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アストンマーティンは急速にモータースポーツ寄りの姿勢を強め、市販車との関連性も深める。ある意味では「もっともフェラーリに近い」存在に

アストンマーティンは急速にモータースポーツ寄りの姿勢を強め、市販車との関連性も深める。ある意味では「もっともフェラーリに近い」存在に
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| モータースポーツ活動を通じてより優れたクルマを作り、モータースポーツでの成果を最大のプロモーションとするところもフェラーリとよく似ている |

ここまで急速に回復し、かつイメージが変わったハイパフォーマンスカーメーカーも珍しい

さて、アストンマーティンは昨日新型ヴァンテージを発表していますが、その際には「2台の」別の新型車を同時に発表しています。

その2台とは(レーシングカーである)新型アストンマーティン・ヴァンテージGT3、そして2024年シーズンを走るF1マシン、AMR24。

アストンマーティンはこれら3台を称して「高性能の頂点にある3つの新たな宝石」と呼び、発表の場が(F1グランプリとの密接な関係と歴史を持つ)シルバーストーンサーキットであったこととあわせ、この度の新型車発表については「アストンマーティンの方針に関する重大な変化」を示す格好の機会であったとも捉えています。

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アストンマーティンは「フェラーリ」を目指す?

今回感じられたもっとも大きな変化については「モータースポーツ、とりわけF1と市販車との結びつきを主張したこと」。

これは、アストンマーティンが”モータースポーツ第一”のアプローチを採用し、しかもここしばらく見たことのない形で急速にその勢いを増していることの証にほかならず、「その創業以後、ずっとモータースポーツ活動を唯一のプロモーションの場として活用し、それを通じて市販車を販売してきた」フェラーリとの共通点すら感じられます。

ちなみにフェラーリは「モータースポーツこそが会社の最大の活動目的」であり、モータースポーツを継続するために市販車を販売しているという自動車メーカーですが、もしかするとアストンマーティンも「これを目指している」のかもしれません。

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実際のところ、アストンマーティンは正式なF1チームとして発足してからわずか数年足らずにもかかわらず、昨年では(フェルナンド・アロンソの助けもあり)おかげで9回の表彰台と280チャンピオンシップポイントを獲得して史上最高の記録を達成することになるなど「破竹の勢い」での活躍を見せています(GT3 レースでは、2012年から2023年の間に、ヴァンテージGTE によって52回のクラス優勝と11回のワールドタイトルを獲得している)。

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現在のアストンマーティンは(実業家である)ローレンス・ストロール氏によって率いられ、当初、F1チームについては同氏の実子であるランス・ストロール選手に活躍の場を与えるために(レーシングポイントを)買収したのだと思われたものの、その後はF1にて「24年ぶりに」メルセデス・ベンツ以外のF1ペースカーとしてヴァンテージが採用されると同時にF1グランプリにおける快進撃が始まり、F1での露出が大きく販売に貢献し始めたと報じられています。

アストンマーティン「F1のペースカーに採用されてから売上が最大で8000万ドル(110億円)増えた。最初は効果があるか疑問だったが、今は実感できる」
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おそらく、当初ランス・ストロール氏は(様々なコメントを見るに)ここまでF1の効果があるとは考えていなかったのだと思われますが、現在では「F1」を(アストンマーティンならではの)「超高級」とともにブランドの核に据えることで新しい展開を行うことを表明しており、つまりはフェラーリ同様のブランディングを行うことになりそうです(もちろん全くフェラーリと同じではなく、そこにはアストンマーティンの独自性が盛り込まれるものと思われる)。

アストンマーティン「今後、ロードカーもF1と同じ思想で開発する。1/10秒を削るために思案をめぐらし、常にライバルを注視し、その先をゆくことでベストであり続ける」
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アストンマーティンは少し前まで「危機的状況」であったが

なお、アストンマーティンはしばらく前から資金的な問題に行き当たっており、長い間「古いプラットフォームや古いエンジンを使い回し、創意工夫も見られず、(8回目の)破産する運命にある」と見られていたわけですね。

しかしローレンス・ストロール氏の出資を受け入れた後に大きく業績が向上し、現時点ではそのイメージも(F1での勝利によって)大きく変革されています。

ちなみにローレンス・ストロール氏は自動車業界の出身者ではなく、トミー・ヒルフィガーなど主にアパレルブランドに出資することで財を成してきたビジネスマンですが、アストンマーティンの再生においてはその経験が存分に発揮されたということになりそうです(自動車業界では、異業種からトップがやってくるのは非常に稀である。この点においても、アストンマーティンとフェラーリには共通点がある)。

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たしかにアストンマーティンは「DB5」「ジェームズ・ボンド」という類を見ない資産を持つものの、現体制前の状況を見ると「そういったカリスマ性、スタイル、過去の遺産だけに頼り、時代遅れのエンジンと内装を備えた紳士向けのスポーツカーを造るビジネス」が破綻直前であったということになり、しかしローレンス・ストロール氏がそこへ「世界のモータースポーツのトップレベルでの成果をあげ、その特性を日常のスポーツカーやスーパーカーに吹き込む」ことで見事にブランドを再生しつつあると考えていいのかも。

これによってアストンマーティンは急速にその地位と認知を高めつつあるというのが今の状況ですが、今後はル・マン24時間レースへの参戦も計画されており(これもフェラーリと同じである)、今後さらなる飛躍を見込める可能性もありそうです。

こういった状況を見る限り、そしてローレンス・ストロール氏の打ち出した方針を鑑みると、現代における自動車メーカーの立て直しには「カーガイ」ではなく「ビジネスマン」が適任なのかもしれませんね。

今日の(アストンマーティンにおける)ハイパフォーマンスの祭典は、私たちの公道プログラムとレースプログラムの関係が急速に発展していることを強調しています。アストンマーティンの市販車は現在、F1で鍛えられ、アストンマーティン・パフォーマンス・テクノロジーを通じて収集されたエンジニアリングの才能、経験、知識の卓越した集積の恩恵を受けています。高性能モータースポーツ技術は、次世代のスポーツカーと耐久モータースポーツ戦略を通じてさらに最大限に活用できることとなるでしょう。

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参照 / Photo:Astonmartin

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