| EVに対するアプローチは現段階では各社各様であり、見え隠れする考え方の相違も面白い |
嬉しいことにランボルギーニは「ガソリンエンジンを模したフェイクサウンド」を追求せず「本物の」サウンドを追い求める
さて、「第四のランボルギーニ」「ランボルギーニ初のBEV(バッテリーEV)」として先日衝撃的なデビューを飾ったランザドール。
現在実車に関する様々なレビューが登場していますが、今回はその「サウンド」に関するランボルギーニのコメントが紹介されることに。
そしてもちろん、このサウンドというのは外部に対して発する近接警告音(疑似走行音)、そして車内のドライバーの耳に届ける疑似サウンドの両方を指しているものと思われます。
なお、一部の国や地域では、EVは「近接警告音を発しなければならない」という決まりがあり、PHEVであるレヴエルトもその対象となるために外部に対して警告音を発するそうですが、現時点ではどういった音を出すようにするのか”最終決定”がなされていないもよう(顧客向け車両の納車開始までに様々なサウンドがテストされ、決定されるることになるものと思われる)。
ランボルギーニ「正直言って、EVのサウンドは挑戦だ」
そして今回、カーメディアのインタビューに答えたのはランボルギーニの最高技術責任者であるルーヴェン・モア氏。
電動化時代のランボルギーニのサウンドがどうあるべきかについて語っていますが、まず最初に「正直言って、これは大いなる挑戦である」とコメント。※車内に対して発するサウンド、車外に対して発するサウンドを区別するのかしないのかは現時点ではわからないが、コメントを見るに、これは「共通」なのかもしれない
私たちはさまざまな方法を研究しています。レブエルト(ランボルギーニ初のプラグインハイブリッド車)では、規制のために外部に対しに音を発しています。私たちはエレクトリックモーターの固有振動数を利用し、そのいくつかを強調し、しかしフェイクとならないように注意し、ランボルギーニらしい振動数を加えました。私たちがやりたくないのは、内燃エンジンを模倣した偽物を作ることです。これは私たちが目指す方向ではありません。最終的なサウンドは、まだ未完成です」。
しかし、我々には時間もある。私たちの専門家たちは、何が知覚されるかを理解するために、いくつかのカスタマー・クリニックと一緒に取り組んでいます。私は感情の科学について多くのことを学びました。心拍やその他の身体の反応を通じて、感情を測定することができるのです。私たちのドライビング・シミュレーターでは、さまざまな音に対する人々の反応を微調整し、チェックしています。車の中で起こっていることと、その音が何であるかを強く結びつけたいのです。これによって「サウンドによる興奮」を実現することができるようになるのです。
このコメントの通り、ランボルギーニは現在「EVサウンド」の開発に取り組んでいるということになりますが、ほっとするのは「ガソリンエンジンを模したフェイクサウンド」を採用しないということ。
EVなのにガソリン車の音を模倣するというのは本末転倒であるばかりか、「ガソリン車コンプレックス」を丸出しにしているのと同じで、せっかく「ガソリン車とは異なる、新しいことができる」EVなのにその可能性を放棄しているように見えなくもありません。
そういった視点で作られたEVはガソリン車の下位互換でしかなく、しかし自動車メーカーが作るべきはガソリン車の圧倒的上位互換となるEVであるべきだと考えているわけですね。
エレクトリックサウンドについては自動車メーカーによって「考え方が大きく分かれる」
そしてランボルギーニ同様に多くの自動車メーカーがこのEVサウンドについては頭を悩ませており、現時点ではポルシェは「ガソリンエンジン的要素」をもたせずにリニアモーターカー+新幹線のようなサウンドを(タイカンに)与えており、メルセデス・ベンツは(スター・ウォーズに登場する)ポッドレーサー風(いくつかのサウンドを選択できる)。
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そしてロータス・エヴァイヤは過去のF1マシンなどアイコニックなモデルのエンジンサウンドをサンプリングし合成していると報じられていますが、多くの自動車メーカーは「シームレスな」エレクトリックモーターの回転にドラマを与えるべく、ガソリンエンジンの鼓動を再現した「ビート」をプラスしているように思われます(ただ、これをやりすぎるとちょっと嘘っぽくなってしまう)。
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参考までに、ランボルギーニ同様に刺激的なV12サウンドを奏でることで知られるフェラーリは「ガソリン車とEV」とを切り離して考えているように思われ、EVでは「ガソリン車では実現できなかったこと」を追求する姿勢を見せています。
そして、そういった新世代のクルマにガソリンエンジンを模した”フェイク”サウンドを搭載する意図は毛頭ないらしく、エレクトリックパワートレーンが実際に回転する音を増幅して乗員に届けるという特許も出願済み。
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ランボルギーニ・ランザドールは「ほぼこのままの姿で市販」
そして今回、ランボルギーニが認めたのが「ランザドールについては、2ドアを維持したまま市販する」。
つまり、このカッコいい2ドアクーペスタイルは「ショーのため」ではなく実際の市販を見据えたボディ形状ということになり、数少ない「2ドア(リアハッチを含むと3ドア)SUV」として世に出ることになりそうです。
ただ、実際にランザドールが発売されるのは2028年なので、今からはまだ5年ほどの時間があり、いくつかの変更が加えられる可能性がも考えられますが、ウルスについてもコンセプトモデルの発表(2012年、下の画像)から発売(2018年)までは大きく時間が空いており、しかしほぼ変わらない姿で登場したことを鑑みるに、ランザドールもまた、コンセプトモデルと「ほぼ一緒」のスタイルを保ったまま市販されることになるものと思われます。