| たしかにそれが唯一の現状の打開策ではあると考えられるが、あまりにもコスト、そして設計上の負担が大きそう |
懸念されるのはバランスを欠いたクルマが世に出ること、そしてあまりに価格が高騰することである
さて、ポルシェは「EVラインアップの販売が激減し」これまで続いた好調から一転して逆風にさらされているといった状況ですが、ここ最近では「内燃機関を予定よりも長く存続させる方針」へと転じており、しかし今回「EVとして設計された車両にも内燃機関(つまりガソリンエンジン)を搭載する」という驚きの(再度の)方針転換が報じられることに。
なお、ポルシェの属するプレムアミカーセグメントではとりわけこの傾向が強く、ベントレーも「もはや誰も(富裕層は)EVを欲しがっていない」という発言を行っています。
-
ポルシェが2024年第3四半期と通年の業績を発表。タイカンの販売が50%減少し、マカンと718ボクスター / ケイマンを電動へと切り替える同社にとって”逆風”に
| 現時点だとポルシェの「危険な賭け」は裏目に出る可能性が非常に高い | もっと911を生産すれば事態を収拾できるように思われるが、ことはそう簡単ではないのだろう さて、ポルシェが2024年の第3四半 ...
続きを見る
それほどポルシェは「危機的状況」にある
今回の報道によれば「ポルシェは、電動車両(EV)に特化した戦略を見直し、ラインアップへとより多くの内燃機関(ICE)モデルを含める方法を模索している」。
具体的には”タイカンの売上が伸び悩み、内燃機関やハイブリッドオプションの需要が高まっている”ことを受け、EV専用として開発されたモデルにICEやハイブリッドオプションを組み込むことを検討しているというものですが、これはつまりタイカンやマカンEV、これから発売される718ボクスター / ケイマン、そしてK1として知られるフラッグシップミニバンが含まれるものと思われます。
タイカンの売上低迷に直面し、顧客が従来の内燃機関の魅力に固執しているという状況では「やむをえない」「適切な」対策なのかもしれませんが、電動化に全力(と多額の資金)を注いでいたポルシェがこういった方向転換をするということは大きな衝撃であり、そしてこの対応には膨大な努力と資金が必要になるであろうことも意味します(お金をかけて電動化を進め、またお金をかけてもとに戻る)。
ただしこれは同時に「ポルシェが従来のパワートレインを手放そうとしない」ということの現れでもあり、ぼくらにとっては嬉しい限りではありますが、EVとして設計された車両をハイブリッドあるいは内燃機関専用へとコンバートすることは設計上の負担も大きく、ポルシェが意図するような重量配分やパッケージングを実現できるかどうかは不明であり(おそらくは難しいだろう)、中途半端な製品となることだけは避けてほしいところ。
なお、ポルシェは「徹底して」完璧を追い求めることでも知られ、そのためプラットフォームの設計においては(たとえほかブランドとの共有であっても)その設計にこだわり抜くことでも知られており(これまでにも数々の例が報じられている)、カットモデルを見ると各コンポーネントの配置が「隙間もないほど」に押し込まれ、これによってポルシェの求める理想的な重量配分や重心、パッケージングを実現していて、よってここに「当初意図していない」エンジン、エキゾーストシステム、トランスミッションを押し込むことによる弊害は「推して知るべし」。
ただし上述の通り「それ以外の選択肢がない」のもまた事実であり、そしてこの対応のための資金を確保すべく、ポルシェはこれまで以上に利益率を重視することになるものと思われ、売上台数を確保できない以上、1台あたりの利益を押し上げるため、今まで以上に「オプションの拡充、高額な限定モデルの投入」を強化するのかもしれません。
-
ポルシェ「中国の落ち込みを、911や限定モデルなどの高利益車種の好調な販売がカバーしている」。今後も限定モデルを多数展開する路線に変更はないもよう
| フォルクスワーゲングループにとって、ポルシェは「最大の希望」であり稼ぎ頭である | 現在、フォルクスワーゲンブランドで「好調」なのはプレミアムブランドばかりというのは興味深い さて、中国市場の落ち ...
続きを見る
合わせて読みたい、関連投稿
-
ポルシェがさらなる値上げを実施との報道!グループあわせて20%の利益率を確保するために「フェラーリを目指す」
| VWグループは「Road to 2o」なる利益率20%を目指す計画を進行させており、重要な役割を担うのはポルシェである | そしてポルシェ、VWグループは将来的に販売台数が減少することを考慮に入れ ...
続きを見る
-
ポルシェがさらに方針を転換。パナメーラのEV版を投入し、タイカン、そしてガソリン版のパナメーラと「共存」させるもよう。電動版パナメーラはさらに上級移行か
Image:Porsche | ポルシェは現在「暗いトンネルの直前」におり、そのための方針変更はやむを得ない | ここ最近、ポルシェにとって不幸な、あるいは不利な出来事が相次いでいる さて、ポルシェは ...
続きを見る
-
ポルシェCEO自ら「2030年まで、あるいはそれ以降もV8エンジンを用意する」と宣言。現行カイエンは新型の第四世代(EV版)に加え2030年まで併売されることにも言及
| ポルシェはEV偏重戦略を転換し、マルチパワートレーン戦略を展開するようだ | V8ツインターボエンジンは環境規制に対応すべく今後も進化してゆくことに さて、ポルシェは先に行った決算発表にて「ガソリ ...
続きを見る