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1950年、「たった一人でル・マン24時間レースを走りきり、8位に入った」不屈の男がいた!16年落ちのベントレーに乗り、50歳でこの偉業を達成することに

1950年、「たった一人でル・マン24時間レースを走りきり、8位に入った」不屈の男がいた!16年落ちのベントレーに乗り、50歳でこの偉業を達成することに

| ル・マン24時間レースにおいては、たった1日で伝説が作られる |

そしてこの偉業を成し遂げたのは100年のル・マンの歴史においてたった一人、そしてその記録は未来永劫破られることがない

さて、ぼくがもっとも楽しみにしているレースがル・マン24時間。

なぜならば、たった1日しかないこのレースのため、参加するチームは1年という(あるいはもっと多くの)時間を掛けて準備を行い、あるものは自らの人生すらを賭して挑むことになり、そこでは幾多のドラマが生まれるから。

たとえば過去には、フォードがフェラーリを破ったり(1966年)、もともとル・マン参戦を前提に作られていないマクラーレンF1、しかもスペアパーツを集めて作った上野クリニック号が優勝したり(1995年)、勝利を確信したトヨタが目前でそれを失ったり(2017年)ということも。

そして今回紹介するのは、「たった一人で」24時間のレースを戦い抜いた男の話です。

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エディ・ホールは24時間を一人で走り抜いた

この男の名はエディ・ホール(エドワード・ラムズデン・ホール)といい、100年にわたるル・マン24時間の歴史において、たったひとりの「24時間を自力で走破したレーシングドライバー」。

しかもこの偉業を達成したのは50歳のときで、さらには16年落ちのベントレーで挑み、なんと強豪ひしめく中で総合8位に入っています。

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エディ・ホールがレースに使用したクルマは1933年型ベントレー コーニッシュ TTクーペですが、当時ベントレーを所有していたロールスロイスは(ベントレーが)ル・マン24時間レースを走ることを望まなかったといい、しかし結局はエディ・ホールの参戦を支持することに。

この個体は3.5リッターのエンジンを4.25リッターへと拡大し、さらには新しいボディを架装していたそうですが、この当時の「16年」というのは今の16年よりも多くの進歩が自動車業界にもたらされていたはずで、最新のコンペティターに比較すると「どうやっても勝ち目がないほど」戦闘力が劣っていたものと思われます(今でも16年前のマシンでル・マンを走って8位に入ることはまず不可能)。

ちなみに実際にル・マンを走ったこのベントレーにつき、現在はフロリダのレブズ・インスティテュートが所有しているといい、現在でも自走が可能な状態です(今回公開された動画では、その元気な姿を見ることができる)。

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様々な苦難を乗り越えて24時間を走り切る

実際のル・マン24時間レースでの走行に際し、エディ・ホールはトム・クラークというコ・ドライバーを乗せていたそうですが、なぜかエディ・ホールはこのコ・ドライバーと運転を代わることを拒んで24時間を自分のドライブのみで走りきり、平均時速130キロ以上で236周を記録してなんと8位に入ることに(総走行距離は3,183km)。

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もちろん一人で走るとトイレに行く時間もなく、これについてイギリスのモータースポーツジャーナリスト、デニス・ジェンキンソンは「トイレはどうしたのか」とエディ・ホールに尋ね、彼が答えたのは「緑のオーバーオールだよ、オールドボーイ!」。

これに意味するところについては不明ではあるものの、要は「漏らしながら走った」「推して知るべし」ということなのかもしれません。

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このような感じでル・マン24時間レースにおいては「1日で伝説が作られる」わけですが、この「たった一人で、24時間を走りきった」という記録は未来永劫破られることはなく、というのも現在のル・マン24時間レースのルールブックでは「一人で走る」ことを禁じているから。

ちなみに当時は「一人で走る」ことは認めてもおらず、しかし禁止もしていなかったそうで、このエディ・ホールのチャレンジを境に「一人で走ること」が(安全と健康のため)明確に禁止されることとなっています。

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かくしてエディ・ホールはル・マン24時間レースの全行程を単独で完走した最初で唯一の男として歴史に名を残すこととなり、彼の記録は決して破られることがなく、多くの人にこの先ずっと記憶されることになるのかもしれませんね(ぼくはこういった、偉業を成し遂げた人の話が大好きだ)。

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「ル・マンを一人で走りきった男」、エディ・ホールを紹介する動画はこちら

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