| 欧州ではとにかく、環境に対する厳しい規制が敷かれつつようだ |
このまま一気に社会主義的な方向へと走ってしまっていいものか
さて、フランス政府は、自動車広告の後に「消費者に徒歩、自転車、相乗り、公共交通機関の利用を促すメッセージを表示することを義務付ける法律」を可決したとの報道。
フランスのル・モンド紙によると、2022年3月からラジオ、テレビ、映画の前、インターネット、印刷物などの自動車広告に「短距離の移動には徒歩や自転車を」、「相乗りを考えよう」、「通勤には公共交通機関を利用しよう」というメッセージを表示することが義務づけられる、とのこと。
つまりタバコのCMには「吸いすぎに注意しましょう」というキャプションを入れる必要があるというのと同じニュアンスだと考えられます。
ただし法案の内容はこれだけではなかった
ただし今回の法案の内容は上記の「メッセージの付与」だけではなく、ラジオを除くすべての広告の後に「#SeDéplacerMoinsPolluer」というハッシュタグ(無公害の移動)を付けなければならなくなるといい、これらのメッセージを掲示しない放送局や出版社は、最高で5万ユーロ(約650万円)相当の罰金が課せられることになります。
さらには2035年の内燃機関の全面禁止に先立ち、2028年から(フランス国内において)自動車メーカーは1kmあたり123g以上のCO2を排出する車両の広告を出すことができなくなる、とも。
ただ、この広告に関する新しい規則は厳しいように聞こえるかもしれないものの、気候変動グループが提案した、自動車メーカーが4ℓ/100km(59mpg)を超える消費、または95g/kmを超えるCO2を排出する車の広告を出さないよう働きかけた内容よりもかなり緩やかであり、このあたりは広告業界に配慮したのかもしれません。
自動車業界の一部は反発
この法案の可決に際し、フランスの自動車メーカー各社は、法律の文言には従うとすぐに表明したものの、内心この措置には批判的だとも報道され、現代自動車のフランス部門CEOであるリオネル・フレンチ・キョウは、新法は電気自動車と内燃機関を区別していないため、逆効果とみなされる可能性があると主張しているようですね。
参考までに、今回の自動車に関する広告への要求は、食品メーカーに対しての「販売中の製品に関する食事情報を公表し、より健康的な代替品を提案すること」を義務づけた法律に続くものだといい、自動車業界だけではなく、様々な業界に対する締め付けがきつくなっているようにも感じます。
なお、こういった広告の規制は広告業界にとっては大きなダメージとなりかねず、そして自動車メーカーにとってはSNSにてインフルエンサーを活用したプロモーションへのシフトを促すことにもなりそうですね。
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参照:Le Monde