| マクラーレンは限定社の販売手法について「ちょっとした変更」を取り入れたようだ |
マクラーレンがかねてより話題となっていた新型ハイパーカー、「セイバー(Sabre)」を公開。
正確に言うならばアメリカ市場限定にて投入されるクルマであり、現地でのマクラーレン正規ディーラー、そしてマクラーレンのパーソナリゼーション部門であるMSO(マクラーレン・スペシャル・オペレーションズ)によって製造されたクルマです。
なお、マクラーレンいわく、アメリカ市場限定とすることによって「他の国では許可されないような、アイデアや革新性を盛り込むことが可能となった」。
北米市場は「オレンジのフロントサイドマーカー」「5マイルバンパー」といった摩訶不思議な規制があり、少し前までは「ヘッドライトのレンズカバーNG」といったものも。
一方ではかなり登録に関する規制が緩いことでも知られ、騒音についても欧州よりは「寛容」らしく、セナにおいても欧州仕様と北米仕様のエキゾーストシステムが異なることが明かされています。
そしてこのセイバーについては、もしかするとガソリンエンジン(単体)搭載ハイパーカーとしては「最後の世代」になるかもしれず、コレクターたちが「可能な限り過激なスペックで」コレクション価値の高いモデルを望んだ結果なのかもしれません。
マクラーレン・セイバーの限定台数は15台
このマクラーレン・セイバーの限定台数はわずか15台だとアナウンスされており、最初の一台はすでにマクラーレン・ビバリーヒルズ経由にて納車済み。
そしてこの15台はそれぞれ、マクラーレンのデザイナーとの連携によって個別の仕様が与えられるべく調整されており、いずれも「世界で一台のみ」のスペックを持つようです。
なお、マクラーレンは北米市場を非常に重視しており、現地の正規ディーラーとの共同企画にて、これまでにもいくつか「北米限定、もしくはディーラー限定」モデルを発表しており、それらはいずれも「固有の」仕様を持つに至っています。
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マクラーレンは「顧客とともにクルマを作り上げる」ビジネスモデルを確立?
そのほか、世界中の有力顧客向けに「5台限定、それぞれ顧客の好みに応じたカラーリングを持つ」セナGTRもリリースしており、マクラーレンはこういった「限られた顧客向けの特別仕様車」製作に注力しているようにも。
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この手法であれば、エルヴァのように「完売できずに限定台数を引き下げる」必要もなく確実に販売でき、かつ(台数は少ないながらも)単価(利益)を上げることができるため、マクラーレンにとっては効率的だとも言えそうですね。
さらにマクラーレンはこの「セイバー」の開発過程、そして顧客ごとのスペックを決定するにあたり、顧客を英国のマクラーレン本社へと招いたり、プロトタイプを北米(カリフォルニア)へ持ち込んで走らせることで顧客の意見を反映させており、こういったプログラムもまた、マクラーレンに対する顧客の忠誠心を養い、このクルマを「転売」しにくくする手法のひとつだとも考えています(様々な観点から見て、マクラーレンは今後、この手法を拡大させるものと思われる)。
セイバーは「マクラーレン史上、ガソリンエンジン車では最強スペック」
マクラーレン・セイバーに積まれるエンジンはお馴染みV8ツインターボ、しかし出力は824HP/835PS。
この数字は「マクラーレンのガソリンエンジン史上最強」スペック、かつハイブリッド搭載車を除くと最もパワフルであり、これは(上述の通り)北米仕様に限定したからこそ可能となった数字なのかもしれません。
加速性能については公表されていないものの、最高速については「351Km/h」だとアナウンスされています。
マクラーレン・セイバーのインスパイア元は「マクラーレン・アルティメット・ヴィジョン・グランツーリスモ」?
なお、このセイバーのインスパイア元は「マクラーレン・アルティメット・ヴィジョン・グランツーリスモ」だと考えられます。
こちらは2030年のハイパーカーを意識したVGTシリーズのひとつで、V8ツインターボにフロント2モーターという構成を持つ4WD。
トータルでの出力は1,150馬力に設定されています。
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このマクラーレン・アルティメット・ヴィジョン・グランツーリスモが発表された当時(2017年)、すでに「市販化」の可能性が囁かれており、3年越しにてようやく「セイバー」として計画が実現した、ということなのかもしれませんね。
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参照: McLaren Beverly Hills