| なお、上場前の提出書類によってジーカーの赤字が拡大していることも報じられている |
それでもジーカーが「注目株」であることに変わりはない
さて、日増しに存在感を強めつつある、中国の吉利汽車が展開するプレミアムブランド「Zeekr(ジーカー)」。
すでにセダンボディ(ワゴンにも近い)の001、ミニバンの009、コンパクトクロスオーバー「X」を投入していますが、今回は伝統的なセダン「007」を発表することに。
なお、Zeekrは特定のセグメントに固執せず幅広い市場へと進出しているものの、それぞれのセグメントにマッチしたデザインを採用しているため(001とXを除くと)、いずれのモデルも異なるデザイン言語を採用しています。
Zeekr 007はジーカーにとっての「新しいデザイン言語採用モデル」
そして今回発表されたZeekr 007は今までのモデルにはないデザイン言語を取り入れており、これまでの(どちらかといえば)直線的で角ばった他のモデルに比較すると曲線と曲面を多用した外観を持っており、ヘッドライトも全く新しい形状を持っています。
ちなみにこちらはZeekr X。
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そしてこのZeekr 007のデザインがこれまでと全く異なるのも当然で、というのもZeekr 007のデザインを担当したのは2021年にベントレーのデザイン部門責任者という地位をなげうって吉利汽車へと移籍したステファン・シーラフ氏。
同氏は現在吉利汽車にてデザイン部門を統括しており、Zeekrブランドではこの007が「初仕事」だと思われます。
これまでのZeekr各モデルが採用してきた(縦型)分割ヘッドライトを廃止して横長のアニメーションLEDグラフィックを備えた全幅パネルを備えており、このパネルはオーナーが「駐車しているクルマをアンロックすると」ウエルカムシーケンスを展開するのだそう。
ただ、この「丸い」外観を採用したことでZeekerらしさが失われてしまい、NIOやシャオペンなどほかのEVメーカーのクルマと区別がつかなくなってしまったのも事実であり、しかしもちろんこれは「狙った」結果なのかもしれません(それくらい中国市場のトレンドとユーザーの嗜好が明確になり、一つの方向に偏っている)。
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そして中国のトレンドといえばこの「ガラスルーフ」で、これには「ナノシルバープライバシードーム」と呼ばれる技術が組み込まれており、さまざまなレベルの透明度を可能にし、優れた断熱性を提供すると説明されています(エレクトロクロミックガラスの一種だと思われる)。
そのほか、ルーフとフロントフェンダーに3つのLiDARセンサーが装備されて高度な自動運転システムをサポートすること、吉利汽車が広い車種にて使用しているSEAプラットフォームの派生版「PMA2+ アーキテクチャ」を採用してること、204馬力 / 350Nmを発生するシングルモーターが搭載され、0-100km/h加速が6.5秒で可能になること、800Vシステムを採用し(容量は現段階では明かされていない)バッテリーパックのフル充電にかかるのはわずか30分だということも報じられています。
なお、全長4,865mm、全幅1,900mm、全高1,450mm、ホイールベースは2,928mmだとされ、テスラ・モデル3とモデルSとの中間くらいのボディサイズを持つということになりそうですね。
Zeekrは赤字が拡大
なお、このZeekrはニューヨーク証券取引所への上場を控えており(ティッカーシンボルはZK)、その際(11月9日)に提出された書類から赤字が大幅に拡大したことがわかっており、これを受けて吉利汽車の株価は一時2.5%下落することに(そのほか、中国の信仰EVメーカーの業績も予想に届かなかったことでEV業界全体の失速が懸念され、テスラもそのとばっちりを食う形で株価が下がった)。
赤字額としては今年上半期だけで38億7000万元(日本円だと770億円くらい)だと報じられており、参考までに昨年同期比だと30億9000万元。
ただ、売上そのものは昨年同期比の倍以上の212億7000万元を記録しており、赤字額が拡大したのは設備投資を増加させたためだと説明しています。
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参照:Zeekr(X)