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メルセデス・ベンツ「V12エンジンは継続する」。方針を一転、BMW、アウディに対する優位性を維持する計画か

メルセデス・ベンツ マイバッハ

| まだ終わらないV12エンジンの時代 |

メルセデス・ベンツは「電動化一本」から大きく方針を転換

ブガッティがV16エンジンを開発し続け、パガーニが20年以上前の設計によるV12エンジンを進化させて使い続けるのと同じように、メルセデス・ベンツもまたV12エンジンを守り抜く姿勢をあらためて公表。

欧州ではEU7規制を控えて排ガス規制が年々厳格化しているという状況ですが、そのなかでもフラッグシップモデルを愛する顧客が求めるのは「シリンダー数」。

メルセデス・ベンツはその期待に応え、次世代でもV12を提供し続けるというコメントを出したわけですね。

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Image:Mercedes-Benz

BMW
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メルセデス・ベンツCTO「V12は続く」──確固たる決意

この発言を行ったのは、IAAミュンヘンショーに登壇した、メルセデス・ベンツにてCTO(最高技術責任者)を務めるマルクス・シェーファー氏。

同氏は「メルセデス・ベンツはV12を提供し続ける」と宣言し、EU7への適合については明言を避けつつも「準備は進んでいる」と回答しており、これはブランドとしてV12を将来にわたり維持していくという強い意志の表れと捉えることが可能です。

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Image:Mercedes-Benz

パガーニのV12エンジンを手組みする過程を動画にて。製造を担当するのはメルセデスAMG、そしてこのエンジンの組み立てを許されているのはわずか2名
パガーニのV12エンジンを手組みする過程を動画にて。製造を担当するのはメルセデスAMG、そしてこのエンジンの組み立てを許されているのはわずか2名

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現在、V12を搭載するのは「マイバッハS 680」のみ

かつてはSクラスやSL、さらにはGクラスにも搭載されていたメルセデス・ベンツのV12エンジン。

しかし現在はメルセデス・マイバッハ S 680にのみ搭載されているというのが現状です。

  • 6.0リッターV12ツインターボ
  • 出力:603馬力
  • トルク:664lb-ft(約900Nm)

この究極のパワートレインこそ、Sクラスを「世界最高峰のラグジュアリーサルーン」に押し上げる象徴的かつ絶対的存在でもあるわけですね。

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Image:Mercedes-Benz

V8と4気筒PHEVの今後

一方でメルセデス・ベンツは新世代V8エンジンの開発も進めており、すでにEU7適合試験を終えつつあるという状況。

さらにはC63 Sに搭載される4気筒PHEV(671馬力)については(V8エンジンを超えるパフォーマンスを持つものの)賛否が大きく分かれており、従来のV8を惜しむ声が根強いという背景もあって、将来的に4気筒は一部のAMGモデルに残りつつ、ハイパフォーマンスを実現する主役はV8とV12が担うことになりそうです。※ただしこの4気筒はコストが高く、エントリーモデルに使用されるとも考えづらい

EUで禁止されても「他市場でのV12の販売は続く」

EUは2035年以降、基本的に内燃エンジン車を禁止する方針ですが、世界のすべての市場が同調するわけではありません。

AMG責任者のミヒャエル・シーベ氏はこう語り、つまり、たとえ欧州で姿を消したとしても、グローバル市場でのV12需要は残るということを明確に主張しています。

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Image:Mercedes-Benz

「中東や中国のように、規制が予定されていない市場もある。需要がある限り、そうした地域ではV12を販売し続けることができる」

ドイツ御三家のV12事情

現在、ジャーマンスリーにおいてV12を新規開発・市販車に搭載しているのはメルセデス・ベンツのみ。

そのほかにまで対象を広げても(少量生産メーカーを除くと)V12エンジンを存続させているのはロールス・ロイス、フェラーリ、ランボルギーニ、アストンマーティンあたりに絞られてしまい、つまりは「片手で足りるほど」のメジャーメーカーしかこのエンジンを使用していないということになりますね。

  • メルセデス・ベンツ:1991年から自社開発のV12を投入。現在はマイバッハS 680のみに継承
  • BMW:1987年に初のV12を投入するも、2022年に廃止
  • アウディ:2001年にA8で「W12」を採用し、ディーゼルV12も開発したが2018年に終了
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まとめ:V12は「贅沢」の象徴として生き続ける

  • メルセデス・ベンツは今後もV12エンジンを存続させる
  • 現在はマイバッハS 680のみが搭載車両
  • V8エンジンも新世代へとスイッチして存続
  • EUでの内燃機関販売禁止後も中国や中東市場では販売継続の可能性

時代の流れに逆らうように見えても、V12は「ブランドの魂」であり「顧客の夢」。

少なくとも2030年代までは、Sクラスのボンネット下でその鼓動を響かせ続けることになりそうです。※願わくば他モデルにもV12の採用を拡大してほしいものである

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Image:Mercedes-Benz

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参照:CARBUZZ

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