| 現在のフェラーリのチーフデザイナーは「未来」を強く意識することが多いようだ |
同時にフェラーリの伝統を解釈したディティールを盛り込むことも忘れない
さて、フェラーリが最新のワンオフモデル、SP-8を公開。
フェラーリは「テーラーメイド」にて既存モデルの内外装カスタムを請け負うほか、フオーリ・セリエ(シリーズ外)と呼ばれるワンオフモデルを重要顧客のために製作していますが、これをオーダーする権利があるのは上位50名ほどのVIPカスタマーだと言われ、製作コストは数億円、製作期間は(待ち時間含め)3年以上だと言われています。
フェラーリSP-8はこんなクルマ
そしてこういったワンオフモデルについて、ベースとなるモデルこそ存在するものの、開発手法としてはベースモデルを「カスタムする」のではなく、全く新しい外観をデザインし、ベースモデルをそれに合わせるというプロセスを採用していて、つまりは全く新しいモデルを顧客とフェラーリのスタリングセンター(チェントロスティーレ)が作り上げてゆく、ということに。
そして今回のフェラーリSP-8につき、これは台湾の顧客とフェラーリのデザインチームを束ねるフラビオ・マンツォーニ氏との共同作業によってデザインされたクルマだといい、スタイルとしては「ルーフを持たないロードスター」。
ベースとなるのはF8スパイダーであり、搭載されるのはほまれ高き3.9リッターV8ツインターボ。
そしてモデル名のSP-8はこの「V8ツインターボエンジンを称えるもの」だと紹介されています。
スタイリングは一言で言えば「未来的」ですが、フラビオ・マンツォーニ氏は「フェラーリ・ヴィジョン・グランツーリスモ」にせよ、直近で発表された別のワンオフモデルであるKC23にせよ、こういったツルっとしたSF的なルックス、そして液体金属のようなボディカラーが好きなのかもしれません。
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実際のところ、フェラーリに就任してまもなく発表した「フェラーリの宇宙船」が同氏の嗜好を最もよく表しているともぼくは考えていて、そしてよく見るとこの時点ですでに「ハンマーヘッド」を意識していたことがわかります。
そしてやはりこのフェラーリSP-8にも美しいシルバーのペイントが用いられており、このカラーはフェラーリの塗装部門によって新たに開発された「アルジェント・ミカリッツァート(マット仕上げ)、そしてボディ前半はブルー・スクーロ・ステラート、そしてカーボンファイバー製パーツは虹色に輝くブルー・サンドストーン仕上げだと説明されています。
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なお、SP-8のデザイン上のひとつの特徴はフロントバンパー内に組み込まれた「アルミニウム製のグリル」で、これは3Dプリンターを活用して製造されたものだそうですが、この構造についてはそのオープンボディ同様、風洞実験を通じて最適なエアロダイナミクス効果を発揮するように設計されている、とアナウンスされています。
そしてSP-8には様々な現行フェラーリからインスピレーションを得たデザインや構造が用いられ、テールランプはローマ、フロントスクリーンは(ラップアラウンド形状を持つ)296GTBから(ドアハンドルの構造もおそらくは296GTB同様)。
さらにこの格好いいホイールはF40にインスピレーションを受けつつも現代的に解釈したデザインを持つといい、まさにフェラーリの過去、そして現代と未来をつなぐクルマということになるのかもしれません(実際のところ、フェラーリはこういったワンオフモデルに採用したデザインを、その後のプロダクションモデルに採用することがある)。
フェラーリSP-8のインテリアもまた「最新フェラーリから」ディティールを拝借
インテリアはベースとなるF8スパイダーの印象を色濃く残しており、しかしセンタートンネル上のシフトスイッチは296GTBと同一のパーツを使用しているものと思われます(つまりローマ / ローマ・スパイダー、SF90ストラダーレ / SF90スパイダーと同一でもある)。
シート(ネイビーブルーアルカンターラ)にはレーザーエッチングが施され(おそらくはフロントグリルと呼応するデザイン)、インテリア全体としてはイエローアクセント、さらにはクラデーション効果を持つクロス、虹色に輝くツイル素材カーペットと組み合わせられており、そのエクステリアとマッチした仕様を持っているようですね。
このフェラーリSP-8についてはフィナーリ・モンディアーリ・フェラーリ2023開催期間中にムジェロ・サーキットに展示され、その後はムゼオ・フェラーリに展示され、一般の人にもこれを見る機会が設けられる、とアナウンスされています。
フェラーリSP-8を紹介する動画はこちら
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参照:Ferrari