| 欧米のディーラーでは、人気車種をディーラーが自ら仕込み、完売後に高値で販売することも珍しくない |
レクサスLFAは米国においても毎年のように「新車」が登録されている
さて、時折報じられるのが「すでに完売した、もしくは生産が終了してしまったクルマが”新車として”登録される」という事実。
有名なのは、(とうの昔に販売が終了した)レクサスLFAやダッジ・バイパーがなぜか今でも新車として正規ディーラーから販売されているというもので、これはつまり正規ディーラーが保管している在庫車を小出しにして販売している、ということになりそうです。
その理由としては様々なものが考えられますが、やはり「販売が終了すると価格が上がる」とそのディーラーが考え、(自身の立場を駆使して)新車を仕入れて保管し、その後の高値での転売に備えているというものが大半かと思われます。
レクサスLFAの「新車」はけっこう残っていると言われている
そして今回話題となっているのが、オーストラリアにて2023年6月に登録されたレクサスLFAの「新車」。
レクサスLFAは全世界で500台のみの限定販売であり、「全て完売した」と言われているものの、実際にはレクサスの正規ディーラーが新車のまま保有している例が少なくないと言われます。
実際のところ、北米では毎年のように「数台の」レクサスLFAが新車登録されていることが報じられていますが、今回はオーストラリアでも同様の例があった、という報道。
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この事実はオーストラリアの連邦自動車産業会議所が発表したデータから明らかになったもので、これを登録したのは現地レクサスディーラーの経営者なのだそう。
オーストラリアに正規に輸入されたレクサスLFAは10台のみだといい、そのうちの1台をこのレクサスディーラーが(値上がりを見越して)保管していたものと見られ、しかしなぜか顧客に販売せずに経営者自身がこのLFAを登録しているわけですね。
そして現地メディアがこの事実について掘り下げてみたところ、なんでも7月1日から現地での法規制が変更され、6月中にレクサスLFAを初回登録しておかないと、今後合法的に登録できなくなる可能性があったためだと伝えられています。
もっと正確にいうならば、オーストラリアにおける自動車の輸入・承認・登録を規定する法律である自動車基準法(1989年まで遡る)は7月1日に無効となり、7月1日からは新道路運送車両基準法が施行され、レクサスLFAは新道路運送車両基準法に合致しておらず、これが導入される7月1日移行の登録が不可能となるため、やむなくディーラー経営者自身で登録したということに(一旦登録しておけば、その後は問題なく中古車として流通させることができるようだ)。※6月の時点で「販売」せずに自分で登録したところを見ると、今後もまだ自身で保管し、さらなる値上がりを待つのかもしれない
同時に「公式新車販売データ」の信憑性も疑われる
ただ、ここで話は終わらず、今回のレクサスLFAについては、顧客に販売されたわけではなく「登録されただけ」。
おそらくはレクサスディーラーと、LFAを登録したディーラー経営者との間には売買契約書もなかったと推測されており、しかしオーストラリア政府が公式に発表する公式新車販売データには「販売済み」として記録されています。
つまり、これは自動車ディーラーが「販売台数」を操作できることを意味していて、実際に顧客に「販売」していないクルマであっても、自社にて「登録」しただけでも販売したと見なされることになり、簡単に販売台数の水増しが可能になるということを意味しているわけですね。
よって、今回の一件は「レクサスLFAの新車がまだ残っていた」という事実が広く知られることになっただけではなく、「簡単に販売台数を捏造できる」という、思わぬ副産物までもが明らかになってしまい、このレクサスディーラーにとってはある種の災難であったのかもしれません。※レクサスの現地法人もこの事実を確認しており、該当のLFAが消費者に販売されていないことを認めている
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参照:Drive