| ポルシェはこのアプリ内で様々なクルマのカスタムができるようにし、企業から広告収入を得たいようだ |
現在ポルシェは様々な方面からの収入を得るべく活動領域を広げている
さて、ポルシェは子会社として「ポルシェ・デジタル」を持っていますが、そこからリリースされているのが「Design Car(デザインカー)」なるアプリ。
このアプリは無料で利用でき(ただし現在は北米のみ)、アプリ内で入手できる様々なクルマをカスタムしてコミュニティ内へと投稿し、そこで高い評価を獲得することを目的としています。
なお、高い評価を獲得できればそれがゲーム内通貨の獲得に繋がり、それによってさらなるカスタムが可能になるというシステムを持つようですね。
このアプリには「新しいデジタルオーディエンスに、クルマへの情熱を体験してもらうというポルシェ・デジタルのミッションの一環として」提供されているものですが、当然ながら最初はポルシェ車のみの構成にてスタートしています。
ただしそこから異変が起こる
ポルシェはこのアプリ公開時から「ポルシェ以外のクルマもカスタムできるようになる」とコメントしていて、しかしその後フォスクスワーゲンやアウディなどポルシェが属するフォルクスワーゲングループのクルマをアプリ内にて使用できるようにアップデートを繰り返していたのですが、最新のアップデートではブガッティ(これは同じグループなので理解できる)、そしてなんと「日産」「ダットサン」「インフィニティ」「ランドローバー」「ジャガー」も利用可能となっています。
これはもちろん、VWグループ以外のメーカーが、このアプリに可能性を見出してポルシェと提携したからにほかなりませんが(実際、ポルシェは広く提携を呼びかけている)、アプリ内ではフラクショナル・コレクティブ投資プラットフォーム「Rally」や、ピアツーピア・カーシェアリング企業「Turo」などがアプリ内で「課題」を出しているといい、おそらくユーザーはこの課題に沿ってクルマをカスタムし、他の投稿者と優劣を競うことになるのだと思われます(各企業は優秀者にゲーム内通貨の発行を行うことで投稿を集め、そして企業ロゴがアプリ内に掲出されて露出と認知度を高め、ポルシェにその対価を支払うというシステムだと推測)。
ポルシェ・デジタル社のマネージングディレクター、ステファン・バラル氏によれば、「多くの自動車愛好家にとって、自動車の性能だけでなく、デザイン、創造性、コミュニティといった要素も重要なのです。DesignCarの素晴らしいところは、ユーザーが予算に関係なく、お気に入りの車でいっぱいの”夢のガレージ”を作り、それをコミュニティと共有できることなのです」。
画像を見ると新型フェアレディZとR32スカイラインGT-R、さらにはフォルクスワーゲンXLスポーツ(エコを追求したコンセプトカー)の姿も見え、けっこうマニアックなクルマを揃えているようで、そしてカスタマイゼーションの範囲も実車のコンフィギュレーターや実際のカラー等の幅を超え、極端な改造もできるように見えますね。
ポルシェ・デジタルとは?
ポルシェ・デジタル・インク(PDI)は、シュトゥットガルトに本拠を置くスポーツカーメーカーの子会社として、2016年に設立されたポルシェ・デジタルGmbH(PDG)の米国法人であり、イノベーション、デジタル製品開発、ベンチャー投資などに重点を置いている、とのこと。
拠点はもちろんシリコンバレーにあり、現地のスタートアップやベンチャーキャピタルのエコシステムと密接に連携してビジネスモデルの革新に取り組んでいるといい、この業務には、自動車に情熱を持つ人々のためのデジタルプラットフォームであるMarquedが含まれるとアナウンスされています。
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シリコンバレーの他にはジョージア州アトランタ(ポルシェカーズ・ノースアメリカの本社内)にも拠点を持ち、ここではスポーツカーのオーナーサイト「マイ・ポルシェ」、eコマースのプラットフォーム、卸売・小売向けのデジタルサービスなどに取り組んでいます。
ポルシェ・デザインのグローバル本社は、ドイツのルートヴィヒスブルクにあり、そのほかベルリン、テルアビブ、上海にも開発拠点があるようですが、ポルシェは近い将来「自動車ビジネスだけでは会社を維持できない」としてデジタルコンテンツに対して積極的な投資を行っており(中には変なアプリもいっぱいある)、ほかには「航空旅客業界」にも足を踏み入れる可能性も示唆しています。
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参照:Porsche