| ロールスロイス製エンジンを積み世界最速記録を達成した偉人の業績を振り返る |
このイエローの使い方は新しい
さて、ロールスロイスのバリエーションの中でも高い人気を誇るのが「ブラックバッジ」。
これは各部をダーク仕上げとし、ちょっとだけパワーアップさせたシリーズですが、今回ロールスロイスはそのブラックバッジに新しい仲間を追加しています。
これはレイスとドーンに設定され、テーマは「1930年代後半にジョージ・エイストン大尉が双発のサンダーボルトで打ち立てた陸上速度記録」。
限定台数はレイスが35台、ドーンは25台だそうですが、やはりどの自動車メーカーも「オープンモデルの限定台数を少なめに設定する」傾向があるようです。
なぜロールスロイスが陸上最速記録?
そこで疑問に思うのが「なぜロールスロイスが陸上最速記録?」ということで、これはジョージ・エイストン大尉が記録樹立のために使用していたクルマ(サンダーボルト)に搭載されていたエンジンが「ロールスロイスRのスーパーチャージャー付き37リッターV12空力エンジン(しかも2基)」だったから。
その出力は1基あたり2,000馬力以上だといい、製造されたのはわずか19基のみだとされ、このエンジンはサンダーボルトに積まれる前には水上機に使用されており、現在はロンドンの王立空軍博物館に保存されているのだそう(1946年に保管されていた建物が火事になり、サンダーボルト自体は焼失している)。
そしてセンターコンソールには「サンダーボルト」のシルエットと記録が描かれています。
ロールスロイス・ランドスピード・コレクションはこんな外装を持っている
これら限定モデルはランドスピード・コレクションと呼ばれ、ボディカラーはブラックダイヤモンドメタリックと新色のボンネビルブルー。
なお、このボンネビルブルーは「光の下で水色からシルバーに近い色へと変化する」といい、ロールスロイスによれば「ボンネビルの広大な空と爽やかな塩田の両方がサンダーボルトのアルミニウムボディに反射する様子を表現した」。
さらにロールスロイスは、サンダーボルトにブラックの矢印とイエローの円が描かれていたことに敬意を表し、今回のランドスピードコレクションにもイエローのアクセントを使用しています。※本来は、陸路でのスピード記録を検証するための光電計時装置の視認性を高めるために描かれたものだそう
なお、こういったアクセントの使い方はこれまでに見られず、なんとも魅力的だと思います。
ホイーリのセンターマークにもイエローのラインが入り、やはりこれまでのロールスロイスにはない印象ですね。
フード上のスピリット・オブ・エクスタシーはブラック仕上げ。
ロールスロイス・ランドスピード・コレクションはこんなインテリアを持っている
なお、インテリアもエクステリアに負けず劣らずの特別な仕様を持っており、レイスのルーフ内張りには2,117本の光ファイバーを使用して「ジョージ・エイストンが3度目にして最後の陸上速度記録357.497mph(575,335km/h)を達成した1938年9月16日の夜空」を完璧に再現。
ダッシュボード上には記録を達成した場所である「ソルトフラッツの亀裂」が刻まれた木目調パネル。
ダッシュボード上のクロックにもイエローのサークルが用いられます(ダイヤルの下には達成した速度記録が入る)。
ドアインナーパネルにはユニオンジャックを思わせるカラーも。
シートはおそらくソルトフラッツをイメージしたと思われるホワイトとグレー、そしてセンターにはパンチングにてストライプが再現されています。
ステアリングホイールのセンターにもパンチングにてラインが入っており、安易な「センターマーク」を用いないところはさすがロールスロイスといったところですね。
今回、ランドスピードコレクションの発表にあたり、ロールス・ロイス・モーター・カーズCEO、トルステン・ミュラー・エトベッシュ氏は「レイスとドーン・ブラックバッジに追加されたこのコレクションは、まさに勇敢で恐れを知らないパイオニア精神を持った人物を称えるものです」とコメント。
続けて「彼の名はキャプテン・ジョージ・エイストン。ケンブリッジ大学を卒業し、レーシングドライバーであり、才能ある発明家であり、工学の天才でもありました。1930年代後半、彼はロールス・ロイスのR型V12航空エンジンを2基搭載した愛車サンダーボルトで、世界陸上速度記録を3度も更新しました。しかし、彼とサンダーボルトは80年以上もの間、忘れ去られていました」と続けており、今回「忘れ去られたヒーロー」として取り上げることにしたのだと語っています。
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参照:RollsRoyce