
| モデル3「新グレード」発売直後に異例の値下げ |
何をするにもテスラは「行動が早い」
テスラ中国が8月12日に発売したばかりのモデル3 ロングレンジRWDの価格を「わずか3週間」で1万元(約20万円)引き下げたことが明らかに。
新価格は 25万9,500元(約500万円)となり、すでにテスラ公式サイトにて適用されていますが、この「スピーディーな対応」はテスラらしいと感じる反面、中国におけるEV市場の競争の厳しさを感じさせられるものであるかと思います。
現在のEV業界では「価格柔軟性」が一般化
なお、「価格柔軟性」は米国の消費市場において非常に重要な戦略であり、いわゆるマーケティングの4P(プロダクト、プレイス、プライス、プロモーション)に基づいて決定されることとなりますが、この考え方に従って「同じモノであっても、販売する場所や状況によって」大きく変わるのが米国です。※よってiphoneの価格もよく変更される
ただ、自動車業界において「価格を頻繁に上げ下げする」ことは一般的ではなく、しかしこの慣例を打ち破ったのがイーロン・マスクCEO率いる米テスラ。
そして「オンラインアップデート」「車両の機能を大型ディスプレイで操作」同様、この価格柔軟性はEVにおける一つのトレンドとなり、それが世界中に拡大しているというのが今の状況ではありますが、これによって「需要が高ければ価格を引き上げ、需要が低ければ価格を下げる」といった動きが(世界中にて、同時多発的に)一般化しているわけですね。
そして今回対象となったモデル3 ロングレンジRWDにつき、航続距離830km、0-100km/h加速5.2秒を誇り、発売当初は26万9,500元からのスタート価格であったものの、今回の値下げにより、より多くのユーザー層にアピールできる価格帯へシフトすることとなっています。
モデルYの新グレード投入も
今回の価格改定は8月19日に中国市場で投入されたモデルY L(33万9,000元~)に続く戦略的な動きだと見られ、さらにテスラは2025年後半に「より手頃なモデルY」を投入予定。
イーロン・マスクCEOは第2四半期の決算発表で「年末までに発売、2025年後半に量産開始」と述べており、テスラは中国市場において「反撃の狼煙を上げた」ということなのかもしれません。
中国市場の逆風
中国乗用車協会(CPCA)のデータによると、テスラ上海ギガファクトリーの販売は減速傾向にあり、この販売減速を背景としてテスラは新モデル投入+戦略的値下げによって競争力維持を狙っているものと見られます。
- 2025年7月:6.7万台(前年同月比▲8.4%/前月比▲5.2%)
- 2025年1~7月累計:43.2万台(前年同期比▲13.6%)
まとめ
- モデル3ロングレンジRWDが約20万円の値下げ、25万9,500元から購入可能
- 航続830km、0-100km/h加速5.2秒とスペックは据え置き
- 中国市場では販売減速、価格競争が激化
- 今後は「手頃なモデルY」の投入が控える
テスラが中国市場でシェアを守れるのか、それとも新興EVメーカーに押されるのか、今後の展開に注目が集まるところですね。
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参照:CarNewsChina