| 現在の数値はすべてにおいて「テスラの置かれた不利な環境」を示している |
もちろんテスラはこの状況に手をこまねいているわけではなく、次々と対策を行っている
さて、現在様々な報道がなされ揺れに揺れ動いているテスラ。
投資家としては気が気ではない状況が続いているわけですが、新しいデータによると、中国(上海)にて生産されたテスラの車両販売は4月に前年同期比で18%減少したことが判明し、 中国乗用車協会(CPCA)の速報値では2024年4月の販売台数は6万2167台、そしてこれは2023年4月の販売台数に比べて6分の1以上減少したという事実を示しています。
-
BYDは中国政府から直接補助金として3480億円を受け取っていた。これは収益の3.5%に相当し、さらに間接補助金も。どうりでEVを安く作ることができるわけである
BYD | EVは調査結果をもとに関税の導入を協議することになりそうだが、当然ながら中国の反発も必至である | ただし中国はEUにとっても「お得意様」であり、強く出ることは難しいだろう さて、現在世界 ...
続きを見る
さらにテスラの「売上高」も減少
なお、さらに悪い状況であることを示しているのは「テスラの売上高が30%減少した」とうことで、つまり台数以上に1台あたりの販売金額が減少していて、これは「そのぶん利益が減っている」ということを意味するわけですね。
加えてテスラに対する懸念を強めているのが「中国国内のEV市場全体が成長している」という事実であり、中国現地メディアによれば「この4月の中国でのEV販売は、今年の低調なスタートから反撃し、約33%増加して約80万台になった」。
つまりEV市場全体が成長しているのにテスラが成長していないということは「テスラのシェアが他社に食われ、しかしテスラは他社のシェアを奪うことができていない」という事実であり、実際に(昨年末にテスラを抜いて最大のEVメーカーとなった)BYDの4月の販売台数は2023年4月比49%増の31万2,048台にものぼります(EV市場の西洋率よりも大きくBYDが成長している)。
もはやBYDの勢いは圧倒的である
そこで以下は2024年4月29日~5月5日までの「週間」販売台数で、これを見るとBYDがテスラの5倍近い台数を販売していることもわかり、さらにテスラは下からの追い上げにも直面しているという事実を見て取ることがわかりますが、こういった数字を見るに、すでにテスラの優位性は失われたと考えていいのかもしれません。
メーカー | 販売台数 |
BYD | 52,600 |
テスラ | 11,000 |
WuLing | 9,200 |
Li Auto | 5,300 |
Aito | 4,800 |
Zeekr | 3,600 |
NIO | 3,600 |
Aion(GAC) | 3,600 |
長安汽車 | 3,300 |
リープモーター | 2,300 |
ディーパル | 2,300 |
もちろん、イーロン・マスクCEO)はそれを誰よりもわかっているからこそ、スーパーチャージャー部門を解体したり、人員の整理を断行したり、廉価版EVの開発やギガキャストへの投資を中止し、その一方で(すぐに利益に結びつかない)AIやロボット、自動運転に力を入れているのだと思われますが、つまりは「勝てない分野を切り捨て、勝てる分野にリソースを分配する」と考えている可能性がありそうです。
-
テスラはEVの製造・販売に見切りをつけ、「AI、自動運転、ロボット」を中心としたテック企業へと進化するのか?ボクがそう考える理由とは
| テスラにとって電気自動車の製造販売はひとつの「手段」でしかない | そしてテスラはより大きな目的を果たすため、新たなる一歩を踏み出すであろう さて、ここ最近大きな変化が見られるのがテスラそしてイー ...
続きを見る
実際のところ、イーロン・マスクCEOは「現在、2つの成長の中間にいる」ともコメントしており、1つ目の成長はEV販売、そして2つ目の成長は「ロボット、AI、自動運転」なのだとも考えられ、しばらく続く暗い夜ののちに新しい夜明けが待っているのかもしれません。
あわせて読みたい、テスラ関連投稿
-
テスラが「EV製造コストを大きく下げることが可能となるはずだった」新世代ギガキャストから撤退したとの報道。テスラは支出を切り詰めるという「安全な賭け」に
| 短期的に見ると「がっかり」材料ではあるが、この状況で過剰な投資を抑えるのは中長期的に見ると賢明な判断であると考える | こういったスピード感のある経営も「テスラならでは」 さて、テスラは少し前に「 ...
続きを見る
-
テスラが4週連続で解雇を実施。従業員はいつ自分の番が来るか戦々恐々、解雇通知はイーロン・マスクCEOからの「従業員の皆さん、こんにちは」というメールにて行われる
| この「止まらぬ人員削減」がどこまで続くのかはわからない | おそらくはここからの短期間にてテスラは大きくその方向性を変えることになるだろう さて、人員整理に続き廉価版EV(モデル2)の開発キャンセ ...
続きを見る
-
まるで「テスラの墓場」?閉鎖された米ショッピングモールに大量のテスラ(新車)が駐車される様子が報じられる。生産がついに需要を上回り始めた予兆か【動画】
| テスラの「余剰生産」は時間の経過とともに多くなり、人員削減や労働時間短縮がその厳しさを裏付ける | ただし正確な状況については(テスラの部外者では)誰も把握することはできていない さて、セントルイ ...
続きを見る
参照:CarNewsChina, etc.