■そのほか自動車関連/ネタなど

現在中国のEVメーカーは137社が存在、しかし「2030年に黒字化しているのは19社のみ」という驚愕の報告。なおEV工場では通常の6倍の残業が許可されている

中国

| とにかく中国では「EV産業」が特別扱いされている |

EV製造・輸出は中国の維新をかけたプロジェクトである

さて、中国にはかつて400を超える新興EVメーカーが存在し、現在でも137社が存続していると言われますが、アリックスパートナーズが新しく発表した報告書によると、「2030年までに利益を上げているのはわずか19社だけだろう」。

参考までに、今年はじめには160社ほどが生き残っていたといわれるので、そこからすでの23社が淘汰されたということになりますが、これは「中国国内で2年間続いた価格戦争により、体力のない企業の利益率が大幅に低下し、一部が廃業に追い込まれたため」だとレポートされています。

中国の新興EVメーカーもまた、中国内部での圧力に対応しかねている

現在、日米欧の自動車メーカーが、「中国からやってくる」EVに対する有効な対抗手段を持たずシェアを奪われるがままの状況となっていることは周知の事実ですが、しかしあまり知られていないのは「多くの中国EVブランドも国内の他の企業からの圧力を感じている」こと。

つまり中国国外以上に中国内での競争が熾烈だという現実があり、よって一部中国の自動車メーカーは中国市場に見切りをつけて海外市場(主に東南アジア)に活路を見出しているほど(あるいは、中国内で売れ残った在庫を格安にて海外に輸出し現金化している)。

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BYD のような支配的な企業は、価格を何度も引き下げることができるほどの利益率を誇るものの、利益率がそれほど高くないライバル企業はBYDやテスラの値下げについてゆくのに必死であり、赤字覚悟で値下げを行わねばクルマが売れず、そして値下げを行えばそのぶん利益が削られて会社が傾いてしまうわけですね。

もし、その企業が「他に無い特徴や機能」を持っていたならば値下げの必要はないものと思われますが、中国のビジネスにおいては「今売れている他社製品と同じようなものをできるだけ早く、そしてできるだけ安く投入する」というスタイルが主流であるために、価格がもっとも重要な要素となっています。

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よって自動車以外の産業であっても、いったん何かが流行ると「一気に同じような製品が出てきて」その後体力が弱い企業が淘汰されるという繰り返しとなっているのですが、EV業界においてもこの構図が繰り返されるのは間違いなさそう。

実際のところ、2023年には「比較的中国市場では有力な部類であった」WMモータースが倒産し業界に激震が走っており、しかし今後さらに多くのEVメーカーがこれに続く可能性が高く、倒産してしまう前にこれら(体力のない)EVメーカーは「業界から完全に撤退するか」、方針を変えて自動車市場のわずかな(ニッチな)シェアだけを追いかける必要が出てきます。

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なぜ中国ではEVメーカーが乱立するのか

なお、自動車メーカーが「数百もある」というのは世界的に見て(非常に)異例ではありますが、これは中国が国策として「EVの生産と販売で世界一になる」という方針を掲げていることに起因しており、それを実現するために中国政府が多額の補助を行っていて、EV生産を行う場合は工場建設のための用地取得、運営資金の借り入れ、その他諸々の方面につき便宜を図っているという報告も。

さらには「EVを生産すれば、生産台数に応じてお金をもらえる」という話も聞かれ、こういった援助を目当てとし、多くの「これまでに自動車製造分野にまったく経験のないにわか起業家」が群がることとなり、結果として「生産が過剰になった」とも報じられています。

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もちろん中国政府としてはこういった状況を予測できたはずですが、しかし政府としては結果的に「EVの生産と販売で世界一になれば」よく、そしてその中身、つまりどの企業がEVを生産するかは問題だと考えてはいないとされ、つまり競争によって淘汰され生き残る企業が市場を支配すればそれでいいと認識しているようですね(たしかにそのほうが競争力のある企業と製品が残されることになるので、国際競争力も高くなる)。

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そして中国の「EVの生産と販売で世界一」をよくあらわしている政策が「EVの工場で働く人々は、従来の自動車を生産する工場で働く人々に比べて6倍以上の残業が認められている」こと。

従来の自動車メーカーの工場で働く労働者の労働時間は(法律で)最大20時間に制限されているのに対し、EVメーカーの工場であれば最大140時間もの追加労働ができるのですが、中国では生活のために好んで残業を行う人々が多く存在し、むしろ残業が減ると「生活できない」という人も少なくはなく、よってこの「EV工場のほうが残業ができる」という超法規的措置によってEV工場が人手を確保しやすくなるよう配慮し、この角度からもEVの生産を奨励しているわけですね。

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参照:Bloomberg

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