリ・ラファネル氏が公式デモンストレーターとして世界を巡り、ブガッティの技術と哲学を啓蒙した存在としても記録されています。
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そして今も生き続ける「夢」
役目を終えた後、このクルマはモルスハイム(ブガッティ本社)のアトリエへと戻り、現在のブラック×スターリングメタリック仕様にリストアされ、今なおブガッティの“伝統・情熱・性能”を象徴する存在としてブランドを鼓舞し続けていますが、ヴェイロン誕生から20年を迎える今、ブガッティのDNA――「夢を現実にする技術」は、次世代ハイパーカー「トゥールビヨン」へと確かに受け継がれ、新しい時代を作り上げた先駆者としての役割も存分に果たしているようですね。
「すべての夢は一滴のインスピレーションから始まる。シャシー5.0は、その一滴が“海のような可能性”へと広がった証だ。」
ブガッティ社長 クリストフ・ピオション
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数値上の性能だけでなく、“走る芸術”を量産化したという点で、他のどんな自動車メーカーも到達していない領域に達しており、「シャシー5.0」は、まさに“夢の具現化”を成し遂げた一台ということになりますね。
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