| ただし小型車だと丸いデザイン、オフローダーだとブロンコやランクル、F-150風が人気 |
機能上の必然性ではなく、「売れるための」のデザインを追求したらこうなった
さて、現在自動車市場ナンバーワンの中国においては「中国車の独占状態」が加速しつつあるといい、中国車の販売比率が日に日に伸びているといいます。
その理由につき、中国車の品質や機能性が向上してきたことが考えられますが、ぼくとしてはなによりも「そのデザインや仕様が中国人の嗜好にマッチしているから」だと考えています。
当然のことではあるものの、やはり中国市場については中国人や中国の会社がいちばんよく知っていると考えられ、これはスマートフォン市場にて「中国市場にマッチした」製品のシェアがどんどん伸びているのと同じことなのかもしれません。
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中国市場が好むのはこういった仕様やデザインだと思われる
そこで中国市場にて好まれる(と思われる)仕様やデザインを挙げてみると、まずは「ディヘドラルドア」。
これは本来、構造的な理由や乗降性の観点からスーパーカーに用いられることが多いドア開閉方法であり、しかし中国で最も優先されるのは合理的な理由よりも「売れるかどうか」であり、しかし見方を変えると「どういった理由でその構造を採用しようがしまいが、売れればいい」という商業的な理由から採用されるのかもしれません(その機能や構造に合理性や必然性を求めない)。
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そして次のトレンドは「ネーミング」。
中国車は「アルファベットと数字」という組み合わせの車名を持つことが多く、これは「中国内で商標を取得しやすいから」だと言われていますが、ほとんどの車がこういった名称を持つため、正直「かなり覚えにくい」のもまた事実。
シャオミは「MS11」、NIOだと「EP5」「ES6」、シャオペンだと「E7」、紅旗でも「LS9」といった名称が見られ、こういった数字やアルファベットではない「名前」を持つ車のほうが少数派となっています。
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中国では「細長いライト」「丸っこいデザイン」が人気
そして中国で好まれるデザインについて、まずは「細長いライト」。
こちらはシャオペンP7iですが、細長いへッドライトに加え、ディヘドラルドアといった要素も併せ持ちます。
ジーリー・ギャラクシーL7も同様ですね。
リー・オートL8。
そして「切れ長の目」も好まれ、こちらはシェンランL7。
チャンガンSL03。
チェリーeQ7。
NIO ET7。
ライジングオート R7。
フェイファンF7。※これらはいずれも異なる自動車メーカーのクルマである
こうやって見ると、中国車は「メーカーが違えど」かなりの共通性を持っていることがわかりますが、そのほかだと「ミニバンだと大きなグリルが好まれる」「コンパクトクラスだと丸っこいデザインが好まれる」「SUVだとランクルやフォード・ブロンコ、フォードF-150をモチーフにしたデザインが多い」など様々なトレンドがあり、それらはすべて「売れるため」に採用したデザインだと思われ、まだまだ自らトレンドをセットするための行動を取ることができる中国の自動車メーカーは少ないのかもしれませんね。
敷いていえば、現在の中国車だとNIOやシャオペンが(中国市場における)トレンドセッターとして機能しているのではないかとも感じますが、他の自動車メーカーはNIOやシャオパンのデザインに寄せており、そのデザイン戦略は「他社との差別化」よりも、「他社に近づけること」という、日欧米の自動車メーカーのデザイン戦略とは全く異なるものであるように感じられます(一方、ZeekrやLynk&Co.のように独自デザインを採用するブランドも存在する)。
そして、中国の自動車メーカーがそういった方向へと動く理由としては、中国市場では「他の人とは異なるもの」「メインストリームでないもの」を選ぶ人々(キャズム理論でいうイノベーターやアーリーアダプター)の比率が少なく、レイトマジョリティ層の比率が高いからなのかも。
その意味ではブルーオーシャンではなく、レッドオーシャンに飛び込み、デザインや機能上の排他性ではなく、価格を武器に戦ったほうが勝率が高いのかもしれません(中国においては、一般的な商品の販売方法においてもライブコマースが高い比率を占めるというので、消費者の傾向が他の国とは大きく異なるものと思われる)。
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