| 今や日本車の転売は「低リスク・ハイリターン」として麻薬ディーラーも参入する一大ビジネスに |
日本車が詐欺事件の対象となってしまうのはあまりに不幸な事態である
さて、何かと「日本車絡み」の犯罪が報じられることが多いアメリカですが、それもこれも日本車、とくにJDM(ジャパン・ドメスティック・モデル)と呼ばれる、日本国内でのみ販売されていたクルマの人気が高いためだと思われます。
こういった日本車の人気化には映画「ワイルド・スピード」のヒットが大きく関係しているといい、初期の(日本車が活躍した)作品を見て日本車に憧れた人々が成長しお金を稼いだのちに「子供の頃のあこがれのクルマ」を購入するようになり、そういった傾向によって相場が上昇している、と言われているわけですね。
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日本車は安易にお金を稼ぐことができる手段に
そしてこの傾向は「日本車をお金儲けの道具」にしてしまっていて、合法にクルマを売買しているディーラーやショップにとっても儲けネタとなるばかりか、麻薬ディーラーたちまでもが手を伸ばすほどの高利益率商品となっています。
よって最近は「麻薬密売組織を検挙したらGT-Rやスープラ、シビック / インテグラ・タイプR、ランエボ、インプレッサWRXなど(の盗難車)が大挙して倉庫から見つかった」という例も少なくはなく、そしてこういった犯罪組織が違法に日本車の売買を積極的に行うのは「儲け」のほかに「捕まっても刑罰が小さい」「危険性が(麻薬売買に比較して)低い」という理由があるもよう。
つまりはそれだけ(一部の)日本車の人気が高くカネになるということになりますが、こういったクルマは売り手側の「言い値」で売れるといい、よってどんどん状況がエスカレートしてしまい、盗難車を売りさばくだけでは飽き足らず、「喉から手が出るほどJDMが欲しい」人々の欲求を逆手に取った詐欺が横行しているわけですね。
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今回はアメリカにて違法に日本車を販売した夫婦が捕まる
そこで今回報じられているのが「違法に日本車を売買したアメリカ人夫婦の裁判がマイアミで始まる」というもの。※画像と今回の裁判とは無関係
この夫婦はアンドレス・D・ディアス(41歳)とニコール・G・チョン(35歳)だと報じられ、1998~2003年のホンダ・シビック・タイプR、1993~2002年のトヨタ・スープラ、1989~2002年の日産スカイライン(GT-R含む)などの希少な日本のスポーツカーの合法化と販売を専門とするソーホー・インポーツとJスペック・ガレージなる2つの会社を経営しており、これらの会社を通じて「違法に」車両を販売していたと報じられます。
なお、御存知の通り米国には「25年ルール」が存在し、これは米国以外で新車発売され、しかしに米国へと正規輸入されなかったクルマは、その後25年を経過するまでは米国で(一部特例を除いて)合法に登録できないというもの。
ただ、アンドレス・D・ディアスとニコール・G・チョンは数百台の日本車を輸入して「合法に登録できる」としてマイアミやその他の地域の顧客に販売したとされていますが、これら車両の輸入そのものも違法であったとされ、この夫婦は輸入の際にも偽の書類を作成し、連邦当局の署名を偽造することで車両の所有権と登録を偽造するという手の込んだ手続きを行っていたもよう。
そのほか、輸入した車両を「すでにアメリカ国内で登録されている他の車輌」と書類上ですり替えることで検査を免れたり、地元の警察官とフロリダ自動車現場作業員の署名を偽造したりと「やりたい放題」だったようで、数々の犯罪行為が密告によって発覚し、そして逮捕の末に今回の裁判に至るという流れです。
そしてちょっとかわいそうなのはこれらのクルマを「違法」と知らずに騙されて購入した被害者たちであり、購入したクルマにつき、この夫婦の逮捕後に関係車両の所有権と登録が取り消されてしまい、かつ今後どの州でも再登録は認められず、(この夫婦に弁済能力がないので)実質的に所有者は自身の車両を当局に引き渡すか輸出するかしか手がなくなるのだそう。
公開されているリスト(の一部)ではトヨタ・スープラが27台、ホンダ・シビックが28台、ホンダとアキュラ・インテグラが31台、日産スカイラインが88(46台がGT-R)だと記されており、今のところ救済措置は「無い」とされています。
この夫婦は現在詐欺のほか偽造、窃盗や共謀罪についても問われていて、有罪判決を受けた場合、ともに重い刑に処せられる可能性があるそうですが、被害者の救済についてもなんとか検討して欲しいものですね。
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参照:Motor1