| おなじロレックスでもデイトジャストを、しかもワンハンド化という発想はなかった |
オリジナルのデイトジャストとは異なる、柔らかな印象に
さて、限られた顧客のために限られた数の腕時計をカスタムするスイスの工房、アルティザン ドゥ ジュネーブ(Artisans de Genève)。
その顧客にはミカ・ハッキネンやファン・パブロ・モントーヤなどのF1ドライバー、ジョン・マッケンローやランス・アームストロングなど多くのスポーツ選手が名を連ねますが、今回は伝説のゴールキーパー、ジジ(ブッフォン)のためにカスタムしたロレックス126300(デイトジャスト)”GiGi x Heure Solitaire”が公開に。
なお、アルチザン ドゥ ジュネーブが手掛ける多くはデイトナやサブマリーナーであり、デイトジャストというのは非常に珍しい例だと思います。
ロレックス・デイトジャスト「カスタム」はジジのキャリアをそのまま表現
このロレックス・デイトジャスト「ジジ」はこれまでのアルティザン ドゥ ジュネーブのどの作品よりも手が込んでいるといい、完成までにかかったのは「数百時間」。
あらゆるディティールにはジジの思いが込められているといい、今回のデイトジャスト”カスタム”を製作するに際し、ジジはまず下記のように語っています。
ゴールキーパーは特殊で孤独なポジションです。また、私は11人のチームの最後の砦です。この時計には、私の歴史、ピッチの内外で過ごした人生、遭遇した試練、勝利、そして敗北を反映させたかったのです。そして、私の物語の守護者、私の最大の味方は、「私」であることを常に忘れないでください。
そしてアルティザン ドゥ ジュネーブからのコメントは下記の通り。
誰もが時間と戦っている。アルチザン・ドゥ・ジュネーブにとって、ジジと同じように、時間は経験や専門知識など、夢を実現する瞬間を象徴する形容詞と韻を踏んでいるのです。ものづくりには、学ぶ時間、実行する時間、知恵を絞る時間、そして伝える時間があります。ゴールキーパーのように、孤独はすべての時計職人の日常生活の一部です。チームメンバー一人ひとりが工芸品の守護者であり、時代を超えたノウハウの最後のリンクなのです。
なんとこのロレックス・デイトジャスト”ジジ”はモノハンド
このロレックス・デイトジャスト”ジジ”最大の特徴は「モノハンド」。
これは1本の針で時間と分を表現するもので、この時計だと「時針のみ」が残され、たとえば「1」と「2」との中間に時針が位置すれば、それは1時30分ということに。
ジジはこの腕時計について「時間の流れが止まることはない。もっと早く過ぎてほしいと思うこともあれば、止めたいと思うこともあり、また、捕らえたいと思うこともある。それは、いつも同じように道を進みます。私の時計は、私が想像した通りの私そのものです。私が一番好きなのは、そのストーリーを語ると、それが明らかになることです」と語っており、アルティザン ドゥ ジュネーブの仕事には満足しているようですね。
なお、モノハンド化によって時針は「延長」されていますが、そのカラーは「ブルーとレッド」。
もちろんこれはパリ・サンジェルマンのカラーを表しているのだと思われますが、同時に「ブルーは勝利、レッドは戦わなければならなかった相手」をも表現しており、スケルトン化された文字盤の外周もブルー、そしてアワーマーカーはレッド。
このたった一本の針は手作業によって面取りがなされ、サイドにも着色がなされます。
上述のとおり文字盤はスケルトンですが、インデックスを載せるためにクリアの盤面も使用され、この外周とクリアパーツとのコンビはアルティザン ドゥ ジュネーブでもはじめての試みなのだそう。
フォントはちょっとクラシカルな感じですね。
ベゼルはステンレスの塊から新しく手作業で削り出され、そのキャリアにちなんだ「クル・ド・パリ」模様のギョーシェ装飾が施されていますが、この加工は古い時計によく見られるといい、そのためレトロな印象も受けます(ロレックスの得意とするシャープな加工とはまた異なるイメージがあり、なかなかに雰囲気が出ている)。
キャリバーは3235で、スケルトン化にともない「魅せる」ための加工を行い、サンドブラストや面取り、ポリッシュ仕上げのブロック型テンプブリッジといった特徴を備えることに。
なお、(画像ではほとんど紹介されていませんが)ラグ(ケース外側の外側)には手作業による加工が施され、これがいっそうクラシカルな雰囲気をもり立てているかのようですね。
ロレックス・デイトジャスト”ジジ”を紹介する動画はこちら
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