
| 既存のハイブリッドシステムはMTと組み合わせることが難しい |
ポルシェが新たな「ハイパワー化」「電動化との融合」に活路を見出す
数日前、ポルシェは「より多くのMT(マニュアルトランスミッション)を導入したい」との意向を示していますが、現行のT-ハイブリッドパワートレイン(PDK内のモーター+電動ターボ)では(技術的なハードルによって)実現が困難であるとも語っています。
しかし今回、ドイツ特許商標庁に出願された新技術から、911ターボやGTSに再びMTを組み合わせる可能性が見えており、ポルシェが「電動化技術とマニュアル・トランスミッションとの両立」に新たな解決策を見出したことが明らかに。
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新特許「電動ターボ+遊星ギア機構」とは?
出願内容によると、新システムは以下の特徴を持っていて、つまり「電動ターボ+スーパーチャージャーのハイブリッド」とも言える革新的な仕組みです。
- ターボとクランクシャフトを遊星ギアで直結
→ スーパーチャージャーのようにエンジン直結の過給が可能。 - ターボに電動モーターを内蔵
→ 低回転から即座にコンプレッサーを駆動し、ターボラグを解消。 - スイッチ式クラッチとブレーキを採用
→ ターボの過回転防止や効率制御を従来のブローオフバルブなしで実現。
Image:Porsche
MT搭載が現実味を帯びる理由
現在のハイパフォーマンスカー市場においては「ハイパワー化」が必須であり、しかしポルシェ911の場合、そのレイアウトに起因して「V8」を搭載できず、よって「ハイブリッド化」によって(従来の6気筒+ターボを超える)出力の向上を実現しています。
しかしこのハイブリッドシステムとマニュアル・トランスミッションとの組み合わせは非常に困難であり、そして現行911ターボ/GTSのT-ハイブリッド構造はPDKに依存しているため、MT搭載が不可能とされていたわけですね。
Image:Porsche
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しかし今回のシステムでは、過給制御がトランスミッションに依存しないため、以下を実現する事が可能となり、さらには効率改善+高性能化を両立できるため、排ガス規制や環境基準にも対応しやすくなるというメリットも。
- クラシックな6速MTの復活
- 911スポーツクラシックのような後輪駆動+MT仕様の再現
718ケイマン/ボクスターへの応用も?
もちろん、出願された特許が必ずしも実用化され市販モデルに搭載されるとは限らず、しかし、718ボクスター/ケイマンの次期型(ICE存続が決定済み)に応用される可能性も。
現行のダウンサイジング4気筒ターボに新システムを組み合わせれば、、以下のような走行性能と環境性能のバランスを取れる可能性が見えてきます(そうでもしなければ、排ガス規制に対応した内燃機関モデルを発売できないであろうと推測)。
- 高出力+高効率化
- MTとの両立
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まとめ:ポルシェは「ドライビングプレジャー」を捨てない
今回の特許は、単なる技術開発にとどまらず、MTを望むファンへの回答となるかもしれません。
「エレクトリック化の時代でも、ポルシェは走りの楽しさを守る」――その姿勢が見える内容と言えそうですね。
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参照:CARBUZZ