| 車体重量やパフォーマンス面における数値は発表されていないが、もともと軽量なポルシェ914だけにパンチの効いた走りを見せると思われる |
さらにはミドシップレイアウトを継続するため、その運動性についても保証付き
さて、2021年1月にポルシェ914のレストモッド計画を発表した「フィフティーン・イレブン・デザイン」。
そこから多数の試行錯誤を重ね、今回ようやく製品としての最終バージョンが完成し、自身の公式インスタグラムにその画像を投稿するとともに受注を開始しています。
なお、このフィフィティーン・イレブン・デザインがなぜ「あえて」ポルシェで最も人気がなかった市販モデル(ただし販売台数はけっこう多い)のひとつである914をベースに選んだのかはナゾではありますが、今回リリースされた情報によると、その価格は35万ポンド(現在の為替レートにて約6500万円)に設定されており、ちょっとやそっとでは手を出せない値付けに。
ちなみにこちらが2021年に計画が発表された時点での概要です。
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ポルシェ914「フィフティーン・イレブン」はこんなクルマ
そこで今回詳細が明らかになったポルシェ914「フィフティーン・イレブン」を見てみると、まずは車体の基本構造を強化し、そのうえでケイマンS(どの世代なのかは不明)をスワップ。
このエンジンは鍛造ピストンやカスタムECUなど多数のアップグレードが施され、フィフティーン・イレブン・デザインいわく「ノーマルの914の3倍のパフォーマンスを発揮する」とのこと。
ただし914には4気筒エンジン、6気筒エンジン、そしてそれぞれに様々なバリエーションが存在するため、どのモデルの「3倍」なのかがわからず、しかし300馬力以上を発生しているのは間違いないものと思われます。
なお、トランスミッションは6速マニュアルだそうですが、これもまたケイマンSのものを移植したと考えて良さそうですね。
ちなみにペダルボックスはAPレーシング製、フライバイワイヤー式スロットル、特注によるステンレスエキゾーストシステムなどが装備され、「現代のハイパフォーマンスカー」にも引けを取らない仕様を持つもよう。
足回りについては、(ワールドラリーカーに採用されることが多い)ライガー製3ウェイ調整式コイルオーバーショックアブソーバーが組み込まれ、ブレーキシステムはブレンボ製4ピストンキャリパーにクロスドリルド&ベントディスク、ホイールは18インチサイズのフックス製、そしてミシュランパイロットスポーツ2タイヤの装着がアナウンスされています。
デザイン面においては、オリジナルのポップアップ式ヘッドライトを廃止してプロジェクター式LEDランプを装着することによって表情が一新しており、もともとの空冷エンジンを(ケイマンの)水冷へと変更したためにフロントバンパーとボンネット形状を変更し(バンパー中央にラジエターを内蔵し、ボンネット上のダクトから熱を抜いている)、デタッチャブルルーフは「クリア」へと変更。
さらに前後オーバーフェンダー、スポイラー付きのリアデッキなど特徴的なボディパネルを持っていますが、これらはすべてカーボンファイバー製だと紹介されています。
インテリアは非常にシンプルではあるものの上質さを感じさせる作りを持っており、レザーにアルカンターラ、そしてそれらを飾るコントラストステッチなど見どころも多数(レース用ペダルボックスや、リンケージむき出しのシフト周りがいい味を出している)。
なお、インテリアは基本的に「顧客の指定によるオーダーメイド」となるそうで、左ハンドルと右ハンドルの両方を選択できる、とのこと。
ポルシェ914は優れたクルマではあったが
ポルシェ914は「911よりも安価な値付けにて販売し、ポルシェの顧客の裾野を広げる」ことを目的に開発されたクルマ。
つまりコストを抑えることが至上命題であったためにフォルクスワーゲンとの共同開発方式を採用しており、そのためパーツにおいても少なくはない共通性が見られます。
よって「ワーゲンポルシェ」という呼び名が定着してしまい、これが914の評価を下げてしまった理由なのかもしれません(ある意味では風評被害に近い)。
実際のところ、ミドシップレイアウトを採用し、ポルシェの量産車としては(リアサスペンションに)はじめてコイルスプリングを用いるなど、ポルシェのエンジニア入魂による一台でもあったのですが、「ワーゲンポルシェ」のイメージが色濃く定着してしまい、どうしても「真正のポルシェ」とは認められることが難しかったのかもしれません(欧州ではフォルクスワーゲンとポルシェ両方のバッジが装着されていたそうだが、日本ではフォルクスワーゲンのバッジが外されて販売されたという話も聞いたことがある)。
なお、ポルシェ914は1976年に販売を終了しており、その後ポルシェがミドシップカーを復活させたのは1996年のボクスターにおいて。
しかしながらこのボクスターに関しても(914の)ワーゲンポルシェイメージが(ミドシップつながり、そしてエントリーモデルということで)つきまとい、「これは本物のポルシェではない」という指摘をよく受けたことを思い出します。※981世代にて、グレードによっては911のパフォーマンスを超えてみせたこと、排他的デザインをもたせたことにより、現在ではそういった間違った指摘を受けることはなくなった
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