| 「不吉」とも思える別世界の命名を「自信をもって」行うのはロールス・ロイスくらいのものだろう |
このネーミングにはロールス・ロイスが語る真実のほか、「通説」もあるようだ
さて、ロールスロイスはゴースト、ファントム、レイス、そして最新モデルのスペクターなど、別世界(異世界)の存在にちなんだ命名を行うことが多く、今回はハロウィンにちなみ、その歴史を振り返ることに。
クルマの命名というのはそのメーカーによって様々で、メルセデス・ベンツやボルボのように「英文字と数字」の場合もあれば、ちゃんとした「名前」を持つものもあり、ポルシェのように「スポーツカーは3桁の数字、4枚以上のドアを持つモデルには名称を与える」例、そしてマクラーレンのように「英数字(720Sなど)から名前(アルトゥーラやエルバなど)」へと移行するケースも存在します。
なぜロールス・ロイスは「異世界」の名を車名として与えたのか?
ロールス・ロイスにつき、20世紀初頭に神話上の存在や精霊にちなんだ車名を付け始め、その最初は「グレイ・ゴースト」なのだそう。※てっきりシルヴァーゴーストが最初だと認識していたが、どうやら異なるようだ
ちなみに「シルヴァー・ゴースト」の「シルヴァー」は車体が銀色であったことに由来すると言われていますが(当時のロールス・ロイスの試作車の多くはシルバーの外板色を持っていたようだ)、ロールス・ロイスいわく「ゴースト(幽霊)」の名を使用したのは”神秘的な感覚””幽玄なエレガンス”を表現したかったから。
参考までに、一般的な言い伝えだと「あまりにエンジン音が静かで、その存在がわからないほどであったから」「幽霊のように不滅とも言える耐久性を誇ったから」というものがあり、後者に関しては「そのエンジンを積んだ飛行機が世界で初めて大西洋無着陸横断飛行を実現した(他社のエンジンは途中で壊れるので横断できなかった)」「スペクターの耐用年数は400年を想定」といった事実がこれを裏付けているのかもしれません。
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ロールス・ロイスは今も「異世界シリーズ」を継続
そしてこの「異世界」シリーズはファントム(亡霊)」「レイス(幽霊)」「シルヴァードーン(夜明け)」「シルヴァークラウド(雲)」「シルヴァーシャドウ(影)」「シルヴァースピリット(精霊)」「シルヴァーセラフ(天使)」と続き、そして新生代のピュアエレクトリックモデル「スペクター」にも受け継がれることに。※コーニッシュ、スパー、カリナンなどの”例外”も存在する
なお、この「スペクター(冥闘士)」というネーミングについて、(当時の)ロールス・ロイスCEO、トルステン・ミュラー・エトベッシュ氏は「スペクターとは、偉大な力と幻影の代名詞である異世界の生き物であると同時に、儚い姿で存在感を示すもので、その空間を支配し、現れると同時に、爽快感、エネルギー、陰謀の跡を残して消えてゆく存在」であるとコメントしています。
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そして今回、ロールス・ロイスはこの伝統のネーミングについて以下のように語っており、今後もその伝統が続くことになるのでしょうね。
精霊や幽玄な存在にちなんで名付けられたロールス・ロイスのクルマは神秘的な感覚を呼び起こします。この伝統には深い歴史的ルーツがあり、1世紀以上の伝統を受け継いでいるのです。
ロールス・ロイスは、ラグジュアリー業界で最も尊敬されるブランドとして、常に自動車の枠にとらわれず、その上に立ってきました。ゴーストやスペクターのような特徴的な名前は、私たちのブランドを他のすべてのブランドから差別化するものです。ロールス・ロイスのコミッションは、デザインだけでなく、その名前からも瞬時に感じ取ることができるものだと自負しています。
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