| さすがにマクラーレンはハイパーカーを「連発」しすぎた |
マクラーレンはトップレンジとして「アルティメットシリーズ(P1やセナ、エルヴァ、スピードテール)」、その下に「スーパーシリーズ(720S、765LT)」、さらには「スポーツシリーズ(540、570、600、620系)」、「GT」というラインアップを持っています。
そして各シリーズ内のメンバーについてもそれぞれの個性があり、アルティメットシリーズだとP1はハイブリッドスポーツ、エルヴァはロードユースメインのドライバーズカー、セナはサーキット走行メインのリーサルウエポン、スピードテールは最高速重視のツアラーというキャラクターが与えられています。
ハイパーカー市場は飽和に近い
これは「一人の顧客に複数台数を購入してもらうため」の戦略だと思われますが、そもそもハイパーカーを購入できるだけの余裕がある人は世の中に1%しかおらず、ハイパーカーはそういった人々に買ってもらうことでしか市場が成立しないわけですね。
そして、一部の人々に「複数」購入してもらうには、それぞれのクルマの性格を分ける必要があり、それが「アルティメットシリーズの中でも固有のキャラクターが」各車に与えられている理由ということに。
ただ、それでも自ずと「限界」はあり、実際にエルヴァは予定台数を消化できず、数回にわたり限定台数を引き下げています。
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どうしてこうなった・・・。マクラーレンがまた限定ハイパーカー「エルバ」の生産台数を引き下げ、当初計画の半分以下に
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マクラーレンはハイパーカー戦略を練り直し
そして今回、マクラーレンCEOであるマイク・フルーイット氏がカーメディアAutomotive Newsに語ったところでは「我々は、エルヴァ以降、あらたなるアルティメットシリーズを発売する必要はないという結論に達した」。
マクラーレンは短期間のうちにセナ、スピードテール、エルヴァを発売していますが、マクラーレン自身も「供給過剰」だと認めており、さらにはコロナウイルスの影響にて生産能力の多くを失ったとも述べ、ここでいくばくかの”息継ぎ”が必要だとも。
次のマクラーレン製ハイパーカーは2025年以降の登場
加えてマクラーレンは次にハイパーカーを発売したとしても、それは2025年以降になるだろうともコメントしており、さらにそれは「P1の後継」というコメントも発している模様。
上で述べたように、マクラーレンのハイパーカーはそれぞれの個性を持っているということになりますが、現時点でP1の後継と言える「サーキット志向のハイブリッドスポーツ」は登場しておらず、この後継モデルこそが2025年に登場すると考えて良さそうですね。
なお、この「2025年」というのにはもう一つ理由があるとも考えられ、それは「バッテリー技術の進化」。
現時点のバッテリー技術ではサーキット走行に耐えうるだけの密度を持たず(つまり満足な容量を持たせると重くなる)、そして現在のリチウムイオンバッテリーにかわる全固形電池(ソリッドステートバッテリー)が実用化できるのが2025年ということになるのだと思われます。
マクラーレン「セイバー」は?
参考までに、マクラーレンは「セイバー」なるハイパーカーの投入を進めており、すでに北米では内覧会を実施。
こちらはセナをベースにしていると言われますが、おそらくは非常に少ない生産台数であるためか、今回の報道を見るにマクラーレンはこれを「アルティメットシリーズ」と定義していないようですね。
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