| 内容を見ていると、もしかしたらNSX Type Sはホンダがフェイスリフト版として用意していたNSXなんじゃないかとも思える |
限定台数350台のうち300台はアメリカへ
さて、一連のティーザーを経て、ホンダ/アキュラは、2代目NSX最優限定モデル「NSX Type S」を発表。
ホンダによると「最もパワフル、最もハンドリングに優れる」NSX最優だとしており、生産はオハイオ工場にて行われ、限定台数はすでに明かされたとおり「350台のみ」。
ちょっと興味深いのは、350台のうち300台がアメリカ市場へと振り分けられることで、日本市場は30台、そしてその他で残り20台を分け合うということになります。
その外観は大きく変わる
今回発表されたNSX Type Sを見ると、そのルックスは大きく変わっており、これまではホンダが採用していた「ヘッドライトとグリルとを連結したウイング状」デザインを持っていたものの、NSX Type Sではヘッドライトが独立したデザインとなり、グリルの主張が影を潜めることに。
いうなれば他の「アキュラ」に近づいたということになりますが、こういった変更内容を見ると「もしかしたら、ホンダはNSX Type Sを、NSX Type Sのフェイスリフト(マイナーチェンジ)版として用意していて、しかしNSX生産終了という決定がなされ、開発していたフェイスリフトモデルを最終限定モデル”NSX Type S”として発売することにしたんじゃないかと思ったり。
それはともかくとしてホンダによると、新しいデザインのフロントバンパーは「冷却効果とダウンフォースを増大させる」とのこと。
インテークは大型化しスプリッターが張り出すことでそうとうにアグレッシブになったという印象です。
ホイールデザインも新しくなり、用意されるカラーはマットシャークグレーまたはグロスバーリナブラック(鍛造)。
ボディの全幅は変わらず、しかしフロントではトレッド(トラック)が0.4インチ、リアでは0.8インチ拡大され、つまりタイヤが「外に出る」ことに。
カーボンファイバー製ルーフは標準装備となり、サイドシルもカーボン製、そしてドアハンドルとドアミラーはグロスブラック仕上げが施されており、ボディカラーによっては明確なコントラストを演出することになりそうです。
そしてボディカラーといえば、注目すべきはこの「ゴッサムグレー」。
要はマットグレーメタリックですが、350台のうち70台のみにしか設定されない、とのこと。
現時点で日本国内向けの価格は公表されておらず、しかし北米だとNSX Type Sが169,500ドル、NSX Type S with ライトウエイトパッケージが182,500ドル。
オプションだと2,500ドルのカーボンファイバー製インテリア、9,900ドルのカーボンセラミックブレーキ、6,000ドルにてゴッサムグレーが用意されています。
なお、NSX Type Sのティーザー公開、NSX生産中止は日米にてほぼタイムラグ無く公表されているので、日本向けの仕様や価格についてもまもなく発表されるのかもしれません(もしくは抽選販売を行う可能性もあり、シビック・タイプRのように他国に遅れて発表されるか。ちなみに米国では受注開始済み)。
NSX Type Sはガソリンエンジン単体で527馬力を発生
搭載されるエンジンについてはアルミニウム合金製の3.5リッターV6ツインターボエンジン、そしてこれに3基の電気モーターを組み合わせ、システム合計では600ps(447kW / 608PS)、トルクは492lb-ft(667Nm)を発生し、これはNSXタイプSが、通常のNSXよりもそれぞれ27馬力(20kW / 27PS)、16lb-ft(22Nm)アップしたことを意味します。
この出力向上について、NSX GT3 Evoに搭載された新型ターボチャージャーの採用し、ブースト圧を16.1psi(+5.6%)に高めたこと、さらに新型インジェクター(流量25%増)と新型インタークーラーの採用によって実現したもので、3.5リッターV6エンジンだけで最高出力520ps(388kW / 527PS)、最大トルク443lb-ft(600Nm)を発揮。
参考までにハイブリッドシステムも性能がアップしており、使用可能な容量が20%、出力が10%増加した新しいバッテリーにより、一回の満充電あたりの航続距離が伸びているとのこと(どれくらい伸びたのかは示されていない)。
さらには9速DCTオートマチック・ギアボックスのシフトアップ・レスポンスを50%高速化し、新たに「ラピッド・ダウンシフト・モード」を搭載したほか、スポーツ・ハイブリッドSH-AWD(トルク・ベクタリング・システム)をチューニングしてコーナリング性能をさらに向上させた、と紹介されています。
もちろん足回りにもチューニングの手が及び、インテグレーテッド・ダイナミクス・システムの4つのモード(Quiet、Sport、Sport+、Track)はすべて再調整されてアダプティブ・ダンパー・システムのキャリブレーションが施されており、さらにはType S専用に設計された新しいPirelli P-Zeroタイヤ(前:245/35ZR19、後:305/30ZR20)によって高いグリップ力確保しています。
これらのほか、ブレンボ製カーボンセラミックブレーキ(ブレーキキャリパーのカラーはブラック、シルバー、レッド、オレンジの4色)、カーボンファイバー製エンジンカバー、カーボンファイバー製インテリアパッケージなどが標準装備され、標準モデル比で車両重量を26.2kg削減している模様。
つまりはパワーアップと軽量化が同時になされ、そうなると気になるのはパフォーマンスですが、今回は運動性能を数値では示しておらず、しかしホンダによれば「2022年モデルのNSX Type-Sは、鈴鹿サーキットにて、2021年型NSXよりも2秒速くなった」。
2019年モデルのNSXがすでに2018年モデルより2秒速かったことを考えると、NSXタイプSは初期のの第2世代NSXと比べて合計4秒のタイムを押し上げたことになります。
新型NSX Type Sのインテリアは「小変更」
新型NSX Type Sにおいて、外観そして機能が大幅向上したことに比較するとインテリアの変更は「かなり地味」。
新しいアルカンターラのヘッドライナー、グローブボックスのタイプSロゴ、ヘッドレストのNSXロゴ、そしてコントラストステッチ程度しか変更がアナウンスされておらず、しかし新型NSX Type Sは「インテリアなど気にしている場合ではないほど」スパルタンな、そして刺激的な走りを見せてくれるのかもしれません。
新型NSX Type Sのプロモーション動画はこちら
参照:Acura