| 世の中にはかなり奇妙な事実があるが、これはその中でも「かなり」奇妙である |
そしてその経緯については明かされていない
さて、マセラティMC20はカーボンモノコックシャシー、そしてディヘドラルドア、何よりも副燃焼室を備える高出力な3リッターV6”ネットゥーノ”ツインターボエンジンを積むという魅力的なスーパーカー。
しかし今回、そのマセラティMC20は「マセラティのクルマとしてではなく、アルファロメオのスーパーカーとして開発がスタートしていた」という驚愕の事実が明かされています。
たしかにMC20は当初、アルファロメオの車体を使用していたが
思い起こせば2019年、マセラティがはじめてMC20(当時はまだMC20という名称が公開されていなかった)のティーザー画像を公開したとき、そのプロトタイプの車体に用いられていたのは「アルファロメオ4C」。
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そしてこれは今回報じられている「もともと、マセラティMC20はアルファロメオのスーパーカーになるはずだった」ことを端的に表しており、そしてこの事実を語ったのは他ならぬアルファロメオにて製品責任者を務めるダニエル・グッツァファメ氏です。
いったいなぜマセラティがアルファロメオからプロジェクトを引き取ることになったのか
ただし報道では「なぜアルファロメオがこのスーパーカープロジェクトを断念し、かわりにマセラティがそれを引き取ったのか」という経緯は一切語られず。
しかしながら2019年あたりはFCA(フィアット・クライスラー)とPSA(プジョー・シトロエン)とが合併の準備を進めていた時期であり(後にステランティスとなる)、この段階でなんらかの調整が行われた可能性もありそうです。
そして2021年1月16日には晴れてステランティスが誕生していますが、ここでステランティスは各ブランドに「お金と時間」を与えてリブートを行うと宣言し、それに従いプジョーやランチアは大きくその方向性を変更したわけですね。
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なお、アルファロメオとマセラティとてそれは同じことで、アルファロメオは新CEO、ジャン・フィリップ・インパラート氏のもとで「ドライバーズカー」ブランドへ、そしてマセラティは「セクシーで高級なGTブランドへ」とシフトしてゆき、しかしもちろん今回報じられている「MC20のアルファロメオからマセラティへの移管」はその前の話です。
ただしアルファロメオは「当初の計画通り」スーパーカーを発売
ただ、興味深いのは「いったんマセラティにスーパーカープロジェクトを手渡してしまうものの」、アルファロメオはそのMC20を活用して33ストラダーレを作っていること。
もちろん33ストラダーレはMC20のバッジエンジニアリングモデルではなく、ボディはもちろんサスペンションや前後のサブフレームはアルファロメオの開発によるもので、搭載されるエンジンもジュリアとステルヴィオ・クアドリフォリオに積まれる2.9リッターV6を3.0リッターにボアアップしたものであり、基本的な設計はまったく(MC20のネットゥーノ・エンジンとは)別。※ただし両者ともピュアエレクトリックパワートレインに対応しているという共通性も
トランスミッションについてもアルファロメオ33ストラダーレははZF製の8速デュアルクラッチ、MC20はトレメックが開発した8速デュアルクラッチという相違もあり、これらの違いはもしかすると「アルファロメオがもともとやりたかったこと」を反映させたことに起因するのかもしれませんね。
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参照:CarExpert