| どうしてもリビアンでやりたいことがあるのか、それともポルシェに不満があるのか |
あるいはリビアンから人生を棒に振ってもいいだけの報酬を提示されたか
さて、ポルシェ・カーズ・ノースアメリカのCEO、クジェール・グルーナー氏がポルシェを去ると正式に発表。
クジェール・グルーナー氏は1999年にポルシェに入社し、5年後に(当時の)ダイムラーへと移っていますが、ここではメルセデス・ベンツの戦略責任者を努め、しかし2010年にはポルシェに復帰しています。
そして現地の有力ポルシェディーラーによると「彼は刻々と変化する消費者のトレンドに敏感で、どのバリエーションやモデルが動きそうかを知っている」と高い評価を下しているだけに「突然の離職」については大きな波紋を呼んでいるようですね。
クジェール・グルーナー氏はポルシェの成長に大きく貢献
クジェール・グルーナー氏はポルシェに復帰した後、2020年からポルシェ・カーズ・ノースアメリカのCEOを努めていますが、ポルシェの北米法人の先頭に立ち大きな改革を実施してきた人物。
在任中、北米におけるポルシェの販売台数は急増を続けており、実際のところ昨年には、同地域で過去最高の販売台数を記録するなど、輝かしい業績を残していることでも知られます。
なお、クジェール・グルーナー氏の退任の理由、そして今後の計画については明かされていないものの、一部報道では米EVスタートアップ、リビアンに参加するのではといわれていて、しかし現時点ではリビアンからも正式なコメントが出されていないために事実はナゾのまま、といったところです(リビアンの広報担当者は「現時点で提供できる情報はない」とコメント)。
クジェール・グルーナー氏はリビアンでどんな役割を?
一方で複数の現地メディア、そしてドイツのメディアもクジェール・グルーナー氏のリビアン移籍を報じているのが現状ですが、同氏がリビアンにおいてどういった役割を担当することになるのかも全くのナゾ。
ちなみにリビアンのCEOはRJスカリンジ氏なる人物で、強いリーダーシップを発揮していることでも知られるだけに、同氏が退き、クジェール・グルーナー氏かその後任に、というのはちょっと考えにくい話です。
参考までに、リビアンはこれまでにも様々な問題が報じられ、(セクハラ含む)社内のコンプライアンス問題、資金の枯渇や従業員問題などが表面化しており、正直将来がそれほど明るいとは思えない会社です(ただし製品は非常に優れており、ポテンシャルを持つのは間違いない)。
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現在リビアンは変革を迫られており、つい先日も「手頃な価格の」新型EVの発売が報じられたところですが、クジェール・グルーナー氏には何十年にもわたる(プレミアムクラスの)自動車業界での経験があり、リビアンが抱える多くの問題を解決することになるのかもしれません。
ただ、クジェール・グルーナー氏はポルシェでも相当に高額な報酬を得ていたはずであり、かつポルシェは今後も継続して成長する可能性が高く、それとともに同氏も順調に出世するはずだったと考えられるため、(今回の一連の報道が事実であれば)リビアンはクジェール・グルーナー氏を引き抜くのに相当に高額な報酬を提示したであろうことは間違いなさそう。※たしかに同氏はリビアンに必要な改革をもたらすであろうことは間違いないだろうが、しかし常識的に考えて、ポルシェからリビアンに移るのはかなりリスクが高い。しかもポルシェ、リビアンともに電動化重視のブランドであり、ポルシェでできなかったことがリビアンでできるとは思えない
なお、クジェール・グルーナー氏は自身のLinkedInのページにて退任のニュースを伝え、「ポルシェを離れるなんて。素晴らしいチーム、素晴らしいブランド、素晴らしい製品!しかし、時には次の山が待っている」とコメントしており、次に”大きなチャレンジ”が待っていることについても言及しており、おそらくは近日中になんらかの正式発表がなされるものと思われます。
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参照:Automotive News