
| ルシードの営業利益率は驚愕の「-374%」 |
ジーカー(Zeekr)は大きく赤字を減らし黒字化へと向かっている
さて、雨後の筍のようにどんどん誕生するEVメーカーですが、中国ではピーク時に「400社くらい」が存在したといい、しかし現在では100~150社くらいに減ってしまったという報道も(おそらく、正確なところは誰にもわからないであろう)。
そして今回、中国含め「世界中のEVメーカー(およびEVブランド)で利益を出せているのは4社しかない」という衝撃の報告が発表されて業界を震撼させることに。
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中国では(将来的に)EVメーカーの7社に1社しか利益を出せないであろう
この調査では、まず主要EVブランドの営業利益率を分析した結果を示していて、2024年にはテスラが営業利益率7.2%を記録し(テスラの販売を抜いた)BYDの6.4%をわずかに上回ったことも明らかに。
しかしテスラの利益率は2023年から継続して低下しているのに対し、BYDでは逆に上昇しており、多くのアナリストが予測するように、この傾向が続くとすれば、BYDはまもなく営業利益率でテスラを上回る可能性が予想されます。
これら2社は「もっとも高い営業利益率を誇るEVメーカー」ではありますが、共通するキーは「垂直統合」。
調査報告書では「これにより、スケールメリットを活かし、より早く収益性を確保することができている」とされ、さらにこの調査によると、テスラとBYD以外で利益を上げているのは世界中のEVメーカー/ブランド単体だと「理想汽車(Li Auto)」と「Seresグループ(Seres、Aito、Landianブランドを含む)」のみ。
その他のEVブランドは2024年には利益を出せず、しかしいくつかの企業は黒字化に近づいていることも示されていて、吉利(Geely)グループ傘下のZeekr(極氪)は昨年、営業利益率-8.5%を記録したものの、販売台数が増加しているために黒字化が近いとされ、Xpeng(シャオペン)やLeapmotor(リープモーター)も2023年から2024年にかけて損失を半減させ、黒字化に向かっていることが報告されています。
一方Nio(蔚来)は中国のEV市場で重要なプレイヤーとして知られるものの、依然として赤字経営が続いており、2024年の営業利益率は-30%を超えて、黒字化までにはまだ長い道のりがあるこもわかります。
こういった状況を考慮すると、「すでに黒字化している4社に加え、いくつかのEVメーカー/ブランドも黒字化するであろう」と推測されるものの、それでも同レポートでは「将来的に、中国のEVブランドで黒字化できるのは7社に1社のみであろう」と結論付けており、非常に厳しい未来が示されています。
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EV専業にて黒字化を行うことは非常に難しい
現時点だと、テスラは中国以外で唯一の黒字EV専業ブランドということになり、ポールスター(Polestar)はまだ黒字化には至らず、リヴィアン(Rivian)も赤字経営を続けており、多額の資金援助を外部より受けています。
なお、非常に高いEV性能、そして高級EVで知られるルシードはEV業界で最も深刻な赤字を抱えているとされ、データによると2024年の営業利益率はなんと「-374%」。
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前年の-500%超よりは改善しているものの、依然として深刻な財務状況であることに変わりはなく、サウジアラビアからの巨額の資金援助がルシードの経営を支えているものの、この大規模な損失を乗り越えるにはまだ時間がかかるのかもしれません(いくらオイルマネーといえど、よく資金が続くものだと思う)。
こうやって見ると、電気自動車(EV)は未来の技術かもしれませんが、利益を出すことは依然として(EV業界においては)贅沢な話だということがわかりますね。
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