| 現時点ではそもそも交渉のテーブルにつく候補が残されていない |
フォルクスワーゲングループとしてはひとまずアウディが参戦することで目的の半分は果たせている
さて、F1参戦に際しレッドブルとの提携話が消えてしまったポルシェ。
ウワサでは2022年7月に開催された(レッドブル本拠地である)オーストリアGPにて「ポルシェとレッドブルとの提携」が発表されると言われていたのですが、実際にそこでは発表がなく、しかし1ヶ月後には発表があるだろうと言われつつもまた発表されず、そしてその後に公式に両社から発表されたのが「提携は行わない」というプレスリリース。
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ただしポルシェはまだF1に関心を持っている
そもそも「ポルシェとレッドブル」との提携はほぼ確実だと見られていただけにポルシェは(おそらく)それまで他チームとの提携について考えていなかった可能性が高く、よって現在はポルシェのF1参戦計画自体が振り出しに戻ったとも考えられますが、ポルシェは2026年のF1参戦の夢をまだ捨てておらず、それがFIAが各チームにあてた書簡から今回明らかに。
その書簡には下記のとおり記されています。
8月のスパ・フランコルシャンで、アウディは2026年からFIA F1世界選手権にパワーユニットメーカーとして参加することを発表しました。この発表は、そのレギュレーションの策定に向けた関係者の懸命な努力に賛同するものでした。また、ポルシェが現在もF1チームと協議を続けていることにも注目しています。
つまりポルシェはまだF1参戦を諦めておらず交渉を続けているということになりますが、やはり気になるのは「どのチームと話をしているのか」。
当然ながら(メルセデス・ベンツやアストンマーティンなど)自動車メーカーの運営するチームは候補とならず、となると「候補」は自ずと少なくなり、しかしハースのような下位(失礼)との提携も考えにくく、そして現在ウワサされているのが「ウィリアムズ」。
そしてもうひとつは新規参入を狙っているアンドレッティと組んでF1参戦を果たすのではという見方があるもよう。
アンドレッティは現在2024年の参戦を目指してマシンの開発を進めていると報じられ、あとはFIAの承認を待つだけだという報道もなされていますが、2024年のパートナーとしてフォードを選ぶのでは、というレポートもあり、これは「オールアメリカ」ということから実現性が高いとも考えられます(アメリカではF1の人気が高まっており、ラスベガスでのレースも開催され、さらに盛り上がる可能性がある)。
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ただしポルシェがF1参戦を予定しているのは「エンジンのレギュレーションが変更される2026年から」なので、2024年の早期参戦を目論むアンドレッティとは目標が一致せず、そしてこの時点でフォードと手を組まれてしまうと2026年に「アンドレッティを取り戻す」ことは難しそう(ただ、フォードが計画しているF1参戦も2026年なので、フォードがアンドレッティとの関係性を保つために2年しか使用しない暫定エンジンを開発するかどうかはわからない)。
ポルシェのメインマーケットは(中国の次に)米国という状況ですが、ポルシェがさらに(地形学的リスクを考慮し)米国での販売を伸ばそうと思ったときにアンドレッティは理想的なパートナーでもある、とも考えられます。
なお、F1の面白さは、サーキット上にてレースが行われている際はもちろんですが、こういった「レース以外での(ドライバーの移籍含む)水面下での動き」にもあると考えていて、この時点ですでに各チーム、サプライヤーの戦いが始まっている(そして、そのれは勝負の行方を大きく左右する)と言えそうです。
なぜポルシェとレッドブルは決裂したのか?
そこでポルシェとレッドブルとの決裂についておさらいしておくと、まずポルシェとレッドブルとが接近したのは、レッドブルのエンジンサプライヤーであるホンダがF1撤退を表明したからで、レッドブルとしてはかわりのサプライヤーを探す必要があったため。
なお、ホンダのF1撤退後であっても、レッドブルはホンダのエンジンに関する技術を使用できるという契約を結んでいたものの、その後やや方向性が変わり、ホンダが2025年までレッドブルを(パワーユニットに関し)支援するという公式報道がなされています。
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そしてレッドブルはホンダが離脱するとなった際に「他に頼らず」自社でパワートレインを開発すべく「レッドブル・パワートレインズ」を設立しているわけですね。
ただし2026年以降の新しいエンジンレギュレーションに関してはいずれのチーム、サプライヤーともに「未経験」であり、よってレッドブルは(同じように未経験ではあるものの)これまでル・マンはじめ数々のレースで勝利してきたポルシェに協力を仰ぎたかったのだと思われます。
ただ、ポルシェとしては、新しく提携するに際し、レッドブルのF1事業における株式の50%以上を取得し、つまりレッドブルをコントロール下に置きたいと考えていたようですが、レッドブルは今後自前でパワートレインを開発し、ポルシェに対しては「ちょっと協力してほしかった」という程度のスタンスだったとされ、ここに両社の間に大きな相違が生まれ、「破談」になったと報じられています。
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