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VWが「3年後に2万ユーロの廉価版EVを発売する」と公言しティーザー画像を公開。同時にその困難さも認識しているもよう

| このインフレが厳しい状況、EVの先行きが不透明な状況において「3年後」を見通すことは難しい |

VWのみならず欧州の自動車メーカーは「団結」「政府の補助」を求めている

さて、一時期はメルセデス・ベンツとともに「もっとも電動化に熱心であった」のがフォルクスワーゲン。

ただしつい最近だとEVの世界的な需要減退を考慮し「EVへの完全転換を図るという方針から、PHEV含むハイブリッドの投入を行うなど、ガソリンエンジンも残す」戦略へシフトすることを表明し、加えて北米市場向けに導入する予定であったエレクトリックセダン「ID.7」の導入を(北米市場でのEV需要減少を考慮し)延期する」ともコメントしています。

VWが「最も安価なEV」、ID.2の発売を延期するとの報道。ユーロ7導入内容の軟化を受けガソリン車の販売を延長し、その一方でEVの設計を「仕切り直し」か
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ただしフォルクスワーゲンはEVを諦めるわけではない

しかしながらフォルクスワーゲンはEVを諦めるわけではなく、今回新たに20,000ユーロの廉価版EVを2027年に(欧州市場にて)発売するとし、一枚のティーザー画像を公開しています。

何世代にもわたって、フォルクスワーゲンの強力なブランドは、初めてユーザーが購入する自動車、そして手頃な価格のモビリティと結び付けられています。強力なブランドを持つグループとして、私たちは今日までこの社会的責任を負い続けています。だからこそ、未来志向のプロジェクトを立ち上げることができてとてもうれしく思っています。これは、ヨーロッパ向けのエントリーレベルの電気モビリティに関するものです。

フォルクスワーゲングループCEO オリバー・ブルーメ

この発言を見るに、フォルクスワーゲンブランドは自身の存在価値を「手頃なクルマを提供すること」だと捉えていると考えてよく、そしてその武器を「価格」に設定すると考えていいのかも。

そしてこのクルマはヨーロッパ市場向けとして、特別にヨーロッパで設計されたクルマになるとされ、現時点では他の市場で販売される可能性は高くないのかもしれません(ただ、コストを引き下げることを考慮するならば、可能な限り多くの市場で販売すべきである)。

参考までに、フォルクスワーゲンは安価なEVを開発するためにルノーとプラットフォームを共有する計画を進めていて、しかしこのパートナーシップは「始まる前に終わった」とも報道されており、よってフォルクスワーゲンは自社のみで今回の「2万ユーロの」プロジェクトを進行させねばなりませんが、幸いなことにフォルクスワーゲングループには様々なブランドが存在し、同じく「求めやすい価格」を強みとするクプラ、そしてセアトブランドからも「バッッジ違い車」が発売されることになるのかもしれません。

ただ、この先行き不透明な世の中において3年後の新型車そして価格を約束するというのはかなり危険な行為でもあり、もちろんそれについてはフォルクスワーゲンCEO、トーマス・シェーファー氏もよく理解していると見え、以下のようにコメントしています。

当社の車両は、技術、デザイン、品質、顧客体験の面でエントリーレベルのセグメントの基準を確立します。この課題は、エネルギー、材料、原材料のコスト上昇により、より困難になっています。1つ明らかなのは、このヨーロッパ発のヨーロッパ向け低価格電気自動車は、政治的支援と競争的な枠組み条件がなければ成功しないということです。

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